冬の暖房使用の最適解! クルマのA/CをONにするのは大間違い? 1秒でも早く暖めるにはどうすればいい?

寒い冬、エンジンをかけた瞬間から「とにかく早く車内を暖めたい」と思う人は多いだろう。そこで悩むのがエアコンスイッチをONにするべきかどうかという問題だ。暖房時にエアコンをONにするのが正解なのか? また暖房をガンガンかけると燃費への影響はあるのか? EVやハイブリッドはどうなる?
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文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真:Adobe [email protected])
クルマのエアコンは冷房と除湿、暖房だけを使いたいときはどうする?

冷え込んだ冬の朝、エアコンをONにしている人はいませんか?(JUAN@Adobe Stock)
冬場のドライブで快適性を大きく左右するのが暖房の使い方である。夏の冷房と違い、暖房はエンジンの熱を利用するという点が最大の特徴だ。この仕組みを理解すると「エアコンONにするべきか?」という疑問も自然と解けてくる。
まず押さえておきたいのは、クルマのエアコンは家庭用と同じく「冷房・除湿」を司る装置であるという点だ。暖房そのものはエンジンの冷却水の熱を利用して行われるため、理屈の上ではエアコンスイッチをOFFにしても暖房は出る。
つまり「暖かい風を出すだけ」ならエアコンは必須ではない。エンジンが十分に温まった状態で、送風モードを暖房側に設定すれば車内は暖まる。
ただし、エンジン始動直後は冷却水が冷たい。そのため、どんな操作をしてもすぐに温風は出ない。ここで重要なのは、エアコンONにしても暖房の立ち上がりが早くなるわけではないという点だ。暖房の速さは、あくまでエンジンがどれだけ早く温まるかに左右される。
暖房は冷房と違って燃費の影響はない?

エンジン車の場合、暖房はエンジンから発生した熱を活用している。無駄がなく合理的だがエンジンが温まるまでは温風が出ない(Daniel Jędzura@Adobe Stock)
「暖房を使うと燃費が悪くなる」と思い込んでいる人は意外と多い。しかし、エンジン車の場合、暖房そのものが燃費に与える影響は基本的にほとんどない。
理由はシンプルで、暖房は本来捨てているエンジンの排熱を利用しているからだ。冷房のようにコンプレッサーを常時回す必要がなく、追加のエネルギー消費はほぼ発生しない。
ただし、エアコンスイッチをONにした場合は話が変わる。除湿のためにコンプレッサーが作動し、その分だけエンジンに負荷がかかる。とはいえ、その影響は軽微で、冬場の一般的な走行で体感できるほど燃費が落ちるケースは少ない。
EVやハイブリッドの場合、暖房を付けると燃費が悪くなる?

先代リーフの電費情報・電力消費計。「エアコンをOFFにすると+20km」という表示が見える。エアコンによってバッテリーの電力が消費することがわかる
EVやハイブリッドでは、暖房の仕組みがエンジン車と異なる。ここを理解せずに使うと、冬場の電費や燃費に大きな差が出ることもある。EVやエンジンが停止する時間の長いハイブリッドでは、暖房は電気エネルギーに大きく依存する。エンジンの排熱が使えない、もしくは使える時間が短いためだ。
EVには電気抵抗の大きな素材に電流を流して、電気を熱に換えるPTCヒーターが使われるのが一般的。 PTCヒーターはエンジン始動直後からエンジンが暖まるまでの間、通常のヒーターに加えて暖房を補う電気式補助ヒーター。メーカーによって差はあるが速熱性があるので、寒がりはPTCヒーターを選択することをお薦めする。
また家庭用エアコンと同じヒートポンプ式の暖房装置も装着されているクルマもあり、そのヒートポンプから温風を出すことによって、バッテリーの消耗が早まる。つまりPTCヒーター、ヒートポンプともに電費の悪化につながることになるのだ。
暖房装置がヒートポンプ式ではないハイブリッド車の場合には、エンジンの熱を利用するが、バッテリーが充分に充電されているとエンジンが止まってしまう場合がある。暖房の温風が必要な場合には、エンジンを始動する必要があるため、燃費が悪くなるのだ。
またハイブリッド車でも暖房装置がヒートポンプ式の場合には、エアコンを作動させることになるため、その動力源としてエンジンが利用されるので燃費が悪くなる。
もしも信号待ちの停車中に、エンジンがかかって強制暖房が始まってしまったら、一度エアコンをオフにするか、設定温度を下げることで暖房が止まることがあるので、燃費悪化を防ぐにはこのようにするといいだろう。
ちなみに日産リーフや三菱アウトランダーPHEVには、PTCヒーターに加えてヒートポンプ式を採用している。PTCヒーターで温めてからヒートポンプを作動させるが、PTCヒーターと比べると消費電力は小さく効率的だが、一気に温度を上昇させるのは苦手だからPTCヒーターを組み合わせているのだ。
一番のお薦めは寒冷地仕様(相場は1万~3万円)のなかにオプションとして用意されているPTCヒーター。EVやPHEVの場合は、PTCヒーターが標準装備されている場合が多いのでチェックしておきたい。
メーカー、車種によって寒冷地仕様の中身が異なっているが、始動性をよくする強化バッテリーや冷却水が必要以上に冷やされて暖房性能が低下するのを防ぎラジエーターに風が当たらないようにするラジエターシャッターなども含まれる車種もある。
冬に窓ガラスの曇りを取るには?

