ドラマ「じゃあつく」で竹内涼真が再評価のなぜ

「じゃあつく」で勝男と竹内涼真が愛されたワケ, 演技力で脚本の強引さを吹き飛ばす, 26年の春まで竹内涼真の話題で持ちきり, 「竹内涼真=熱い男」のイメージ?, アンチすらファンに変えてしまった, そうそうたる顔ぶれの「1993年生まれ」俳優

今秋のドラマで最も注目されたのが、“エビカツ”を演じた竹内涼真さんだったのではないでしょうか(画像:TBS「じゃあ、あんたが作ってみろよ」公式サイトより)

12月9日夜、今秋最大の話題作となった「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBS系、以下「じゃあつく」に略)最終話が放送され、終了後は「感動」「ロス」などのポジティブな声が多くを占めました。

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「じゃあつく」で勝男と竹内涼真が愛されたワケ

(※以下、ネタバレを含みます)

なかでも反響が大きかったのは、海老原勝男(竹内涼真)の決断。

第1話でプロポーズを断られて別れた山岸鮎美(夏帆)とようやく復縁できたものの、最後に「よし、決めた。終わりにしよう。俺は前に進む。鮎美を応援する」と身を引くことを決断して物語は終了しました。

序盤から勝男と鮎美が復縁するハッピーエンドを期待する声が多かっただけに、「真逆の結末は受け入れられるのか?」という不安がよぎりましたが、視聴者の反応はおおむね良好。

その理由としては、勝男と彼を演じた竹内涼真さんが視聴者から愛されたところが大きいのでしょう。

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豊作と言われた秋ドラマの中で、蓋を開けてみれば一番の話題作となった「じゃあつく」(画像:TBS「じゃあ、あんたが作ってみろよ」公式サイトより)

「じゃあつく」を冷静に振り返ると、第1話の勝男は支離滅裂なキャラクターでした。冒頭から「男が朝から料理するわけないだろ」「(後輩女性に)弁当くらい作れ」「おかずが茶色すぎる」などと物腰が柔らかい一方で、息を吐くように暴言を連発。

極端な亭主関白思考で、「特に天才でも金持ちでもない主人公でこれほど嫌悪感を誘うキャラクターは見たことがない」というレベルでした。

しかし、開始25分で自ら料理を作りはじめるなど性格が一変。後輩2人のアドバイスに耳を傾け、変わろうと努力するシーンが続いたほか、暴言を吐く前に考えるように意識も変化しました。

さらに、鮎美がすぐにミナトくん(青木柚)という新しい恋人を作り、復縁が絶望的になるなど、打ちひしがれる勝男の姿が続出。それを見た視聴者は「ウザいのにかわいい」「頑張っているから応援したくなる」という見方に変わり、序盤の段階ですぐに嫌悪感は消えました。

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料理の奥深さに目覚めた勝男の調理シーンも話題を集めました(画像:TBS「じゃあ、あんたが作ってみろよ」公式サイトより)

演技力で脚本の強引さを吹き飛ばす

つまり、キャラクター設定や展開の速さ、さらに「勝男と鮎美が偶然出くわす」シーンの連発などに強引さが感じられましたが、それらを吹き飛ばしたのが竹内涼真さんの演技。

「昭和の価値観」「他人に完璧を求める」「悪気なく余計なひと言を言ってしまう」などの危うさと、彼女に振り向いてもらうために努力を重ねる純粋さ、という矛盾した人柄をあわせ持つキャラクターを違和感なく演じました。

ネット上に「これだけクセが強い勝男を演じられるのは竹内涼真だけ」「竹内涼真が演じていなければただの嫌なヤツだったかもしれない」「今まで竹内涼真が苦手だったのに『じゃあつく』で好きになった」などの声が散見されたように、「じゃあつく」は竹内さんが主演でなければこれほどの人気作にならなかった可能性が高いでしょう。

実際、現在ネット上に書き込まれている「ロス」の声を見ると、「『じゃあつく』ロス」というより「勝男ロス」という感があり、ひいては「竹内涼真ロス」というニュアンスが感じられます。

しかし、その「竹内涼真ロス」はまもなく解消され、来年の春まで感じずに済むでしょう。その理由はどんなことなのか。さらに、あらためて竹内涼真とはどんな俳優で、彼のどんなところに引きつけられるのか。アンチもファンに変えてしまう、その背景を掘り下げていきます。

