将来宇宙輸送ら、船からロケット発射する「次世代型宇宙港」コンセプトを披露–投資額は2.5兆円
2040年代の宇宙旅行事業を構想している、ロケット開発スタートアップの将来宇宙輸送システム(以下「ISC」)は10月31日、次世代型宇宙港のコンセプトを初披露した。船を活用した洋上でのロケット打ち上げを可能にする、開かれた宇宙港の実現を目指す。「次世代型宇宙港のあり方を検討するワーキンググループ」の第1期報告会において紹介した。

「次世代宇宙港のあり方を検討するワーキンググループ」の第1期 報告会
2024年8月に組成されたワーキンググループは、現在18社・1大学(ENEOS Power、鹿島建設、日本郵船、三井不動産、室蘭工業大学など)で構成されており、2025年10月までに計22回にわたり議論をしてきたという。その中で、次世代型宇宙港の主要構成要素を3つ設定した。
具体的には、(1)陸上でロケットの整備および燃料運用のための設備、乗客が利用するターミナル施設が整備されている拠点、(2)洋上でロケットを打ち上げるための発射拠点、(3)洋上で乗客がロケットへの搭乗直前まで滞在でき、セキュリティなども整備されている拠点、の3点となる。加えて、観光や教育、研究利用などの目的で人々が訪れる多機能複合拠点として検討を進めてきたと説明する。

次世代宇宙港における各社の役割など
想定する投資額や事業収支も明かされた。投資額(初期費用)は約2.5兆円で、内訳は陸上の各施設設備のほか洋上拠点(船)やロケット発射船などの整備などに関する費用だという。事業収支では、年間収入が約6300億円、費用が約6100億円で、約200億円の利益を見込んでいるという。

投資額・事業収支・経済波及効果などについて説明
実現に向けた課題については、(1)法規制上の課題、(2)技術面の課題、(3)ビジネス面の課題、(4)資金面の課題、(5)関係先との連携や協力、の5点を挙げた。たとえば、法規制上の課題ではロケット打ち上げ・着陸に関する安全基準の具体化、技術面の課題ではロケット発着による各施設への損傷の修復や復旧方法の具体化、資金面の課題では液体水素価格の低減化や液体メタン供給の安定化などとなる。

次世代型宇宙港の実現に向けた課題
同日の報告会では、現時点での検討結果を踏まえた次世代型宇宙港のコンセプト模型も初披露された。ロケット打ち上げや着陸に必要な施設のほか、宿泊・商業機能なども備えた陸地エリアを具現化。また、洋上打ち上げを想定した発射船や、高頻度宇宙輸送を支える大規模ロケット用エネルギー施設などが模型内に反映された。

次世代型宇宙港のコンセプト模型

洋上からロケットを打ち上げる

ロケット関連施設などのイメージ
今後の展開として、2026年4月を目処に第2期ワーキンググループを立ち上げ、新たなメンバーも募集する。第2期では、次世代型宇宙港の各施設の設計解像度を一層高める継続検討や、実証プロジェクトの準備を進める。また、今回のコンセプトをもとに、収益創出や資金循環を促進する新たなビジネスモデルの検討も視野に入れるという。