人体を構成する「原子炭素」は天の川の外からやってきた:その数は7×1027 個!
人体を構成する原子のひみつ

物質を構成する最小単位である原子は、人体の構成物でもある。ある研究によれば、人体は平均 7 × 1027 個の原子でできているそうだ。しかし、これらの原子には、個数よりもさらに興味深い事実が隠されていた。
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宇宙の“ベルトコンベア”

新たな研究によって、人体を構成する各原子は、わたしたちが暮らす天の川銀河の外で宇宙の“ベルトコンベア”に乗り、果てしない時間におよぶ長旅を経験していたかもしれないことがわかった。
元素はどのようにして誕生するのか?

サイエンス系サイト「Live Science」によれば、宇宙に存在する元素のほとんどは、水素やヘリウムをはじめとする一部の例外を除き、恒星中心部での核融合か超新星爆発によって誕生したという。
核融合と超新星爆発

同サイトのハリー・バーカー氏いわく、「こういった(超新星)爆発により、新たに生まれた物質は星間空間に広がってゆきます」これらの物質は巨大な星間雲を形成し、その後、凝縮してゆく過程で恒星や惑星といった天体を作り出したというのだ。
宇宙を漂流する元素

かつては、超新星爆発によって放出された物質は宇宙空間を漂い、その後、新たな天体の材料になると考えられていた。しかし、バーカー氏によれば、比較的重い元素は“巨大な宇宙ストリーム”に巻き込まれているかもしれないことが2011年に判明したそうだ。
銀河周回媒体(CGM)

こういった物質の流れは「銀河周辺物質(CGM)」と呼ばれており、酸素や鉄をはじめとする重い元素は宇宙のどこかにたどり着くまでの間、CGMに乗って移動することがわかっている。
「巨大な鉄道駅のようなもの」

この発見をした研究チームの一員であり、ワシントン大学の博士課程に在学中のサマンサ・ガルサ氏いわく:「CGMは巨大な鉄道駅のようなものだとお考えください。つねに物質を押し出したり、引き戻したりしているのです」
恒星や惑星を形成するサイクル

同氏はさらに、「恒星が作り出す重元素は超新星爆発によってもともとの銀河からCGMに向かって放出され、最終的に銀河に戻ることで、恒星や惑星を形成するサイクルを続けるらしいのです」とした。
宇宙を旅して帰還する物質

つまり、超新星爆発によって放出された物質は宇宙をひとしきり旅した後、もとの場所に帰ってくるらしいのだ。そして、この現象はわたしたちの暮らす天の川銀河でも起こっている。
最新の研究で判明したこと

2024年12月に『アストロフィジカル・ジャーナル』誌に掲載された研究により、炭素原子もその他の重い元素と同様に、CGMの流れに乗って周回している可能性があることが初めて立証された。つまり、人体を構成する元素はきわめて古い可能性があるということだ。
「炭素と酸素の巨大な貯蔵庫」

ガルサ氏いわく:「CGMは炭素と酸素の巨大な貯蔵庫としての役割をもつことが確認されました。そして、少なくとも星形成銀河においては、これらの物質がふたたび銀河内にもどってくるプロセスを繰り返すものと見られています」
星の形成に必要な材料を供給

同氏はさらに、「理論的には、物質を押し出したり引き戻したりするというサイクルが続く限り、星の形成に必要な材料が供給され続けることになります」と解説。
炭素原子は軽すぎる?

「Live Science」のバーカー氏によれば、炭素原子はこれまで、CGMによって銀河から放出されるには軽すぎると考えられていたそうだ。しかし、今回の発見により、これが十分にあり得るばかりか、炭素原子が宇宙を横断している可能性まであると判明。
「知的好奇心を刺激」

研究の共著者でもある、ワシントン大学天文学部のジェシカ・ワーク学部長は「銀河の進化における寄与や、炭素貯蔵庫としての役割というのは知的好奇心を刺激します」とコメント。
「銀河の外でかなりの時間を過ごしていた可能性が高い」

ワーク学部長はまた、「人体を構成する炭素原子は銀河の外でかなりの時間を過ごしていた可能性が高いのです」とした。
わたしたちの知見を広げる発見

さらに、「研究者たちはこれまで、炭素原子は銀河から放出されるには軽すぎるため、そんなこと(人体を構成する炭素原子が長期間にわたり宇宙を漂っていたこと)は起こり得ないと考えていました」と、発見の意義を説明したワーク学部長。この発見は銀河がどのように形成され、消滅するかという疑問について、わたしたちの知見を広げてくれるものだ。
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