恒星が一生を終えたらそれを周回する惑星はどうなる?:宇宙での新たな発見が答えのカギに
太陽系の未来

宇宙を彩る星々にも一生があり、やがて死を迎える。それは太陽系の中心を成す太陽も例外ではない。だが、太陽が生涯の終わりを迎えた後、地球を始めとする惑星たちはどうなってしまうのだろうか? そんな疑問に答えるカギとなる可能性のある新発見があった。
惑星の名前は「WD 1856+534b」

発見されたのは巨大なガス惑星で、「WD1856+534b」と名付けられた。この名前は、惑星が白色矮星「WD1856+534」の周囲を公転していることに由来する(「WD」は白色矮星White Dwarfのこと)。中心となる白色矮星は地球から約80光年の距離にある。
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白色矮星の周りを公転する初めての巨大惑星候補

東京大学のプレスリリースによると、WD 1856+534bはトランジット観測により発見された、白色矮星の周りを公転する初めての巨大惑星候補だという。白色矮星とは恒星の晩年の姿で、核融合の燃料になる物質を使い果たした後の状態だ。非常に高密度なのが特徴で、地球ほどの大きさに太陽と同程度の質量を持つこともある。
画像:Wiki Commons By NASA Goddard Space Flight Center, Artist’s impression of WD 1856b, CC BY 4.0
欧州宇宙機関の説明

欧州宇宙機関のウェブサイトは、白色矮星が形成される仕組みについてこう説明している:「白色矮星とは、核融合の燃料物質を使い果たした赤色巨星が外層を放出、惑星状星雲を形成した際に遺されるコアの部分です」
トランジット観測とは

また、NASAによると、トランジット観測とは、ある恒星の明るさの変化を観測することで、その恒星と観測者の間にあるもの、つまりその恒星の周囲を公転する惑星を発見する手法のことだという。
画像:Wiki Commons By Brocken Inaglory, Own Work, CC BY 2.5
白色矮星のそばでも系外惑星が存在できることを実証

東京大学のプレスリリースはこう述べている:「白色矮星の周りでは、惑星が破壊された後の残骸と考えられる『微惑星』が公転している例はこれまでにも発見されてきましたが、破壊されていない無傷の巨大惑星候補が発見されたのは初めてとなります。今回の発見は、白色矮星のそばでも系外惑星が破壊されずに存在できることを初めて実証したことになります」
画像:NASA’s Goddard Space Flight Center/Scott Wiessinger, Public domain, via Wikimedia Commons
温度や光度が低いことがポイント

欧州宇宙機関いわく、白色矮星は核反応ができなくなっているため、時間とともに温度が下がっていくのだという。今回の発見においてはこの点が重要なポイントとなっていた。温度が低いということは光度(明るさ)も低く、観測がしやすくなるのだ。
画像:Wiki Commons ESA/Hubble, CC BY 4.0
最新の研究で新たな発見が

先述の通り、WD 1856+534bは白色矮星の周囲を公転する初の巨大惑星候補とされていた。だが、最近の研究から、この星はさらにこれまで発見された惑星の中ではもっとも温度が低いものであることも判明したのだ。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を活用

2025年4月に投稿されたある論文のプレプリントによると、WD 1856+534bはこれまで人類が発見した惑星中、もっとも温度が低いものなのだという。このことは、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の中間赤外線観測装置(MIRI)のデータから結論づけられている。
宇宙についての認識を書き換え得る

最新の研究結果は、世界中の科学者からなる研究チームが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測したデータを使って導き出したものだ。この結果は、宇宙に関する我々の認識を大きく書き換え得るものとなっている。
惑星の観測は難しい

そもそも、恒星の光の影響を受けるため、惑星を直接観測することは難しい。宇宙メディア「Universe Today」によると、それが原因でこれまで直接観測することができた系外惑星は非常に広い軌道を持ち、温度も高い、巨大なガス惑星に限られてきたのだという。だが、中心となる恒星が白色矮星になると、この問題が緩和される。
画像:Wiki Commons ESA/Hubble, CC BY 4.0
恒星の死の後、惑星系はどうなるのか

白色矮星は、恒星が死を迎えた後に、その恒星を中心としていた惑星系がどうなるのかという謎についての答えを知る鍵となり得る。そして実際、WD 1856+534bについての最新の研究が正しければ、人類はその謎の解明に一歩近づけたことになるのだ。
画像:Wiki Commons By RJHall, Own Work, CC BY-SA 3.0
論文の説明

論文の著者らはこう説明している:「白色矮星は光度が低く、それ以前の段階にある恒星(主系列星)の周囲では惑星の直接検出を困難にしていた、コントラストの問題が大幅に低減される。太陽のような星がやがてたどる経過の先にいる存在として、白色矮星は、恒星が死を迎えた後、その惑星系がどのような運命をたどるのかについての知見をもたらしてくれる」
重要な情報が得られる

「主系列段階の終わった恒星の周囲の惑星がどのような振る舞いをするのかが分かれば、軌道の安定性や力学的な惑星移動、赤色巨星による惑星の取り込みなどについて非常に重要な情報が得られる」
平均温度は-87℃

ミシガン大学のメアリー・アン・リンバッハ氏が率いるこのチームの研究によると、WD 1856+534bは平均温度が-87℃なのだという。また、サイズについても、当初は木星の13.8倍と見られていたが、最大でも木星の6倍程度とされている。
画像:NASA/JPL-Caltech/NASA's Goddard Space Flight Center
白色矮星のハビタブルゾーンに惑星が存在可能

「Universe Today」のマシュー・ウィリアムズ記者はこう解説している:「この研究結果は、惑星が赤色巨星による取り込みを免れて、白色矮星のハビタブルゾーン(恒星の周囲で、液体の水が存在できる範囲)に移動することが可能であると実証する初めてのものだ」とはいえ、より詳しくは、今年行われる詳細な観測の結果を待たねばならない。
画像:Wiki Commons By ESO/M. Kornmesser, CC BY 4.0
惑星のあり方を書き換えるかも?

WD 1856+534bが我々の宇宙についての認識をどう書き換えるのかはまだはっきり確定していないが、少なくとも白色矮星のハビタブルゾーンに惑星が存在可能なことは明らかとなった。このことが、宇宙における惑星のあり方についての理論的可能性を広げる可能性は十分ある。
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画像:Wiki Commons By ESO/M. Kornmesser, CC BY 4.0