「えらいとこに越してきはったね」私が生まれ育ったのは、貧富の差が激しい街でした/その叫びは聞こえていたのに(5)

私が生まれ育った街は…

あの日、彼女に何があったのか…。

小5の夏に、親友が母親と姿を消しました。

地域の民生委員を務めているカヨコは、赤ちゃん訪問でやってきたとある家でアカネという若いママと出会います。彼女を見た瞬間に思い出したのは、小学校時代の親友・ナルミのこと。

家財道具やランドセルはそのまま、学校にはピアニカも絵の具も置いたまま、ナルミとその母だけがひっそりといなくなった…。そんな記憶が瞬時に蘇るほどアカネはナルミに似ていました。

彼女は10代の若いお母さん。親戚も友達もいない土地で初めての子育てに苦労しているように見え、カヨコは親身になってアカネを助けようとします。

「かつて自分の前から忽然と消えたナルミの心の声を自分は聞いていただろうか」

「大人になった自分は、アカネに手を差し伸べることができるだろうか」

無縁社会に落ちてしまった母と子どもを葛藤しながら見つめる、セミフィクションコミックエッセイをお送りします。

※本記事はきむら かずよ著の書籍『その叫びは聞こえていたのに 消えた母子をめぐる物語』から一部抜粋・編集しました。

登場人物

私が住んでいた街

時は遡り…

はよ準備しい

子どもの頃住んでいた街は

あっ、赤ちゃんや

その子人見知りやから

もう出てきたんかいな

泣き声聞こえたら…

お手伝いをするのが普通だった

もはやお城やん…

9割の友達の家は

色んな家庭の事情

近所の人に言われた言葉

大儲けをした地元の人たちが

夜は危ないから…

暑い夏の日には

よくも悪くも…

著=きむら かずよ/『その叫びは聞こえていたのに 消えた母子をめぐる物語』