地球環境がさらに悪化? 7つの「地球の限界」のうち新たに1項目が限界を超えたと発表される
環境問題の暗いニュース

地球環境について、暗いニュースが飛び込んできた。ポツダム気候影響研究所が出した最新の報告書によると、現在のペースで海洋酸性化が進めば、7つめの「地球の限界」が踏み越えられることになるというのだ。
「地球の限界」とは

2009年に制定された「地球の限界」はプラネタリー・バウンダリーとも言われ、人類が安全に生存できる領域やその限界を定めたものだ。全体で9つのプロセスが検討されており、制定当初すでに3つの限界が踏み越えられたと考えられていた。仏誌『Géo』が解説している。
すでに6項目が限界を超えている

仏紙『Les Échos』いわく、その後さらに3つの限界も踏み越えられ、すでに限界を超えた項目は6つに達しているという。限界を超えたとされる項目は(大気中の二酸化炭素濃度上昇による)気候変動、生物圏の健全さ(種の絶滅や人類による資源濫用)、土地利用変化(都市の拡大、森林の減少)などだ。
多様な環境問題

限界を超えた項目のうち残る3つは淡水利用(干魃や洪水にも関連)、生物地球化学的循環(肥料を通じたリンや窒素の散逸)、新規化学物質(プラスチックや化学物質などの環境中への拡散)だ。
3項目が残っていたが

一方、いまだ限界には達していないとされていた3項目は先に触れた海洋酸性化と大気エアロゾル粒子(大気汚染)、オゾンホールだ。朝日新聞が解説している。
海洋生物の危機

だが、そのうちのひとつであった海洋酸性化にも限界が来てしまったようだ。ポツダム気候影響研究所の研究者は『Géo』紙にこう語っている:「海の酸性化が進んでおり、海洋生物を脅かしています。人間にとっても危険な状況に近づきつつあり、悪化が進む一方です」
海洋酸性化も二酸化炭素排出が主な原因

海洋酸性化の主な原因は化石燃料の消費による二酸化炭素排出だ。専門家によると、大気中に排出された過剰な二酸化炭素のうち3割程度が海に吸収されているという。
計算方法の見直しも影響

海洋酸性化率は今年に入って急上昇しているが、これには計算方法の見直しや利用可能なデータの改善なども影響している。いずれにせよ、海洋酸性化対策が喫緊の課題であることには変わりない。
海水のpHが下がる

海洋酸性化の指標は海水のpHで、今回、海洋表面のpHが0.1ポイント低下した(酸性に傾いた)とされている。これは産業革命開始直後の水準から酸性度が30〜40%上昇したことを示しており、海洋酸性化の許容限界を超えたことになる。
アラゴナイト飽和度も低下

海洋酸性化の測定にあたっては、pHだけでなく海水のアラゴナイト飽和度も考慮される。アラゴナイトとは炭酸カルシウムの結晶で、米「Huffington Post」によると「珊瑚や貝類にとって不可欠な鉱物」だという。アラゴナイト飽和度は、産業革命前の数値の80%が限界と定められている。
海の生態系が危ない

ポツダム気候影響研究所は次のように懸念を表明している:「アラゴナイト飽和度が変化すると、炭酸カルシウムから貝殻や骨格を形成する生物に影響が現れます。珊瑚や軟体生物、重要なプランクトンなどもそうです。こういった種が徐々に減少していけば、食物連鎖が機能しなくなってしまいます」
海洋生物への影響が叫ばれている

ローザンヌ大学で環境科学を研究するドミニク・ブール教授も、海洋酸性化によって海の生物が減少してしまうリスクに対して2023年から警鐘を鳴らし続けている。
大量絶滅は海から始まる?

ブール教授は『Huffington Post』上でこう述べている:「憂慮すべき事態です。地球上でこれまで起きた5回の大量絶滅はすべて、海から始まって陸へと波及しているのです。海の生命は欠かすことができません」
各国政府を動かせるか

こういった科学的知見がまとめられて、ニューヨークの国連本部で報告された。フアン・マヌエル・サントス元コロンビア大統領は記者会見で、各国政府は科学者の声に耳を傾けるべきだと主張している。
トランプ大統領に釘を刺す

ポツダム気候影響研究所のヨハン・ロックストローム所長は『Géo』誌上で、環境問題を認めようとしないドナルド・トランプ米大統領について「仲間であるはずの気候変動懐疑論者からも支持を得ていない」とコメントしている。
常に限界を気にかけるべき

同誌はさらに、メアリー・ロビンソン元アイルランド大統領の次のような発言も紹介している:「あらゆる国家予算や安全保障計画、商業協定などが、次のような疑問から始まるところを想像してみてください:『この計画は、我々がプラネタリー・バウンダリーを踏み越えないようにしてくれるか?』これこそが、いま必要とされている変化です」
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