スピンオフとしても、単体としても傑作のRPG! 『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』レビュー

広大な世界が手のひらに, 奥深いバトルシステム, 優れたゲームサイクル, エンドゲームについて

An incredible evolution of an already great spin-off series.

『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』(以下、ストーリーズ3)のように奥深いRPGについて語り始めるのは、どこから手をつければいいのか迷うほどだ。私は2017年に『モンスターハンターストーリーズ』、そして2021年に『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』をレビューしてきたが、当然ながら、当時感じた多くの魅力は本作にもそのまま受け継がれている。

「ストーリーズ3」にはやるべきことが実に多く、そのすべてがしっかりと報われる内容になっている。私は75時間ものプレイ時間を喜んで費やしたが、その一瞬一瞬を心から楽しむことができた。

さらに、数々の賢い改良によって、ゲーム内の多彩なシステムにこれまで以上に触れやすくなっている一方で、その奥深さが損なわれることもない。その結果、すでに優れたシリーズをさらに発展させた、理想的な進化形といえる一本に仕上がっている。

「ストーリーズ3」は、長年愛され続けてきた「モンスターハンター」シリーズから生まれた、ターン制のモンスター収集型RPGスピンオフだ。

本編シリーズのようにモンスターを狩って素材から装備を作るだけでなく、本作では「オトモン」と呼ばれるモンスターたち――いわば“モンスターのベストフレンド”――と共に狩りに挑むことになる。「ポケモン」のように、パーティには最大6体のオトモンを編成でき、戦闘中に入れ替えることも可能だ。ただし「ポケモン」と違うのは、プレイヤー自身も戦闘に参加し、「モンスターハンター」シリーズおなじみの武器や防具を身に着けてオトモンと並んで戦う点だ。

この基本的なゲームシステム自体は、本作で大きく革新されたわけではない。それでも、もともと十分に面白い仕組みであるため、無理に大きく変える必要はなかったと言えるだろう。

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まず目につく変化は主人公に関するものだ。第一に、今回は子供ではなく大人のキャラクターとして物語を進めることになり、全体の雰囲気もやや成熟したトーンへと寄っている。第二に、主人公自身にしっかりとした個性とセリフが用意されている点だ。そう、シリーズで初めて、オトモアイルーが代わりに話すのではなく、主人公自身が言葉を発するのである。

「ストーリーズ」シリーズは基本的に若い層を意識した作りだが、これまでの2作で登場したナビルーの大げさなダジャレや、子供向け番組のような一言ギャグは、私には少々やりすぎに感じられることもあった。今回新たに登場するオトモアイルーのルディは、より分別があり頼りになる存在で、ユーモアもありつつ、大げさなマスコットキャラクターのような振る舞いはしない。

主人公はただの無名の人物というわけでもない。彼/彼女は一人前のエースライダーであり、レンジャー隊の隊長でもある。レンジャー隊とは、アズラル王国の生態系を調査し、保護することを目的とした、いわば環境保護組織のような存在だ。

この設定は、実際のゲームプレイとも非常に相性が良い。プレイヤーは侵獣を排除し、絶滅危惧種を再び生態系へ戻すといった活動を行うことになるからだ。

そしてもうひとつ付け加えるなら、主人公はその王国の王子/姫でもある。

主人公はすでにその分野のエキスパートであるため、本来なら誰かにイチから手ほどきを受ける必要はない。しかし、プレイヤーが初めてこのシリーズに触れる場合はどうするのか。このジレンマをうまく解決するため、本作ではチュートリアルを巧みに処理している。新米レンジャーのティオに、主人公が指導するという形を取ることで、チュートリアルは自然に、そしてストレスなく、手早く進んでいくのだ。ただし、完全な新規プレイヤーにとっては少し説明が足りないと感じる可能性もあるだろう。

とはいえ、本作は早い段階で本格的な冒険へとプレイヤーを送り出してくれる。もちろん、最初のマップが開放された途端に探索へ夢中になってしまわなければ、の話だが(少なくとも「伝承の儀」だけは解放してから寄り道するのがおすすめだ)。

