重度知的障害の妹が、外で暴れて自傷行為を行う…翻弄される家族の壮絶な日々に「お姉ちゃんつらすぎる」【漫画】

「障害者の妹のせいで私は幸せになれない」と思わず考えてしまう
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。
今回は年の差夫婦コミック『家事は女の仕事だろ? 共働きなのに何もしない20歳上の夫』の作者・うみこさんに注目し、飛鳥新社より出版された『妹なんか生まれてこなければよかったのに きょうだい児が自分を取り戻す物語』をご紹介しよう。

『妹なんか生まれてこなければよかったのに きょうだい児が自分を取り戻す物語』書影
同作は、重度知的障害を持つ妹のきょうだい児にスポットを当てたコミックエッセイ。以前うみこさんのX(旧Twitter)に1話と2話がポストされると、合計で約3000の「いいね」が寄せられている。そこで作者のうみこさんに、同作を描いたきっかけについて話を伺った。
重度知的障害を持つ妹とその姉。友達とも遊んでもらえない壮絶な日々

『妹なんか生まれてこなければよかったのに』(飛鳥新社)より(5/32)
主人公の透子には、2歳下の妹・桃乃がいる。桃乃はしゃべることもなく、すぐ叩いてくるため、透子は困っていた。その後、透子は幼稚園に通いはじめると、桃乃と同年代の子はしゃべっていることに気付く。桃乃は重度知的障害を持っていたのだ。
それからしばらして、透子は9歳となるが、桃乃は依然として生活のすべてに介助が必須。そんなある日、透子は友人たちに公園に誘われる。すると母親にお願いされ、桃乃も一緒に公園へ行くことに。しかし、友人たちは桃乃の姿を見かけると…。
読者からは「妹がいるから一緒に遊べないなんて…お姉ちゃんつらすぎる」「お母さんを助けるために、透子ががんばる姿に涙が出た」などの声が寄せられている。
「これからも大切に物語を紡いでいきたい」と話す作者のうみこさん

『妹なんか生まれてこなければよかったのに』(飛鳥新社)より(8/32)
――『妹なんか生まれてこなければよかったのに きょうだい児が自分を取り戻す物語』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
社会福祉士として、これまで障害のある方々やそのご家族と関わる機会は多くありましたが、「きょうだい児」という言葉に触れることはありませんでした。他の多くの人と同じく、Xのトレンドで、初めてその言葉の存在を知りました。私自身、専門職でありながらも、知識や経験の中に抜け落ちている領域があることを痛感しました。
そして、きょうだい児の方々が語る本音を読み、強い衝撃を受けました。その投稿は、障害のある兄弟姉妹への複雑な感情を吐露した内容でしたが、それを見て、きょうだい児の方々は「SNSでしか本音を言えない人も多いのかもしれない」と感じたことが、きょうだい児の女性を主人公にした漫画を描くきっかけです。
――同作を描くうえでこだわった点や、注目して欲しいポイントがあればお教えください。
「きょうだい児」とひとくくりにされがちですが、実際には、障害のある兄弟姉妹との関係が良好な人、表面上は関係を続けていても、その内面では複雑な感情や葛藤を抱えている人、家族と縁を切る選択をした人など、その想いや立場は驚くほど多様です。
また、悩んでいることや困りごとも、それぞれの立場や家庭環境、障害のある兄弟姉妹の特性、きょうだい児自身の年齢によっても変わっていくと取材を通して感じました。ですので、漫画ではきょうだい児を代弁するのではなく、ひとりの人生を描くことを心掛けました。
――同作は「きょうだい児」の人生を描いた作品ですが、とくにどのような人に読んでもらいたいですか。
当事者の方はもちろん、できればご両親にも読んでいただきたいです。ご両親にとっては辛い場面もあるかもしれませんが、きょうだい児の抱える悩みや不安などを少しでも理解しようと思ってくださったら嬉しいです。
また、当事者の小中学生くらいだと、電子書籍で買えなかったり、本を買いにくかったりするかもしれないので、学校や図書館などに置いていただけたら、気軽に読めると思うので公共の場所で広がったら嬉しいです。
――今後の展望や目標をお教えください。
社会福祉士としての社会経験を、漫画に生かせたらいいなと思います。福祉に関わる漫画ももっと描いてみたいですし、愛媛の田舎に住んでいるので、後継問題なんかも興味があります。
地方は高齢化が進んでいて、後継がおらず自分の代で事業を終わらせてしまう方も多いです。田舎のいいところなどももっと描いていけたらと思っています。目標は、自分の漫画がドラマ化や映画化することです。目指してこれからも精進します。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつもお読みいただきありがとうございます。読んでくださった方の心に静かに残るものであれば嬉しいです。これからも大切に物語を紡いでいきますので、今後もぜひ楽しみにしていただけたら嬉しいです。