中国「超大国」の地位固め、習氏は肩透かし

中国の習主席は、トランプ米大統領との首脳会談を中国の超大国としての地位を高める手段と捉えている
中国の習近平国家主席は、4月に予定されていたドナルド・トランプ米大統領との首脳会談を通じて、米国と対等の超大国という中国の地位が確固たるものになると期待していた。しかし、米国側から延期要請があり、国際問題を主導しているのは依然として米国であるという事実を、苦々しくも思い知ることとなった。
トランプ氏は、イランとの戦争に対処するため米首都ワシントンにとどまる必要があると判断し、当初4月1日に北京で予定されていた首脳会談を「1カ月程度」延期するよう求めた。この動きは、中国政府の外交日程を尊重することや、トランプ氏が称賛している権威主義者の習氏との個人的なつながりを強化することよりも、米国の安全保障上の懸念の方がはるかに重要であることを示唆している。
この要請に対し、中国当局者の間では無言のいら立ちと公然とした拒絶反応が入り交じっている。中国は現在、米国が戦争を遂行する中で静観している。この戦争は世界の石油市場を混乱させ、中国にとって主要な原油供給源であるペルシャ湾からのエネルギー輸出を阻んでいる。中国当局者らはそれ以前から、米国側が首脳会談の事前準備を行わないことについて、内々に不満を漏らしていた。
政治リスクコンサルティング会社ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は、「今回の延期は、世界の安全保障に関して米国が依然として最も重要な存在であり、トランプ氏がそれを全面的に打ち出していることを改めて示している」と述べた。
今回の「冷遇」が痛手となるのは、米国にとって真に対等な世界的パートナーは中国だという中国政府のナラティブ(物語)に冷や水を浴びせるからだ。この主張は、中国がトランプ氏の関税措置を乗り切り、挑戦的な態度を示したことで、ここ1年で強まっていた。中国は初めて、米国のハイテク・防衛部門に不可欠なレアアース(希土類)の支配を武器化した。中国はトランプ氏から譲歩を引き出し、中国には今や独自の強力な経済的手段があることを米国に認めさせた。
それでも、世界が中国を米国と対等な超大国として受け入れるまでには、まだ長い道のりがある。

中国の貿易政策をアピールする何立峰副首相(スイス・ダボスで1月)
今年1月には、習氏の経済政策の司令塔である何立峰副首相率いる代表団が、世界経済フォーラム(WEF)年次総会が開催されるスイスのダボスに到着し、慎重に調整してきたアピールを行った。中国はもはや単なる世界の工場ではなく、「超巨大市場」であり、自由貿易の港である、というものだった。
このメッセージは失敗に終わった。トランプ氏が、ダボスでの挑発的な演説とデンマーク自治領グリーンランドに対する脅しによって、中国代表団の存在感をかき消したのだ。中国代表団は、すでにショーを独占してしまったスターの前座のような気分を味わった。
ダボスで中国代表団と交流した米コーネル大学のエスワー・プラサド教授は、「当局者らは、他国を受け入れるという(中国の)姿勢に対して肯定的かつ熱狂的な反応があると期待していた」と話す。「だが、トランプ氏が注目の大半をさらってしまったため、このメッセージが不発に終わったことを彼らは落胆とともに認識した」
同じ力学が今、より広い舞台で展開されている。一部の中国当局者は内々に、イラン危機を外交プロセスの「バグ」と表現している。つまり、一時的な問題によって、米中関係というより重要な課題への取り組みが頓挫してはならないという意味だ。
中国外務省は外交辞令として、首脳会談について米中双方が「意思疎通を続けている」と述べている。だが、中国政府のより好戦的な本音を代弁することが多い、民族主義的な国営タブロイド紙「環球時報」は、会談延期の背後にある論理をあざ笑っている。
同紙は、イラン戦争は米国自身が招いた混乱であるが、今や中国を紛争に引きずり込むためのカードとして利用されていると評した。さらに、トランプ氏が、天安門広場にある広大な新古典主義様式の国家の宮殿のような人民大会堂に姿を見せることと引き換えに、世界の石油供給の5分の1が通過するホルムズ海峡の警備を支援するよう中国に強要しようとしていると論じた。
さらに、首脳会談が延期されたことによる代償が主要な争点となっている。一部の中国当局者は、米国のイランでの戦争が続く限り、米国が首脳会談の日程を確定するのは難しいだろうと示唆している。また、トランプ氏は中国がその影響力を使ってイランに(特にホルムズ海峡に関して)譲歩を迫るよう望んでいるかもしれないが、中国側の協力はただではないと彼らは主張している。中国は仲介役としての立場を整えつつあるが、同国がイランに圧力をかける場合は、同時に米国に攻撃中止を要求して、米国の完全勝利には見えないようにするだろうと、これらの当局者は述べた。
今のところ、そのいら立ちは明白だ。中国政府は、訪中日程よりも作戦指令室の地図に関心を寄せているらしいトランプ氏が最終的にうなずくのを待つという、気まずい立場に置かれている。
元米国務次官補(東アジア・太平洋担当)で、アジア・ソサエティ政策研究所(ASPI)副所長を務めたダニエル・ラッセル氏は、中国政府は「突然の土壇場での延期を、無礼だと」受け止めていると指摘した。それでも、日程を軽視されたとはいえ、習氏はこの首脳会談をトランプ氏と同じくらい強く望んでいる。
「彼らは実利主義者だ。依然として会談を開くことはトランプ氏への対応に不可欠だと考えている」とラッセル氏は述べた。

昨年9月、北京を訪れたロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩総書記(右)と並ぶ習主席
中国経済が大きな逆風に直面する中、首脳会談が成功すれば、米中関係を安定させ、世界的に対等な立場とのイメージを打ち出すめったにない機会となる。
習氏にとって、トランプ氏をもてなすことは、自らを証明する究極の裏付けとなる。習氏はこれに先立つ1年、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領や北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記、イランの指導者ら、米国と敵対する「重要人物」を北京に迎えてきた。だがそのもてなしのどれ一つとして、現職米大統領による北京訪問ほどの重みを持つものはない。
ラッセル氏によると、中国にとって不幸中の幸いは、「訪中延期により、中国政府はトランプ氏を歓迎しながら、イランへの攻撃を違法な侵略だと非難する気まずさを味わわずに済む」ことだという。
見た目だけでなく、台湾を巡る戦略的な計算もある。米政府の台湾への関与が次第に予測不能に感じられる中、トランプ氏が北京にいたという事実だけで、習氏には勝利を意味するだろうと、中国内外のアナリストは指摘する。
中国政府には、トランプ氏と習氏が並んで立つ光景が台湾政府の自信を揺るがすはずだとの計算が働いているようだ。アナリストらによると、二つの超大国が話し合いの席に着くとき、より小さな友好関係にある国・地域の利害は常に交渉のテーブルに載せられることを、台湾と世界に示せるからだという。
こうした計算は、習氏が唱える「100年に一度の大変革」の重要な柱となっている。これは、中国政府が次第にルールを決定するようになる「ポスト西側世界」の構想だ。
だがベネズエラへの軍事介入やイランへの攻撃など、2026年の出来事が明らかになるにつれ、世界情勢のテンポを主導するのは、引き続き「トランプ流」の変革だと分かる。トランプ氏は戦争対応のために首脳会談を一方的に停止することで、中国政府にとって皮肉な状況を浮き彫りにした。すなわち、中国は国際秩序を再編する準備ができているかもしれないが、今のところ、その秩序を壊すことに熱中する米国の大統領に反応するのに手一杯だということだ。