こうした変化はどれも新鮮で歓迎すべきものだった。これまでの「ストーリーズ」シリーズでも感情的なテーマには触れていたが、本作では雰囲気が、どこか間の抜けた土曜朝のアニメのような作風から、『アバター 伝説の少年アン』のような少し落ち着いたトーンへと変わったように感じられる。

もっとも、物語そのものはそこまで深いものではない。展開としては、これまでの「モンスターハンター」で見慣れた構図に少しひねりを加えたものだ。何らかの異変(今回は「石化現象」)によってモンスターが暴走し、それによって影響を受けたモンスターに立ち向かいながら、事態の原因を突き止めて地域を救う――という流れである。

一般の人々への影響や、より大きな政治的混乱といった要素も描かれており、その点は興味深い。しかし、その部分については、もう少し時間をかけて掘り下げてほしかったとも感じた。

革新的とまでは言えないものの、物語そのものは十分に楽しめた。ところどころに予想外の展開があり、思わず目頭が熱くなる場面もある。長年のファンに向けた過去作へのリファレンスやカメオ出演もさりげなく盛り込まれているが、押し付けがましさは感じない。具体的な内容は伏せておくが、中には思わず声を上げてしまうほど興奮したシーンもあった。

広大な世界が手のひらに

最初からエースライダーとして物語が始まることのもうひとつの利点は、相棒として成体のリオレウスを連れてスタートできる点だ。そのおかげで「ストーリーズ3」のセミオープンワールドを、いきなり空から探索することができる。「飛ぶ」というよりは「滑空」に近い感覚だが、マップ各所に設けられた上昇気流や、いつでもファストトラベルできる高所の拠点が豊富に用意されているおかげで、探索はとても快適だ。

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オトモンに乗ってフィールドを移動するのは、それだけで純粋に楽しい体験だ。しかも騎乗中でもオトモンの切り替えは完全にシームレスに行える。

各モンスターは複数の「ライドアクション」を持つことができるのも特徴で、先ほど触れた飛行のほか、泳ぐ、登るといった移動系の能力が用意されている。さらに、移動以外のアクションもあり、例えば「咆哮」でフィールド上のモンスターをひるませてそのまま横を通り抜けたり、「ブレス」で敵を吹き飛ばしたり空中から叩き落としたりすることも可能だ。

1体のモンスターが複数のライドアクションを持てるようになったことで、探索をしっかり行えるパーティを組みやすくなった。これは「ストーリーズ2」からの大きな改善点だ。前作では、ライドアクションの都合でモンスター選びがかなり制限されてしまう感覚があったからだ。

奥深いバトルシステム

「ストーリーズ3」のバトルシステムは、私がこれまで遊んできた多くのターン制RPGと比べても、かなり奥深いものになっている。モンスターには「パワー」、「スピード」、「テクニック」という3種類の攻撃タイプがあり、これはいわばジャンケンのような関係で相性が決まる。さらにそこへ、属性ごとの弱点や耐性も加わる。

プレイヤーであるライダー側も、6種類の武器の中から選んだ装備によって3種類のダメージタイプを使い分けることができ、それぞれに異なる特徴がある。モンスターの部位を個別に狙うことも可能で、部位ごとに特定の武器ダメージタイプへの弱点が設定されている。戦闘中は3つの武器を自由に切り替えられるため、弱点を突く戦い方ができる仕組みだ。

要素だけ聞くと複雑に思えるかもしれないが、さまざまな状況に対応するために常に複数の武器を強化して持ち歩くようになり、そのおかげで戦闘は最後まで新鮮な感覚を保っていた。

基本的な仕組みは「ストーリーズ2」のバトルシステムとよく似ているが、本作ではさらに拡張が加えられている。例えば、同行させる仲間を選ぶ際には、ほぼ常に複数の味方とそのオトモンの中から選択でき、それぞれが異なる戦術やアイテムを持っている。「絆ゲージ」がスタミナとは別に管理されるようになったため、スキルを使っても必殺技にあたる絆技の発動に影響しなくなった。特にスタミナ消費の激しい狩猟笛を愛用する私にとっては、これは本当にありがたい変更だ。

さらに、敵モンスターには新たに「竜気ゲージ」が追加された。武器や攻撃ごとに竜気ゲージへのダメージ値が設定されており、このゲージを削り切ると敵はダウンし、よろめいて行動をスキップすることになる。