フロントウインドウが曇ったら、エアコンスイッチをONにして除湿する
冬場に避けて通れないのがフロントガラスやサイドガラスの曇りである。曇りの原因は、車内外の温度差によって発生する結露だ。この対策で最も効果的なのが、エアコンスイッチをONにして除湿を行うことだ。暖房中でもエアコンをONにすれば、空気中の水分が除去され、ガラスの曇りは素早く解消される。
また、風向きをフロントガラスに設定するデフロスターモードも有効である。暖かく乾いた空気を直接ガラスに当てることで、視界の回復が格段に早くなる。
「暖房時はエアコンOFFが燃費に優しい」という考え方は間違いではないが、安全性を優先するなら曇った瞬間にエアコンONが正解だ。
暖房で1秒でもいいから早く暖めるコツは?

シートヒーターやステアリングヒーターは必要な装備(ROMAN@Adobe Stock)
暖房で車内を1秒でも早く暖めたいなら、エンジン始動直後からエンジン回転を高めに維持するために低速ギアに固定して走行することが効果的。でもそれでは冷間時からエンジンの負担が大きく、摩耗などの原因にもなるし、燃費も低下、触媒の温度も不十分で排気ガスの浄化も十分に働かないなど、弊害が大きすぎる。
そのため、寒冷地などではリモコンエンジンスターターで外出前にエンジンを始動させて暖房が効く状態にしてから乗り込むユーザーも少なくない。しかし、それも燃料の無駄遣いにつながるし、首都圏のユーザーならそこまでする必要はないだろう。
なるべく早く暖房自体を効かすには、エアコンのスイッチをオフにすること。それにより空気を冷やす行程は省かれるので温風の温度は上がりやすい。ただし窓は曇りやすいので、曇り始めたらすぐにエアコンを入れて視界を確保することが重要だ。
そして、走行しながらエンジンを暖め、内気循環にして、温風が出るのを待つしかない。毎朝、この暖まるまでの時間が寒くてたまらないという人には、ステアリングヒーターやシートヒーターがお薦め。燃費の悪化をあまり気にせずに暖まることができる。

車内を暖めるための熱を運ぶ役目もしている冷却水。その温度が上がってきたタイミングが暖房のスイッチを入れる目安だ(写真AC)
ではエンジンの始動後、どのタイミングで暖房のスイッチを入れるのが良いのか? その目安となるのが冷却水の温度を知らせてくれる水温警告灯。
気温が低くエンジンがまだ暖まっていない始動直後、水温警告灯は冷却水の温度が低いことを示すブルー(車種によってはグリーン)に点灯している。
走り出して5~10分程度が経過し、水温がある程度上がると、この表示が消えるので、それがスイッチオンの目安となる。水温計があるクルマであれば、ある程度水温が上がり、通常値の範囲に入った段階で暖房を入れるといいだろう。