大昔の火星に生物はいたのか? アメリカの火星探査車が発見した生物が生成した可能性のある物質とは

アメリカ航空宇宙局(NASA)は2025年9月10日、火星で見つかった岩石の一部から、「はるか大昔に微生物がいたことを示す可能性のある、リン酸鉄や硫化鉄などの物質が見つかった」と発表しました。一体どんなことがわかったのでしょうか? 小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ12月号」(朝日新聞出版)から紹介します。
■大昔の火星には川や湖があった!
地球以外の太陽系の天体に、生命は存在するだろうか? 科学者たちは、その答えを求めて研究を続けてきた。20世紀半ばまでは地上の望遠鏡で観測するしかなかったので想像する部分が多かったが、1960年ごろからは、惑星探査機が月や火星、金星、木星、土星などに送られるようになり、科学的な調査研究も進んできた。
生命が存在するには、液体の水が不可欠と考えられている。これまでのところ、地球以外のどの天体の表面にも液体の水は見つかっていない。ただし、火星、木星の衛星エウロパ、土星の衛星エンケラドスの地下には液体の水がありそうなことがこれまでの観測からわかっている。そこで、この三つは、生命が存在する可能性がある天体として挙げられている。

この中で地球からいちばん近く、多くの探査機が送られてきたのが火星だ。アメリカは、観測機器や分析機器を積んで火星の表面を走り回る探査車を何機も送り込んできた。2012年に火星に着陸した探査車「キュリオシティ」は、ドリルを使って削り取った火星の岩石の破片を調べ、30億年以上前、火星の表面には川や湖があり、微生物が存在するのに適した環境だったことを明らかにした。
■地球の微生物が生成する物質が火星の岩石から見つかった!
そして、今回のNASAの発表をもたらしたのが、20年7月に打ち上げられ、21年2月に火星に着陸した探査車「パーサビアランス」だ。24年7月、この探査車は、大昔には水が流れていた乾いた川床から岩石を採取し(この岩石は「チェヤバ滝」と名づけられた)、X線やレーザー光を使う分析装置などで調べた。

その結果、この岩石にリン酸鉄や硫化鉄が含まれていることがわかった。 これらの物質は、地球では微生物の活動によって生成されることが確かめられている。このことから、見つかったリン酸鉄などは、かつての火星に微生物が存在したことを示す証拠ではないかという発表になったのだ。

ただ、リン酸鉄などは微生物の活動以外でもつくられるので、微生物が存在した証拠と断定することはできないという。詳しいことは、火星の岩石を地球に持ち帰って調べる必要があるそうだ。
火星から岩石等のサンプルを地球に持ち帰る計画は、アメリカなどで立てられているが、具体的にいつ実行するかは決まっていない。火星に人を送り込んでしばらく滞在し、地球に戻ってくる有人探査の計画も発表されている。しかし、実現には解決しなければならない課題がまだ多くあり、かなり先になりそうだ。
大昔の火星に生物はいたのか? そして、今はどうなのか? その答えを知りたい人は、これからも火星のニュースに注目し続けよう!
(文/上浪春海)
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