これは単に最適な武器で最適な部位を攻撃するだけではない、新たな戦略性を生み出している。時には部位ではなく竜気ゲージを狙うことこそが、パーティの生存を確実にする最善の判断になる場合もあるのだ。

考えることは多いが、そのおかげで戦闘が単純に通常攻撃を連打するだけの消耗戦になることはない。1戦ごとに多少時間はかかるものの、バトルアニメーションの速度を2倍にできることもあり、私にとっては長すぎると感じることはほとんどなかった。戦闘が少し作業的に感じ始めた頃には、フィールド上の弱いモンスターを一撃で倒せるようになっていた。これでも素材や経験値はきちんと手に入るため、簡単すぎる戦闘をわざわざこなす必要がないのもありがたい。

純粋なレベル上げのために延々と戦うようなことを求められなかったことも、戦闘に飽きずにいられた大きな理由だ。ミッションを進めたり、サブタスクに挑んだりしつつ、新しく出会ったモンスターと少なくとも一度は戦うようにしているだけで、レベルは十分に追いついていった。

優れたゲームサイクル

「ストーリーズ3」では、物語や探索が新たなシステムやロケーションをプレイヤーへ導く原動力になっている。しかし、本当に輝いているのは、モンスターの巣の探索、狩猟、装備強化といったゲームサイクルそのものだ。

さまざまなシステムが見事に連動しており、まるで自らの尾を食むウロボロスのように、ひとつの行動が次の行動へと自然につながっていくゲームループが形成されている。

私は最初のエリアだけで20時間近くを費やしてしまった。次のエリアへ進む前に、できることはすべてやっておきたかったからだ。私が夢中になっていた要素の多くは任意のものだったが、だからこそ没頭しやすかったのだと思う。

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「モンスターハンターストーリーズ」を知らない人のために説明すると、本作の仕組みは一般的なモンスター収集ゲームとは少し異なっている。フィールド上やランダムエンカウントでモンスターと出会い、それを捕まえたりドロップを狙ったりするのではなく、モンスターの巣に潜ってタマゴを探すのが基本だ。

このシステムにはいくつかのガチャ的要素が重なっている。巣の出現そのもの、巣の中にあるタマゴの種類、そして孵化したオトモンが持つスキルがある程度ランダムに決まるのだ。とはいえ、それがわずらわしく感じることはほとんどなく、むしろ非常によく機能している仕組みになっている。

広大なマップにはさまざまな地域が存在し、それぞれの環境には特定のモンスターが生息している。そして、その地域の巣で見つかるタマゴからは、そうしたモンスターの種が孵化する可能性がある。

フィールド上には3段階のレアリティを持つ巣が出現し、それに応じて見つかるタマゴにも3つのレアリティがある。巣の中で手に入るタマゴは模様によってモンスターの種類を判別できるが、実際にオトモンとして孵化させてみないと、どんな遺伝子を持っているのかは分からない。この遺伝子が、そのオトモンのアクティブスキルやパッシブスキルを決定する。タマゴのレアリティが高いほど、孵化したオトモンが持つ3×3の遺伝子ボードの内容も優れたものになりやすい。

タマゴを孵化させると、コレクションやパーティに加えられる新しいオトモンが手に入るだけでなく、そのモンスターの遺伝子スキルがすべてのオトモンで解放される。遺伝子はキャンプで行える「伝承の儀」を使えば、オトモン同士のあいだで自由に移動でき、何度でも並び替えることが可能だ。

この並び替えは重要な要素で、遺伝子ボード上で同じ色やタイプの遺伝子を3つそろえると「ビンゴ」が発動し、オトモンにさまざまな強化効果が付与される。この仕組みは「ストーリーズ2」から大きく変わった部分でもある。前作では、ひとつの遺伝子を移すたびにベースとなるモンスターを消費する必要があり、しかも遺伝子の並び替えはできなかった。これだけ多くの要素を一度に決断しなければならないシステムは、優柔不断な私にとってはほとんど拷問のようなものだった。その点、「ストーリーズ3」では好きなだけ試行錯誤できるようになっており、プレイヤーの自由な実験を歓迎する作りになっている。