まず現在ネット上にあがっている「竹内涼真ロス」が解消されそうな背景について。

18日に主演映画『10DANCE』(Netflix)の世界配信が予定され、竹内さんはラテンダンスの日本チャンピオン・鈴木信也を演じることが明かされています。同作の予告編が配信された段階で「『じゃあつく』より凄いのではないか」という声があがっていました。

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勝男とは役柄がガラリと変わりそうな『10DANCE』での竹内さん(画像:Netflix Japan公式Instagramより)

主なあらすじは、「すべてが正反対の2人のダンサー、鈴木信也(竹内涼真)と杉木信也(町田啓太)は、究極の競技"10ダンス"に挑むため共にトレーニングすることを決める。激しくぶつかり合いながらも、やがて互いの愛に突き動かされていく」。

さらに同作のジャンルは「国内、LGBTQ+映画、ヒューマンドラマ映画、ラブロマンス」であり、“この作品は…”という紹介欄には「敵同士が恋に落ちる作品」という記述もありました。

性格も生き方も異なる2人が1日で全10種目を競う過酷な「10ダンス」に挑み、肉体・精神ともに追い込まれ、ぶつかり合いながらも、互いのダンスへの理解を深める中で強く惹かれ合っていく……。

予告編の映像を見れば、金髪ウェーブで踊る色気たっぷりの竹内さんに、勝男の面影が一切ないことに気づくでしょう。

しかも華麗なダンスシーンだけでなく、男性同士の愛が描かれること。監督を、映画『るろうに剣心』『3月のライオン』やドラマ「ハゲタカ」「龍馬伝」(NHK総合)などを手がけた大友啓史さんが務めることもあって、「竹内涼真ロス」は落ち着きそうなムードが漂っています。

26年の春まで竹内涼真の話題で持ちきり

さらに年明けの1月13日には主演ドラマ「再会~Silent Truth~」(テレビ朝日系)がスタート。異例の2クール連続主演となる竹内さんが演じるのは、「23年ぶりに初恋の相手と再会する刑事」であり、しかも「その女性は殺人事件の容疑者だった」というハードな設定が用意されています。

ラブコメの「じゃあつく」から、ダンスとBLの『10DANCE』、ヒューマンラブミステリーの「再会」に至るギャップは大きく、竹内さんにとっては演技の振り幅を見せるチャンス。

少なくとも同作が終了する26年の春まで竹内さんに関する話題が続き、「竹内涼真ロス」の声が上がりにくくなることは間違いないでしょう。

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実年齢では年の差がある井上真央さんとの“同級生役”も話題となっています(画像:テレビ朝日「再会~Silent Truth~」公式サイトより)

では、あらためて竹内さんはどんな俳優で、彼のどんなところに引きつけられるのか。

最初に竹内涼真という名前が世間に広がったのは、2014年10月スタートの「仮面ライダードライブ」(テレビ朝日系)の主演。同作が翌15年9月に終了すると、さっそく翌月からヒット作「下町ロケット」(TBS系)に出演し、しかも人工心臓弁「ガウディ」の開発チームリーダーという大役を務めました。

阿部寛さんを筆頭に百戦錬磨の俳優がそろう中、「仮面ライダー」終了直後の22歳が見せた、涙をこぼしながらの熱演はインパクト十分。世帯20%前後の高視聴率もあって、一気に全国区の若手俳優となりました。

「竹内涼真=熱い男」のイメージ?

その後、竹内さんは16年に「時をかける少女」(日本テレビ系)や「THE LAST COP/ラストコップ」(日本テレビ系)などにレギュラー出演したあと、17年の朝ドラ「ひよっこ」(NHK総合)では主演・有村架純さんの相手役、「過保護のカホコ」(日本テレビ系)では主演・高畑充希さんの相手役を好演。

また、民放トップのドラマ枠・TBS日曜劇場では、17年の「陸王」、18年の「ブラックペアン」と「下町ロケット2」、20年の「テセウスの船」(TBS系)、24年の「ブラックペアン2」に出演しました。

特に主演作「テセウスの船」は、無差別殺人事件の真相を解明するためにタイムスリップを繰り返すという難役であり、助演には榮倉奈々さん、貫地谷しほりさん、上野樹里さん、鈴木亮平さんと朝ドラ・大河ドラマの主演経験者がズラリ。

