トランプ米大統領がソマリアを侮辱:ソマリアの首相は大人の対応

トランプ米大統領がソマリアを侮辱:ソマリアの首相は大人の対応
「わが国はいまターニングポイントを迎えている。よくない方へと向かう可能性もあるのだ。言ってよいかわからないが、言わせてもらおう。このまま“ゴミ”のような連中を受け入れ続ければ、米国は誤った方向に進んでしまう」歯に衣を着せぬトランプ大統領とはいえ、この発言は一線を越えていた。ホワイトハウスにおける閣議の席上でなされたこのコメントはソマリア系移民およびソマリアという国家そのものを全否定するものだった。短い発言の中でソマリア移民を「ゴミ」呼ばわりし、彼らの祖国まで侮辱したのである。しかも、いつもの思いつき発言というわけではなく、米国内のソマリア系住民から法的保護を剥奪し、犯罪社やギャング、詐欺師のレッテルを貼るという反移民政策の一貫だった。
ソマリア首相は自制を呼びかけ
ソマリア国内では即座に怒りの声が上がった。多くの国民が強い侮辱を受けたと感じ、トランプ発言をソマリア移民だけでなくソマリアという国家そのものへの攻撃だと受け止めたのだ。そんな中、同国のハムザ・アブディ・バレ首相はあえて理性的な態度を見せ、こうした侮辱は無視し、外交問題を避ける方が賢明だと呼びかけた。

バレ首相は記者団に対し、トランプ氏はこれまでにもナイジェリアや南アフリカなどを侮辱してきたと指摘。いちいち反応することはかえって相手の思うつぼだとした。いわく:「騒動を起こしてことを大きくするのは黙ってやり過ごすよりも有害です」と語り、挑発に乗らないよう国民に求めたのだ。
一方、米国のソマリア系団体は現実的な影響を懸念。不安や偏見、法的な不安定さは増しており、ミネソタ州のようにソマリア系住民が多い地域では、保護資格の撤回がすでに生活を揺るがしているためだ。
暴力を正当化する危険なレトリック
トランプ氏がソマリア系の人々を「ゴミ」呼ばわりしたことは軽口で済まされるものではない。国際社会においてこのような言動をすれば、相互尊重や外交協調といった基本原則が損なわれてしまうだろう。それも、超大国たる米国のリーダーが平然と他国を悪しざまに罵るのだから、いただけない。
しかも、ミネソタ州のソマリア系住民に対する一時保護資格(TPS)が撤回されるなど、今回のトランプ発言は単なる問題発言の域を超えている。同大統領の政治的偏見によって、ひとつのコミュニティがあっさりと切り捨てられてしまったわけだ。

ソマリア国内外のウォッチャーたちはバレ首相による「無視」の呼びかけを、波紋の拡大を抑えるための試みだと受け止めている。一方で活動家らは、反応が弱すぎれば、こうした排外的な言説を常態化しかねないと警告。沈黙は暗黙の了解になってしまうおそれがあるというのだ。
さらに、究極的にはトランプ発言の影響を受けるのは米国内のソマリア系住民にとどまらない。民族や国籍、難民という属性を口実として、法的地位の剥奪や身体的な暴力が正当化されてしまうということだからだ。今回の一件は多様性をめぐる民主的規範のもろさが露呈した例だといえるだろう。
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