こうした従来の遺伝子制限は、本作で新たに導入された「里孵し」のシステムとも相性が悪かったはずだ。この要素では、余分なオトモンを野生へ戻し、生態系を回復させていくことになる。

まずはその地域にいる凶異モンスターを討伐してキャンプを設営できるようにする必要があり、どちらもそれなりに手応えがあるうえ、達成感のある目標になっている。さらに、キャンプを解放するごとに、そのマップで見つかるタマゴから孵化するオトモンに付与されるステータスボーナスも上昇していく。

そしてキャンプを設営した後は、そのエリアへモンスターをモンスターを里孵しできる。特定の種を多く解放するほど、そのモンスターの生態系ランクが上昇し、最終的にはSランクまで到達する。

広大な世界が手のひらに, 奥深いバトルシステム, 優れたゲームサイクル, エンドゲームについて

かつて絶滅危惧種の巣だった場所には、いまでは侵獣が居座っているケースもある。こうした巣は半ば隠された場所に点在しており、そこにいる侵獣を撃退できれば、絶滅危惧種のタマゴを手に入れることができる。そのタマゴを好きな生息地へ再導入し、さらに特定の条件を満たすことで、そこから1種、あるいは2種の変異種モンスターを誕生させることも可能になる。侵獣を撃退するのは簡単なことではない。まずはその縄張りをステルスで探索し、追い払うための手がかりを集める必要がある。例えばチュートリアルとして登場する侵獣イャンガルルガの場合、脚の部位を破壊して転倒させることで撤退に追い込めた。これは侵獣ギミックの中でもおそらく最もシンプルな例だろう。

侵獣ごとに攻略法は異なり、それぞれがひとつのパズルのようになっている。解決策を見つけて実行する前に、侵獣の強烈な攻撃でパーティが何度も一撃で倒され、全滅してしまう可能性もあるのだ。

侵獣を攻略し、絶滅危惧種を救出する過程はとても楽しい。ただ、見つけたヒントはスクリーンショットを撮って残しておく必要があった。というのも、一度入手したヒントを後から確認できる方法が、私の知る限りゲーム内には用意されていないからだ。戦闘を2倍速で進めてしまったせいで重要な合図を見逃してしまったこともあった。例えば侵獣セルレギオスが咆哮する際、周囲の色が一時的に変化するといった演出だ。もっとも、撃退に失敗した場合はヒントが与えられる仕組みになっている。ただ、その内容は巣の中で見つける手がかりや、仲間のコメントほど詳しいものではなかった。

エンドゲームについて

侵獣を撃退した後は絶滅危惧種の巣の奥で実際に討伐へ挑むこともできる。ただし、これは明らかにエンドゲーム向けのコンテンツだ。というのも、撃退時の侵獣のレベルが50であるのに対し、討伐に挑む際にはレベル75になっているからだ。「天変古龍」も同様で、少なくともアズラルに出現するネロミェールはレベル75だった。参考までに言うと、私はストーリークリア時でレベル65ほどだったので、どれだけ歯ごたえのある挑戦なのかは想像できるだろう。こうした強敵がゲームのかなり早い段階から姿を見せるのも面白い点だ。侵獣は新しいマップに入った直後に遭遇することもあるし、古龍は夜間の戦闘後に一定確率で出現するようになっている。

「ストーリーズ3」のほかの要素と同じく、たとえ15分ほどボコボコにされ続けたとしても、その時間が無駄に感じることはなかった。とはいえ、こうした終盤向けモンスターへの挑戦や、絶滅危惧種をすべて孵化・変異させて図鑑を完成させること以外には、いわゆるエンドコンテンツと呼べるものはあまり用意されていない。

クリア後にゲーム内容がまったく変化しない点は、少し残念だった。これまでの「モンスターハンターストーリーズ」には対人戦があり、「ストーリーズ2」ではマルチプレイのダンジョンも存在していたが、「ストーリーズ3」にはそうした要素が見当たらない。今後、無料アップデートで追加されることに期待している。とはいえ、それがなくても、本作のストーリーをクリアするまでに約65時間を費やしたし、サイドコンテンツを進めるためにさらに10時間ほど楽しく遊び続けている。まだ討伐していない古龍が1体残っているし、撃退すべき侵獣もいくつか控えている。サイドクエストもまだ半分以上が未消化だ。