AV時代に必須? 信号機に「白色」が必要な根本理由

「白」信号の導入と自動運転車(AV)

 赤、黄、緑の信号機は国際照明委員会(CIE)によって定められている。これらの色は、遠くからでも人が認識しやすい波長の長さを基準に選ばれた。特に赤は最も波長が長く、遠くまで届きやすい色であり、注意を喚起する効果がある。

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 赤は「止まれ」、緑は「進め」を伝える色だ。黄色も赤と同じく「止まれ」を意味するが、赤に切り替わる前の予告の役割を持つ。

 興味深いのは、信号機の既存の3色に

「白」

を加えることを専門家が提唱している点だ。白は「前にならえ」を意味する。

 自動運転車(AV)の普及は、道路交通の構造に大きな変化をもたらす可能性がある。電気自動車(EV)やAVの増加は、エンジニアによる電気道路システムの導入や、都市計画者によるAV専用レーンの設計につながっている。信号機の設計が見直されるのも、決して不自然ではない状況だ。

ネットワーク型自動運転の前提

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自動運転イメージ(画像:Pexels)

 AVの黎明期に、米ノースカロライナ州立大学の交通エンジニア研究チームは、信号機に「白」を追加するアイデアを提唱した。「白」は人間のドライバーに前方の車に追従させる役割を持つ。

 同研究チームは2023年2月、「IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems」で研究成果を発表した。コネクテッドAV(CAV)のネットワーク機能を活用するため、信号に白色光を加えることが提案されている。

 研究によれば、十分な数のAVが信号システムと接続された交差点では、白信号を点灯させる条件が整う。ネットワークに接続されたAVは単独走行ではなく、周囲の交通の流れを把握して運転できる。

 白信号が点灯している場合、交差点にいる人間のドライバーや歩行者は、目の前の車や歩行者に従えばよい。いい換えれば、信号は「前にならえ」を指示していることになる。

 特にテスラなどの自動運転機能を備えた車では、先行車両がAVであるほど運転が楽になる可能性がある。

白信号の効率効果

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自動運転イメージ(画像:写真AC)

 AVの潜在能力を最大限に活用することは、一種の“集合知”を活かすことを意味する。AVは本質的に車輪のついたコンピューターであり、信号機や周囲の複数のAVとネットワークを形成できる。これにより交通渋滞の緩和や燃料・電力効率の向上が可能になる。責任著者のアリ・ハジババイエ氏は、プレスリリースでこう述べる。

「交通流制御の一部をAVに委ねるという考え方は、モバイル制御パラダイム(mobile control paradigm)と呼ばれる比較的新しい考え方です」

「これはAVが関与するあらゆるシナリオにおいて、交通を調整するために使用できます。そして交差点に白色光のコンセプトを取り入れることが重要だと考えています。なぜなら、白色光は人間のドライバーに何が起こっているかを伝え、交差点に近づく際に何をすべきかを知ることができるからです」

このシナリオでは、交差点におけるAVの割合が低い場合、信号は従来通り3色で作動する。だがAVの数が増えると、白信号が人間のドライバーに前方の車に従うよう指示する。

 研究チームは、交通状況を再現するために「ミクロ交通シミュレーター(microscopic traffic simulators)」と呼ばれる高度な計算モデルを用いてシステムをテストした。シミュレーションでは、白信号を追加した交差点の方が車両の通過がスムーズで、燃費も改善された。

 AVの割合が増えるほど白信号の効果は大きくなる。たとえば、AVが全体の10%の場合、交通の遅延は3%減にとどまるが、30%になると遅延は10.7%まで減少した。

港湾でのパイロット導入

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リポート「分散協調による白信号交差点制御:混合交通流における移動制御装置のパラダイム」(画像:IEEE Transactions on Intelligent Transportation Systems)

 研究チームは2020年に白色信号のアイデアを初めて提案した。しかし、信号機がAVの情報を受信して最適なルートを計算する集中型システムでは処理遅延が発生することに気づいた。集中型のコンセプトは実用的ではなかったため、研究チームはより分散型のシステムを設計した。

 分散型のシステムは効率が高く、通信障害にも強い。AVと信号機の通信に中断やタイムラグがあっても、分散コンピューティングのアプローチなら補完や迂回が可能で、交通の流れを遅延なく処理できる。

 研究チームは、まず港湾のように管理された環境で白信号を導入するパイロットプログラムを開始できると説明する。港湾では作業用のAVの割合を高めやすく、4つ目の信号を追加することで運用効率を向上させられると見込んでいる。

 基本的な信号は赤、黄、緑のままだ。しかし白色信号のコンセプトは、将来的に米国や世界中の運転や道路交通のあり方を大きく変える可能性を秘めている。