「『リブート』も『細木数子』も凄すぎ…」中卒で単身上京した戸田恵梨香が「88年生まれ女優最強世代」のトップに立つワケ

4月27日、戸田恵梨香さん主演のNetflixドラマ「地獄に堕ちるわよ」の配信がスタートしました。

【画像】「顔も体型も違うのに“似すぎ”だろ…」 戸田恵梨香が怪演した《細木数子の姿》

戸田さんが演じるのは、六星占術や「大殺界」などのワードで一世を風靡した占い師・細木数子さん。出版やテレビで成功を収める一方、霊感商法や黒い交際などの噂が絶えなかった細木さんの10代から60代を演じ、早くも話題となっています。

「中卒で単身上京」して俳優業に専念, 「かわいい」「けなげ」からの成長, 現場での話し合いが増えた2010年代, 「受け」「待ち」ではなく自ら動く, 今年、「ど真ん中」に戻ってきた

配信前から大きな話題を集めていた、戸田恵梨香さん主演の『地獄に堕ちるわよ』(画像:Netflix Japan公式Instagram @netflixjpより)

戸田さんといえば、3月まで放送されていた日曜劇場「リブート」(TBS系)で3年ぶりに女優復帰したばかり。変わらぬ美しさと確かな演技力を立て続けに見せたことで、あらためて特別な存在であることを印象付けています。

今年38歳となる戸田さんと同じ1988年生まれには、新垣結衣さん、堀北真希さん、佐々木希さん、榮倉奈々さん、吉高由里子さん、菜々緒さんらがいて、「女優最強」と言われる世代です。

なぜ戸田さんはその中でもトップであり続けられるのか。さらに、なぜ3年のブランクを経てパワーアップした感があるのか。戸田さんへの取材経験と業界内の声を交えて掘り下げていきます。

「中卒で単身上京」して俳優業に専念

あらためて戸田さんの歩みを振り返ると、芸能活動は小学生時代から始めたものの、当時は地元の神戸に住みながらの限定的な仕事にとどまっていました。中学卒業後の2004年、現在の所属事務所から声をかけられた戸田さんは16歳で単身上京しますが、驚くべきは高校に通わず俳優業に専念したこと。

その決断に「絶対に俳優として成功する」という意志の強さを感じさせられますし、だからこそNHK連続テレビ小説「スカーレット」(NHK総合)の川原喜美子、「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日本テレビ系)の藤聖子、「リブート」の幸後一香(早瀬夏海)など、戸田さんの演じる女性には芯の強さを感じさせられるのではないでしょうか。

「中卒で単身上京」して俳優業に専念, 「かわいい」「けなげ」からの成長, 現場での話し合いが増えた2010年代, 「受け」「待ち」ではなく自ら動く, 今年、「ど真ん中」に戻ってきた

感動の涙を誘ったTBS日曜劇場の『リブート』。物語終盤で、主演の鈴木亮平さんだけでなく戸田恵梨香さんも一人二役だったことが判明した(画像:戸田恵梨香公式Instagram @toda_erika.official より)

同時に16歳の娘を単身上京させ、中卒で芸能一本に絞ることを認めた家族の懐の深さを感じさせられます。

特に大きな存在となったのが、父親。俳優になりたいという娘の思いを聞いて「やり通してきなさい」と背中を押し、くじけそうになったときにも「恵梨香を食べさせるお金はあるからいつでも帰ってきていい」と語りかけてくれたことを明かしています。

戸田さん自身も23年に第1子を出産して子育て中だけに、今後はより母性や家族の愛を感じさせる役柄が増えていくのかもしれません。22年の映画「母性」では娘を愛せない主人公の母親を演じていただけに、戸田さんなら「出産を経た次回は真逆の役柄を」と考えても不思議ではないでしょう。

ただ、戸田さんは上京した当初から芯の強い女性を演じていたわけではありませんでした。

「かわいい」「けなげ」からの成長

最初に戸田さんの存在を印象付けたのは05年春の木村拓哉さん主演ドラマ「エンジン」(フジテレビ系)。母親の愛情を受けられず児童養護施設に入所するも、愛されることを求めて恋愛で失敗を繰り返す高校生を演じました。

さらに同年秋の「野ブタ。をプロデュース」(日本テレビ系)で主人公・桐谷修二(亀梨和也)と交際する学園のマドンナ、翌06年春の「ギャルサー」(日本テレビ系)で落ちこぼれギャル、さらに同年6月公開の映画「デスノート」では天真爛漫で思い込みが激しいモデル・弥海砂を演じて知名度が一気にアップ。

その後も、07年春の「LIAR GAME」(フジテレビ系)では人を信じることしかできないバカ正直な主人公、同年夏の「牛に願いを」(カンテレ・フジテレビ系)では酪農に強い思い入れを持つまじめな農学校生を演じるなど、「かわいい」「けなげ」で守られる側のキャスティングが続いていました。

しかし、08年夏の「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」(フジテレビ系)ではプライドが高く情にもろいフライトドクター、同年秋の「流星の絆」(TBS系)では両親を殺した犯人への復讐を誓い恋愛詐欺を行う3兄妹の末っ子、09年春の「BOSS」(フジテレビ系)では科捜研から捜査一課に移動した協調性のない変人刑事と、徐々に強さや個性を前面に押し出した役柄が増えていきました。

その背景にあるのは、「同世代女優の中で頭1つ抜けている」と言われる向上心の高さ。そもそも戸田さんが高校進学せず16歳で俳優業一本に絞ったのは、「何が自分を成長させる環境なのか」を考えたからでした。

