ハンドソープで全身を洗う…「貧乏旅のプロ」が欧州4カ国を5泊8日で巡る、コスパ最高タイパ最悪な「1日3000円旅」の実態
ボディソープもシャンプーも置いてなかった。だから洗面台にあった“ハンドソープ”で髪と体を洗った。
【写真27枚を見る】5泊8日で、ヨーロッパ4カ国を見て回った旅の様子はこんな感じ

意外と髪はキシまないし、臭いもちゃんと落ちた(写真:筆者撮影)
2026年5月、私は5泊8日で、ヨーロッパ4カ国(ブルガリア、マルタ、クロアチア、ハンガリー)を旅した。移動費は約10万円。宿代は約4万円。食費や観光費など、現地で使ったお金は1日平均3000円くらい。旅費の総額は約16万円。
円安に物価高、ホルムズ海峡の影響がある今、なぜこの値段で日本〜ヨーロッパ4カ国へ渡航できたのか⋯⋯。
本稿では移動費・観光費・食費・宿泊費⋯⋯計4つのトピックごとに、世界47カ国を旅した筆者の「ちょっと頭のおかしい貧乏・節約旅」の実態を紹介したい。
片道34時間「地獄の移動」筆者の正直な感想
5泊8日の節約旅は「地獄の移動」から始まった。
「初日の移動だけで体力ゼロになるわ!」
「バイオハザードに出てくるゾンビの気持ちを完全に理解したわ!」などと突っ込みを入れながら、35歳の私は片道34時間、当たり前だがエコノミー席で移動した。
その一方で、移動費はめちゃくちゃ安く済んだ。日本とハンガリーの往復航空券は、燃油サーチャージなど諸税込みで7万3000円。航空会社は中国東方航空。席には清潔感があり、毛布と枕、液晶パネルが付いていた。機内食は計3回提供された。移動時間が長すぎるので疲労感が生まれたが、正直に申し上げて、快適な空の旅だった。

この飛行機に乗った(写真:筆者撮影)

席はこんな感じ。液晶パネルでは『アバター』や『アナと雪の女王』などの映画、オセロや麻雀などのゲームが楽しめた(写真:筆者撮影)

機内食。無料でコーヒーやビールを飲むこともできる(写真:筆者撮影)
ヨーロッパ内の移動は、LCCと高速バスを駆使した。私はLCCを使って、5600円でハンガリー→ブルガリア、6500円でブルガリア→マルタ、9300円でマルタ→クロアチア。高速バスを使って、4200円でクロアチア→ハンガリーへ⋯⋯。
長距離移動の総額は9万8600円。これを安いと見るか高いと見るかは、それぞれの判断にお任せしたい。

LCC『ライアンエアー』の機内はこんな感じ。席は狭いが、2時間未満のフライトなので我慢できる(写真:筆者撮影)

高速バス『フリックスバス』の車内はこんな感じ。クロアチアからハンガリーまで約4時間。Wi-Fi、USBポート、トイレ完備(写真:筆者撮影)
観光費0円? 頭のおかしい「弾丸渡航」の実態
今回の1人旅、旅のスケジュールはこんな感じだ。
木曜:日本を出発→地獄の移動
今回私はすべての国の首都を訪れた。アジアの国々で例えるなら「初日は東京観光」「次の日は韓国のソウル」「その次は中国の北京」といった感じのイメージだ。観光日数が短すぎて「???」が頭に浮かぶ人も多いだろうが、街をブラブラ散歩するだけで私は大満足。クロアチア以外の首都には世界遺産が登録されており、短期間の観光でも十分見応えがあった。

ブルガリアの首都ソフィアの街並み(写真:筆者撮影)

マルタの首都バレッタの街並み。市街全体が世界遺産に登録されている(写真:筆者撮影)

クロアチアの首都ザグレブの街並み(写真:筆者撮影)

