ポルシェ カレラGTはレース用の917をモチーフにし、乗り手を選ぶスーパーマシンだった【スーパーカークロニクル・完全版/055】

伝説として始まり、革新へと至ったスーパーカーたち。1970年代の懐かしいモデルから現代のハイパースポーツまで紹介していこう。今回は、ポルシェ カレラGTだ。

ポルシェ カレラGT(PORSCHE CARRERA GT:2003〜2006)

カレラGTの透視図。前後のサスペンションともダンパーとスプリングをアッパーアーム上に配している。

ポルシェが2000年のパリ モーターショーで発表したコンセプトカー「ポルシェ カレラGT」。その完成度の高さからして、市販化は間違いないだろうと思われていたが、その車名のまま市販モデルが登場したのは、2003年のジュネーブ モーターショーだった。ポルシェのコードネームでは、タイプ980となる。

1970年代のレーシングポルシェ、917をモチーフにしたといわれるスタイリングは、コンセプトカーと大きく変わることはなく、ライト類などのデザインが少し変更された程度。いちばんの違いは、デタッチャブルトップを採用したことだろうか。キャビン、パワートレーンを搭載するためのリアサブフレーム、そしてボディパネルに至るまでカーボンファイバーが用いられていた。

コクピットの後ろにミッドシップ搭載されたエンジンは、68度のバンク角が与えられたV型10気筒DOHC。このエンジンはル・マン24時間レース制覇のためにポルシェが開発していたものだったが、諸般の事情で日の目を見なかったユニットだ。開発当初の排気量は5.5Lだったが、カレラGTには5.7Lにスープアップされて搭載された。潤滑方式はドライサンプ。最高出力は612ps、最大トルクは590Nmを発生した。

プロトタイプでは5.5LだったV10 DOHCエンジンは市販バージョンでは5.7Lにアップされた。

このパワーユニットに組み合わされたトランスミッションは6速MTで、最高速は330km/hと公称された。リアエンドには速度感応式のウイングが備わり、車速が120km/h以上になると160mmライズアップしてダウンフォースを増し、高速時の安定性に寄与していた。

インテリアでは、左右のシートをセパレートする大きなセンターコンソールが特徴的だが、このインテリアデザインはのちのパナメーラや911などと共通性を感じさせる。そのハイパフォーマンスから想像されるほど室内はレーシーではなく、いかにもポルシェらしい、快適装備も備えたハイクオリティな高級スーパースポーツカーといったイメージだった。

だが、ハイパフォーマンスゆえに限界が高く、しかも限界域でのコントロールには相当のスキルが必要とされた。まさに乗り手を選ぶスーパー ポルシェのカレラGTは1500台限定生産の予定だったが、2006年5月までに1270台しか生産されなかった。

ブレーキにはセラミックディスクや6ポットキャリパーを採用し、強大なストッピングパワーを与えられている。

●全長×全幅×全高:4631×1921×1166mm

●ホイールベース:2730mm

●車両重量:1380kg

●エンジン種類:68度V10 DOHC

●総排気量:5733cc

●最高出力:612ps/8000rpm

●最大トルク:590Nm/5750rpm

●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・92L

●トランスミッション:6速MT

●駆動方式:縦置きミッドシップRWD

●タイヤサイズ:前265/35ZR19、後335/30ZR20