そんなハードルの高い主演作を演じた頃から、「竹内涼真=熱い男」というイメージが濃くなっていきました。

さらにそのイメージを決定づけたのが、「君と世界が終わる日に」(日本テレビ系、Hulu)シリーズ。竹内さんは最愛の恋人を救うためにゾンビと戦い続ける男性を全4シリーズにわたって演じました(21年~23年)。

驚かされるのは、その間の22年に「六本木クラス」(テレビ朝日系)でも主演を務めたこと。韓国ドラマのヒット作「梨泰院クラス」の日本版リメイクだけに、放送前は懐疑的な声も少なくありませんでしたが、竹内さんを中心としたキャストの熱演などで乗り切りました。

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不器用ながら一生懸命な勝男がハマり役でした(画像:TBS「じゃあ、あんたが作ってみろよ」公式サイトより)

アンチすらファンに変えてしまった

このようなドラマ出演の流れを振り返っていくと、「竹内涼真=熱い男」のイメージがついていった過程がわかるのではないでしょうか。

しかも主演作はタイムスリップ、ゾンビ、韓国ドラマリメイクなどのクセの強い作品ばかり。それぞれTBS、日本テレビ、テレビ朝日のドラマ班が、リアルではなく、けれんみのある世界観の主演を竹内さんに求め、それに応え続けることでそのイメージを定着させたことに気づかされます。

そんな「熱い男」というイメージがあるからなのか、竹内さんには「押しの強そうな雰囲気が苦手」という声が上がるなど、業界内では「主演俳優の中でも好き嫌いがはっきり分かれるタイプ」と見られてきました。

また、本気でプロを目指したほどサッカーが得意で、他のスポーツや歌、料理なども簡単そうにこなす姿に「男性層からの支持は高くないのでは」とみなす声もありました。

しかし、今秋の「じゃあつく」で、それらの見方を一蹴。「プロポーズを断られ、別の男性に奪われる」という負けっぷりのよさを見せ、「復縁するために空回りし続ける」という応援を誘う演技で、アンチすらファンに変えてしまった感があります。

これまで持ち前の「熱さ」や「押しの強さ」はファンタジーやサスペンスへの強さにつながっていましたが、それに加えて「負ける」「空回りする」という別の一面も見せたことで、今後はコメディへの出演が増えるかもしれません。

もともと撮影現場ではディテールまでこだわる役作りや集中力の高さが評価されていただけに、まだまだ新たな魅力が発掘されていくのでしょう。

「じゃあつく」で勝男と竹内涼真が愛されたワケ, 演技力で脚本の強引さを吹き飛ばす, 26年の春まで竹内涼真の話題で持ちきり, 「竹内涼真=熱い男」のイメージ?, アンチすらファンに変えてしまった, そうそうたる顔ぶれの「1993年生まれ」俳優

鍛え上げられた完璧な肉体美も見どころです(画像:Netflix Japan公式Instagramより)

そうそうたる顔ぶれの「1993年生まれ」俳優

竹内さんは現在32歳ですが、同じ1993年生まれは、26年1月4日スタートの大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合)の主演・仲野太賀さんを筆頭に、菅田将暉さん、神木隆之介さん、間宮祥太朗さん、成田凌さん、福士蒼汰さんなどのそうそうたる顔ぶれ。

主演俳優の当たり年であり、今後もそれぞれの強みを前面に出しながら切磋琢磨していくのでしょう。

さらに25年、邦画実写の歴代興行収入1位を記録した『国宝』の主演・吉沢亮さんも同級生(94年2月生まれ)。そもそも「じゃあつく」は吉沢さんが主演候補だったという話があるうえに、そのクールな印象は竹内さんとは真逆だからこそ、同級生共演への期待感も高まります。

今秋の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」(フジテレビ系)、「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS系)、「ちょっとだけエスパー」(テレビ朝日系)では、主演級俳優を4~5人揃えるという豪華キャスティングが実現しました。

その中で菅田将暉さんと神木隆之介さんが共演しているだけに、竹内さんと同年代主演俳優との共演も期待できるのではないでしょうか。

少なくとも今秋の「じゃあつく」から『10DANCE』「再会」の流れで、竹内さんが世代の中心に躍り出たことは間違いないでしょう。