ハンガリーの首都ブダペストにある国会議事堂。世界遺産に登録されているエリアにある(写真:筆者撮影)
空港から市内への移動は、地元の人が利用するバスや電車を利用した。市内ではタクシーには1回も乗らず徒歩で移動。その結果、現地での移動費はトータル約3500円で済んだ。
入場料がかかる施設へは立ち寄らなかった。つまり観光費は0円……と表現したいところだが、私にとってバスや電車での移動も“観光”の1つだ。
クロアチアでは乗車料金0.66ユーロ(約120円)を支払い、全長66メートルの「世界1短いケーブルカー」に乗ろうとした。現地の人がサービスしてくれたので無料で乗車できたが、多少の観光費なら払ってもいいと考えていた。
ちなみに今回の旅で“現金”は1回も使わなかった。念のため日本で2万円分、ユーロに両替していたのだが、バスや電車に乗る時でさえクレカのタッチ機能を利用できたので、現金を使う機会がなかった。観光大国であり経済大国である“ジャパン”は、もしかしたら「キャッシュレス化」に関しては世界に後れを取っているのかもしれない。

マルタ市内のバス停前はこんな感じ。空港まで片道550円くらいで移動できる(写真:筆者撮影)

マルタ市内の移動ではフェリーを利用。往復900円で「非日常という名の贅沢」を楽しめる(写真:筆者撮影)

クロアチアにある世界一短いケーブルカー(写真:筆者撮影)

ハンガリーのトラム。乗車1回で約250円。チケットは駅前の機械で購入できる(写真:筆者撮影)
食費は2万円以下。意識したのは「食事のメリハリ」
8日間の旅の食費は、トータルで約1万9000円。1日平均2400円くらい。日本での生活と比べて、多少出費は増えてしまったが、物価の違いもあるし、たまには外食もしたいし、異国では飲み水を毎日買う必要があるので納得している。
地獄の移動編では、食費は1円もかからなかった。中国系の飛行機に乗っている間は機内食を。上海の空港とハンガリーの空港の乗り継ぎでは、楽天カード(プライオリティパス)を使ってラウンジに無料で入場、無料の食べ放題ビュッフェを食べた。

中国のラウンジで食べた料理(写真:筆者撮影)

ハンガリーのラウンジで食べた料理(写真:筆者撮影)
スーパーマーケットは“観光スポット”
ヨーロッパ到着後は食事のタイミング(朝・昼・夜)が計14回あったが、外食した回数は6回だけ。残りはスーパーマーケットでお惣菜やパン、缶ビールなどを買い、宿泊先で飲食した。
「せっかく海外に来たのにスーパーで買い物するのは“もったいない”のでは?」と思う人もいるだろうが、私は地元民のリアルな生活に興味がある。どんな物が、どれくらいの値段で、どんな味がするのか……。私にとってスーパーマーケットは“観光スポット”の1つなのだ。値段も安いし、サラダなどで栄養バランスも調整しやすいので重宝している。

クロアチアのスーパー(写真:筆者撮影)

クロアチアの夜飯。パンはパン屋で国民食的なのを購入。これ全部で1400円くらい(写真:筆者撮影)

ハンガリーのレジ前。夜飯と朝飯、国民食のパプリカを購入。これ全部で1600円くらい(写真:筆者撮影)
ちなみに5回の外食費、内訳はこんな感じだ。
ご覧の通り、ヨーロッパでも意外とリーズナブルに外食できる。しかし油断すると1食4000~5000円くらい軽く飛んでいく。だからこそと言うべきか、スーパーを利用するなど節約できるところは節約して、使うところは使う……。精神的に経済的にも“笑顔”になるため、メリハリのある食事をいつも心掛けている。
今回の旅で使った食費に、前述した現地での移動費を加えると、1日あたりの出費は約3000円で収まった計算になる。いい感じに節約することができて、本人的には満足している。

ブルガリア国民の味噌汁的な存在「タラトル」は、ヨーグルトを使った冷たいスープ。今回の旅でNo.1で美味しかった(写真:筆者撮影)

