ミニスカートなら「走れますよね?」 “女だから…”の偏見にさらされた警察官とデザイナー 1960年代ロンドン、服づくりを通じて動き出した再挑戦【漫画】

現代においても差別は深刻な社会問題ですが、1960年代はさらに女性への差別はひどかったようです。しかし、そんななか逆風に立ち向かう女性たちもいました。漫画家・イラストレーターである竹内絢香さんの作品『ロンドンバディーズ』より抜粋エピソード『【Episode 03】Miniskirt』では、女性警官が活躍する姿が描かれています。同作はX(旧Twitter)に投稿されると、約8,300ものいいねが集まりました。

とても画期的なファッションアイテム『ミニスカート』の登場(c) 竹内絢香 / PIE International

ときは1960年代のイギリス・ロンドン。ロンドン警視庁(スコットランドヤード)の女性警官・ホーキンスは、タイトスカートにパンプス姿でスリ犯を追いかけます。しかしこの格好で走るには限界があり、男性警官の手でようやく捕まえました。

男性警部の活躍でなんとか事なきを得たものの、ホーキンスは自分の不甲斐なさに落ち込む (c) 竹内絢香 / PIE International

その後もホーキンスは事件聴取に老人宅へ行きますが、「女をよこすなんてどういうつもりだ 話にならん」とまったく聞き入れてもらえません。職場の男性同僚たちは「散歩しに行ったのかよ」「お嬢ちゃんは現場出るより俺たちの紅茶の好みを把握してもらわねぇとな~」とホーキンスの悪口を言い続けます。

「女だから拒否された」と同僚に伝えると、もう現場に出してもらえないかもしれないため言えず… (c) 竹内絢香 / PIE International

ホーキンスは自身の服装に「せめて自由に動けたら」と考えていると、ディスプレイに飾られたミニスカートを発見します。ミニスカートなら自由に動けると考えたホーキンスは、ブティックの売り子・ローズに「あれって…走れますよね!?」と尋ねました。

ホーキンスの事情を知ったローズは、ふと昔の自分を思い出します。かつてローズは「自分の店を出したい」と考えていたものの、「女がひとりで商売してうまくいくわけねぇだろ」と布を売ってもらえずデザイナーを断念した経緯がありました。

「これだわ!」と直感的に感じたホーキンスは、後日ブティックに向かう (c) 竹内絢香 / PIE International

そこでローズは、ホーキンスに元々自分がデザイナーだったことを明かし「アタシが自由に動けてアンタにピッタリの一着を仕立ててあげる」と提案し手を結ぶこととなります。それから採寸、縫製を経てついにホーキンスの新たなスーツが完成しました。

この頃のイギリスでは、女性が公的な場でパンツを履いてはいけないと考えられてきました。しかし今はいろんなメゾンがパンツルックを提唱しており、ローズは「女性がパンツで働くことももっとフツーになる」との想いを込めてこの一着を仕立て上げます。

ローズは自分の過去にホーキンスの想いを重ねて聞いていた (c) 竹内絢香 / PIE International

それからホーキンスは動きやすい服装になったおかげで、たやすく泥棒を捕まえられるようになりました。ローズもこのことに影響され、自分の店を持つ夢に再挑戦するようです。

読者からは、「2人の格好いい女性像に惹かれた」「物語の雰囲気がよすぎる」などの声があがっています。そこで作者の竹内絢香さんに話を聞きました。

背景の人物まで当時のファッションにこだわっている

―物語の舞台は1960年代のロンドンですが、この時代を描こうと思ったきっかけを教えてください。

もともとイギリスが大好きで、いつか自分でも英国を舞台にした漫画を連載してみたいとずっと願っていました。実際に連載の企画を考える段階で、「日本でメジャーなのはヴィクトリア朝だと思うけど、その時代はすでに先達の作家さん方がたくさん良作を描いてらっしゃるので、私は違う時代で一旗あげたいな…」という野心が出まして(笑)。

比較的時代考証が容易な現代史のおさらいをする中で、圧倒的に面白い!と感じたのが1960年代のイギリスでした。令和の今を生きる私たちが共感できるトピックスもたくさんあると感じているので、ファンタジーのような現実離れした楽しさと、親近感の両方を味わっていただけるように描きたいなと思っています。

―1960年代のイギリスファッションを描いた『60s UK STYLE』などを出版されていますが、本作においてもファッションにはこだわって描いているのでしょうか。

ファッションは1960年代イギリスの大きな魅力の一部であると感じているので、楽しくこだわりを持って描いています。第3話ではミニスカートや女性のパンツスーツなどのアイコニックなアイテムを、背景の人物たちまで楽しく見ていただけるように、当時の写真などを参考に描き上げました。

一方でこれらの若者の「奇抜な」ファッションはまだまだ一部の人にのみ受け入れられたものだったため、ホーキンスの職場の人々や通行人など、当時の大多数であった「一般的な大人の装い」も描き入れるようにしています。

ホーキンスとローズは良き話し相手となったようだ (c) 竹内絢香 / PIE International

ひとくちに1960年代といっても、流行の移り変わりが非常に激しく、登場するスタイルも様々なため、キャラクターによって着こなすスタイルが異なるように作画しています。既刊の『60s UK STYLE』を併せて読んでいただくと、より深読みが出来て楽しめるかもしれません。

『ロンドンバディーズ』は、コミックスも出していただける予定です。とにかく、ますます面白くなるよう毎月全力で制作していますので、よりたくさんの方にご覧いただければと願っています。

<竹内絢香さん関連情報>

▽『ロンドンバディーズ』

パイコミックスにて連載中

https://comics.pie.co.jp/series/lonbud/

単行本第1巻予約受付中(Amazon)

https://www.amazon.co.jp/dp/4756261264

▽X(旧Twitter)

https://x.com/ayakatakeuchi56

▽Instagram

https://www.instagram.com/ayakatakeuchi56/

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』1(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』2(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』3(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』4(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』5(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』6(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』7(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』8(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』9(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』10(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』11(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』12(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』13(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』14(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』15(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』16(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』17(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』18(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』19(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』20(c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』21 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』22 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』23 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』24 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』25 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』26 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』27 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』28 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』29 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』30 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』31 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』32 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』33 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』34 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』35 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』36 (c) 竹内絢香 / PIE International

【漫画】『ロンドンバディーズ 【Episode 03】Miniskirt』37 (c) 竹内絢香 / PIE International

(海川 まこと/漫画収集家)

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