インフルエンザ警報 ワクチン「打ち始め」時期に感染拡大…医師も驚く「発熱がない」で陽性も 注意点は

 インフルエンザの感染が早くも関東地方などで急拡大している。東京都は13日、定点医療機関から3~9日に報告された患者数が警報基準を超えたと発表した。昨年よりも6週早く、ワクチン接種の時期に重なる。20日公表の患者数はさらに増えた。医療現場では、発熱のない発症者に驚く声も上がる。何が起きているのか。(福岡範行)

◆学級閉鎖の話題が「いつもより早い」

 「つらい期間がコロナより長い。(解熱剤の)カロナールを飲んでも熱が下がらないのは、今まで経験がなかった」。最近、インフルにかかった東京都内の病院職員の女性(45)は「こちら特報部」の取材に、そう嘆いた。

 ワクチン接種から4日後の16日、頭痛やだるさで朝食も作れなくなり、倒れるようにベッドに入った。熱は39.7度まで上がった。近所の医院の発熱外来に受診できたのは、翌17日の夕方。熱は19日にやっと37度前後まで下がった。

せきなどの症状を抑えるために女性が服用している薬=東京都品川区で(本人提供)

 感染リスクは感じていた。数週間前から、子どもの保育園や習い事で、小学校の学級閉鎖や学年閉鎖の話をたびたび聞いた。「いつもより早い」と驚いていた中での感染だった。

 杉並区では17日、インフルで休んでいた小学1年の男児がマンション4階の自宅ベランダから転落した。女性は、子どもの転落事故やインフルエンザ脳症を懸念する。子どもたちのワクチン接種は今月上旬に済ませており、「(効果が)間に合っていると思いたい」と語る。「変な時期にはやっている」と、どう備えるか困惑する。

◆「ワクチンを打つ前にはやってしまった」

 東京都感染症対策部防疫課によると、例年、警報発表は年明けのケースが多い。流行に備えた65歳以上のワクチン定期接種は10月~翌1月に行われる。しかし今季は11月3~9日で警報レベルに達した。翌週の10~16日は定点医療機関当たりの患者報告数が44.75人になり、都の警報基準の週30人を大きく上回る。多いのはA香港型。集団事例では、小学校や保育園からの報告が多くなっている。

 厚生労働省のまとめでは3~9日、関東や東北で定点当たり30人超の報告があり、埼玉県が45.78人、神奈川県で36.57人と目立った。

学級閉鎖を通知する文書(資料写真)

 インターパーク倉持内科日本橋(東京都中央区)の倉持仁代表理事は「ワクチンは11月や12月に入って打つ方が多い。その前にはやってしまった」と語る。今年は発熱がないインフルエンザ患者もいるという。「すごくだるいという方で陽性が散見される。私もびっくりした」とし、積極的に検査を受けることを促す。

 現状、ワクチンや薬、検査キットの不足はないというが、感染拡大のピークが何回か来る可能性も想定する。新型コロナウイルスの感染は「印象では、インフルエンザが20人いると1人以下。まだ多くない」という。

 なぜ、今年はこんなに流行が早いのか。倉持氏は、さまざまな要因が重なっているとしつつ、「日本の四季がなくなってきているという気候の変化や、国内外の人の出入りの影響もあるのではないか。(学校の)運動会などのイベントが秋に戻ってきていて、流行拡大に拍車をかけている可能性はある」と推測する。

◆「1人暮らしの方は早めに受診して」

 感染予防に向けて、東京都はこまめな手洗い、手指消毒、せきエチケットなどの基本的な対策を促す。

感染を防ぐために、こまめな手洗い、手指消毒などをするのがよいとされている(資料写真)

 倉持氏は「初期の症状が強烈で、だるくて全然動けない。若い方もお年寄りも、1人暮らしの方は早めに家族と連絡を取ったり、医療機関を受診したりするといい」と勧める。特に高齢者は、回復から1、2週間後の体調も気にかけるよう呼びかける。

 発症者がきちんと療養することは、感染拡大や死亡者の抑制につながる。倉持氏は「インフルエンザと分かったら、しっかり休んでほしい」と呼びかけた。

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