マルタで食べたウサギ肉の料理。私の素直な感想は「ケンタッキーのチキンに似ている!」。食べる部位によって、肉の旨味や食感に違いがあった(写真:筆者撮影)
宿泊費は5泊で4万円。気になる部屋のクオリティ
宿代は5泊で約4万円だった。
すべての宿泊先は市内中心部にあり、観光名所まで徒歩で移動可能。空港までのアクセスも良好。バスや地下鉄を使い、約40分で空港まで移動できる。
部屋は個室で、トイレとシャワー、冷蔵庫とハンドソープが付いている。清潔感は、男1人旅をする分にはまったく問題ないレベル。ちなみにマルタの宿泊先だけは“ゲストハウス”ではなく“ホテル”だったのだが、なんと奇跡的にシャンプーが置いてあり、感動で涙が止まらなかった(たがしかし、残念ながらボディソープは置いてなかった)。

ブルガリアのゲストハウス(写真:筆者撮影)

マルタのホテル(写真:筆者撮影)

クロアチアのゲストハウスと缶ビール(写真:筆者撮影)

ハンガリーのゲストハウス(写真:筆者撮影)
もちろん安さゆえの欠点もある。例えばブルガリアのゲストハウスでは、シャワーを使うとトイレの足元がビチョビチョになった。クロアチアのゲストハウスでは、シャワーのお湯がぬるかった。ハンガリーのゲストハウスは、タオルが1枚だけしか置いてなかった。
ボディソープだけでなく、すべての宿泊先で歯ブラシは置いてなかった。セルフチェックインで部屋の鍵が(暗証番号などのない)郵便ポストに入れられているだけの宿泊先もあった。質の高いサービスに慣れ切っている日本人からすると、今回私が宿泊したゲストハウスは、もしかしたら40〜65点といったクオリティに感じるかもしれない。

ブルガリアのゲストハウスでは、シャワーとトイレの距離が近いため、シャワーを使うと足元と便座がビチョビチョになった(写真:筆者撮影)
その一方で、過去に私はタオルがなかったのでトイレットペーパーで全身を拭いたり、部屋の中で“蚊取り線香”の煙で燻製になったことがある
さまざまな試練を経て、今の私は「日本人の基準を世界に当てはめてはいけない」「日本の常識は世界の非常識」と考えるようになった。
ホテルのクオリティを含め、日本人の“基準”や“常識”は世界を旅する上で、あまりプラスに働かないと感じることがある。貧乏旅や節約旅を楽しむためには、いかにして「脱・日本人」を実現するかがポイントになるだろう。
人生は経験の合計。筆者が弾丸渡航にこだわるワケ
「もっと1つの国に長く滞在したら?」
「せっかく海外に行くのに弾丸渡航じゃ“もったいない”よ」
私は家族や親族、友人や知人から、このように言われることが少なくない。私自身、「もうちょっと長く滞在したかったな」と思うことは多々ある。
しかし世の中はトレードオフ。異国で長く滞在すればするほど、お金と時間、言い換えるなら「次の渡航のチャンス」を失う。
自分が外国人になった姿をイメージをするとわかりやすい。初めて日本観光にやってきたとき、東京、大阪、京都、福岡、北海道、沖縄……ぜんぶを回ったら、しばらくは「次の渡航」を自粛せざるをえないだろう。
けれど渋谷と浅草をフラフラして、昼はくら寿司かスシローを食べて、東京タワーとスカイツリーを見てから、夜ご飯用にスーパーで蕎麦と納豆とビールを購入する、という計画ならどうだろうか。きっとこのプランでも日本を堪能できるし、十分に楽しめると私は思うのだ。お金と時間を節約できれば、次の冒険にもチャレンジしやすくなるはずだ。
「人生は経験の合計」だとよく言われる。1つの国に長く滞在するからこそ得られる「深み」もあれば、たくさんの国を訪れるからこそ得られる「幅」(レンジ)もある。
これからも私は「貧乏旅のプロ」として、世界中をドタバタと飛び回るつもりだ。