トランプ氏、米特使と娘婿クシュナー氏を中東派遣へ

ガザ市の住宅地で被害が広がる中、救急隊員が担架を運んでいる

ドナルド・トランプ米大統領は数日中に、中東担当特使スティーブ・ウィットコフ氏と娘婿で元大統領上級顧問のジャレッド・クシュナー氏をエジプトに派遣し、人質解放を伴う停戦合意の成立を支援する。米国とアラブ諸国の当局者が4日明らかにした。イスラム組織ハマスとイスラエルは、トランプ氏が提案したパレスチナ自治区ガザを巡る20項目の和平案を支持したが、詳細については態度を保留しており、打開する必要がある。

関係する全当事者が停戦条件を巡って大きな懸念を抱く中での米代表団派遣は、合意成立に向けたトランプ氏の本気度を示している。クシュナー氏は、第1次トランプ政権下でアラブ諸国とイスラエルの国交正常化を進める上で重要な役割を果たした。今回の和平案の策定を支援し、次はその溝を埋めて実現させることに取り組む構えだ。

「ハマスは迅速に動くべきだ。さもなければ全てが無効になる」。トランプ氏は4日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」にこう投稿した。「私は多くの人が予想する遅延を許さない。ガザが再び脅威となる結果も容認しない。迅速にこれを実現しよう。誰もが公平に扱われる」と述べ、合意成立の機会を与えるため一時的に爆撃を停止するイスラエルを評価した。

イスラエルとハマスはそれぞれトランプ氏の和平案を受け入れると表明したが、その一方で同意できない重要な点があることを示唆している。

ハマスはイスラエル人の人質全員の解放に同意したものの、イスラエル軍の撤退時期や武器放棄の要求、戦争終結を巡る保証に関して条件を付けている。

一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、人質解放の下地作りをすると述べたが、イスラエルとトランプ氏が示した条件に従って戦争終結を目指す考えを示している。

ネタニヤフ氏は4日、「IDF(イスラエル国防軍)が引き続きガザ地区にとどまる中、近日中に、早ければ『仮庵の祭り』の間にも、生存者・死者を含む人質全員の帰還を発表できることを願っている」と述べた。今週始まるユダヤ教の宗教的祝祭に言及した。

紛争当事者が曖昧な態度を表明し、戦場が依然不透明な状況にあることは、トランプ氏が示した20項目の和平案の合意成立と実施の危うさを浮き彫りにする。

ハマスに拘束された人質の写真を見ているイスラエル・エルサレムの住民

トランプ氏はハマスの回答を、条件付きにもかかわらず自身の提案を受け入れたものと歓迎し、人質解放実現のために戦場を安全にする必要があると述べた。また同氏は、両当事者の溝を埋める協議が必要だとの考えを示した。

トランプ氏はホワイトハウスで行った演説で「最終的な文言を具体的に詰めなくてはならない」と述べた。「人質の帰還を楽しみにしている」

中東担当特使のウィットコフ氏は、イスラエルとハマスの停戦交渉で主動的な役割を果たしてきた。不動産投資家からトランプ政権入りし、中東での任務とロシア・ウクライナ和平交渉の仲介役を両立させている。

トランプ氏が爆撃停止を要求した数時間後、イスラエル軍はガザ攻撃作戦を縮小することを表明した。

イスラエル当局者は「ガザでの攻撃活動の停止は、ハマスが人質解放を準備できるようにするのが目的だ」と述べた。「これは正式な停戦ではない」

イスラエル国防軍は4日朝の時点で、大規模な攻撃作戦を進めるガザ市を包囲し続けていた。

ガザ地区の救急隊員と自治体当局者は4日に爆発が起きたと述べた。中東の衛星テレビ局アルジャジーラで放映された動画には、同日朝に複数の死傷者が担架に乗せられ、救急車で運ばれる様子が映っていた。

ガザ地区のパレスチナ住民は戦闘の一時休止を求めている。地元保健当局によると、これまでに6万7000人余りが死亡しており(戦闘員の数は公表していない)、過去1日で数十人が死亡した。

ガザ市で爆発が起きた後、煙が立ち上る様子