「中卒で単身上京」して俳優業に専念, 「かわいい」「けなげ」からの成長, 現場での話し合いが増えた2010年代, 「受け」「待ち」ではなく自ら動く, 今年、「ど真ん中」に戻ってきた

顔も体型も違うのに「細木数子に見える」と絶賛の声が集まった(画像:Netflix Japan公式Instagram @netflixjpより)

その後も家族と離れ、仕事で大人に囲まれて孤独を感じながらも、作品ごとに自分と向き合って「成長しよう」「長所を伸ばし、短所を補おう」としてきたことが明かされています。

現場での話し合いが増えた2010年代

当時、撮影や会見などの現場で何度か戸田さんを取材しましたが、「かわいらしい女性」「アイドル女優」というイメージで固定されそうな状況を自ら変えていこうという意欲が感じられました。そんなストイックな姿勢は少しずつ業界内に浸透し、10年代に入るとますます役柄の幅が広がっていきます。

10年秋にはIQ201の頭脳、KYでドSなキャラ、特殊能力(SPEC)を持つ、主人公・当麻紗綾を演じた「SPEC」シリーズ(TBS系)がスタート。

続く11年冬の「大切なことはすべて君が教えてくれた」(フジテレビ系)では、婚約者の裏切りを受けて自身に芽生えた負の感情に悩まされ、さらに妊娠が発覚して戸惑う主人公を演じました。

さらに印象的だったのは、13年の出演作。

冬の「書店員ミチルの身の上話」(NHK総合)では不倫、宝くじ当選、殺人事件などが次々に起きて翻弄される女性、夏の「SUMMER NUDE」(フジテレビ系)では主人公に10年間片想いをする一途なヒロインを演じ分け、以降は“可憐ながらたくましさを持つ波乱万丈な女性”の役柄が増えていきました。

主演を務める機会が増えた10年代は、戸田さんの転換期と言っていいでしょう。それを自覚していたのか、戸田さんはより良い作品にするためにプロデューサー、監督、脚本家などと話し合う機会を増やしたそうです。

「中卒で単身上京」して俳優業に専念, 「かわいい」「けなげ」からの成長, 現場での話し合いが増えた2010年代, 「受け」「待ち」ではなく自ら動く, 今年、「ど真ん中」に戻ってきた

キャスト、監督が勢揃いした「地獄に堕ちるわよ」配信記念PARTYでの様子(画像:戸田恵梨香公式Instagram @toda_erika.official より)

「受け」「待ち」ではなく自ら動く

また、それを続けるうちに自分の成長だけでなく、「共演者にもいい作品に出会えたと思ってほしい」「視聴者にいい作品を観れたと思ってほしい」という思いが強くなり、現場でのディスカッションや役作りへの模索を進めていきました。

その真摯な姿勢は現在話題の「地獄に堕ちるわよ」でも健在。「『今生きている人たちが知っている人を演じるってここまで責任重いのか』ってビビっちゃって」と語りながらも果敢に挑み、スタッフやキャストとのコミュニケーションを重ねた様子がうかがえます。

「中卒で単身上京」して俳優業に専念, 「かわいい」「けなげ」からの成長, 現場での話し合いが増えた2010年代, 「受け」「待ち」ではなく自ら動く, 今年、「ど真ん中」に戻ってきた

ど迫力の演技で視聴者を魅了している「地獄に堕ちるわよ」(画像:戸田恵梨香公式Instagram @toda_erika.official より)

私たちが「戸田さんの演技に魅了される」「戸田さんが演じる人物に説得力を感じる」のは、そんな「自らアプローチしていく」という能動的な姿勢によるものではないでしょうか。

芸能界に限らずビジネスシーンでは、立場が上がるほど「受け」「待ち」になりやすいものですが、積極性と謙虚さを併せ持つ姿勢に感心させられます。

戸田さんは6歳のときに阪神・淡路大震災で被災し、家族は無事だったものの、かわいがってくれていた近所の人々が亡くなるという悲しい経験をしました。

だからこそ「命」や「今やるべきこと」への意識が強く、それが「後悔のないように今を生きよう」「目の前のことに向き合おう」「目の前の共演者や見てくれる人に楽しんでもらおう」という言動につながっているのかもしれません。

今年、「ど真ん中」に戻ってきた

また、主演俳優ならではの自覚や覚悟を見せながらも、過剰な力みや押しつけがましさを感じないことも、戸田さんに惹かれる理由の1つでしょう。さらにバラエティでは、結婚・出産や子育てで救われたことを笑顔で語るなどの飾らない姿で共感を誘っています。

「中卒で単身上京」して俳優業に専念, 「かわいい」「けなげ」からの成長, 現場での話し合いが増えた2010年代, 「受け」「待ち」ではなく自ら動く, 今年、「ど真ん中」に戻ってきた

ドラマとは打って変わって、高級ブランドのアンバサダーではただただ美しい姿を見せる(画像:戸田恵梨香公式Instagram @toda_erika.official より)

同年代の女優は出演のペースを大きく下げたり、助演にやりがいを見い出したり、子育てにほぼ専念したりなど進む道に差が生まれていますが、戸田さんは今年、主人公とヒロインというど真ん中に戻ってきました。

「子どもとずっと一緒にいたい」「これから幼稚園や小学校に入ることが寂しい」と穏やかに笑う彼女が、細木数子さんの次にどんな役を演じるのか。新たな役が発表されるたびに話題を集めるのでしょう。

いずれにしても3年のブランクを経て女優・戸田恵梨香の第2章がはじまったことは間違いないようです。