家具のテイストはバラバラがいい。イギリス人の部屋はなぜモノが多くても素敵なのか
ヨーロッパでは、
・イタリアは食い道楽(Italy is for eaters)
・フランスは着道楽(France is for dressers)
・イギリスは住道楽(England is for dwellers)
と言われているそう。
それくらい、イギリス人は、「自分が落ち着く空間」を作ることに情熱を注いでいる。
イギリスで学んだインテリアデザイナー、飯沼朋子さんによる話題の新刊、『イギリス人の部屋はなぜ物が多くても素敵なのか』(飛鳥新社)では、その基本的な考え方とノウハウを、丁寧に説明している。
「何より、モノを減らさなければ始まらない」と思いがちだが、「自分の部屋に居心地の悪さを感じていたり、インテリアがイマイチと感じたら、どうされますか? なんとかモノを減らしてすっきりさせることで解決しようとされる方が多いのではないでしょうか。 しかし、現実的になかなかモノは減らせませんし、モノを減らしたからおしゃれになるとも限りません」と飯沼さんは言う。
第1回「イギリス人の部屋はなぜモノが多くても素敵なのか。”捨てない”驚愕の方法」では、イギリス人のインテリアに対する考え方についてお伝えした。
日本人には「引き算の美学」があるが、今、多くの人が住んでいるのは和室でなく、シンプルな洋室。だからこそ、「足すインテリア」が生きるのだ。
第2回「イギリス人の部屋はなぜ素敵なのか。モノが多い、狭い、家具が合わない…悩みの改善策」では、
・モノが多くてちらかっている
・部屋が狭い
・すでにある安い家具が気に入らない
・すっきりしているけれど、なんだか殺風景
といった悩みについての解決法を紹介した。
第3回の今回は、引き続き、具体的に悩みを解決していこう。
<以下、本書からの抜粋>
悩み5:テレビが目立っておしゃれにならない
テレビやエアコンといった家電が目立って、インテリアの雰囲気をくずしているようで気になる、という声も聞きます。これも他のモノに視線を誘導させたり、モノをある程度足すことで、テレビの存在感を薄めます。

イギリスでは本棚やオープンシェルフの中にテレビを入れ込むのが一般的
【解決方法11】テレビキャビネットにアイテムを足す
部屋にテレビだけがぽつんと置かれていると、テレビが目立ってしまいます。そこで、テレビ台やキャビネットを置き、その上に観葉植物や平積みの本、家族の写真、置き物などを飾るとテレビの存在が気にならなくなります。
また、壁にアートを飾ったり、棚を取り付けて、壁全体をすてきにするという方法もあります。部屋をかっこよくシンプルにしたいのであれば、あまり飾らず、壁紙を変えるなどして、壁の表情を工夫しましょう。
要は、テレビやエアコンだけが悪目立ちせず、部屋全体にうまくなじんでいることが大切です。
イギリスでも、インテリアの邪魔にならないよう、テレビをどうするかという話が話題に上がります。
テレビに布をかぶせたり、額に入ったアートやミラーのように見せる商品もあります。
また、イギリスは古い建物が多いので、部屋にマントルピース(暖炉の枠)がつくりつけられていることがよくあります。その両サイドに本棚をつくり、よく見たら、そこにテレビもある、という感じでテレビが目立ちません。
【解決方法12】テレビの背景に色を足す
テレビのある側の壁を、濃い色や柄の入った壁紙にするだけでも、電化製品が目立ちにくくなります。また、「石目調(いしめちょう)」のタイルなど表情のある壁材に替えることでも同じ効果が期待できます。
たとえば、LIXIL(リクシル)の「エコカラット」という商品は、タイルでありながらDIYもできる施工がかんたんな商品として、とても人気です。
高級感のある無機質な壁になるためテレビとの相性がよく、全体がかっこよく見えます。
悩み6:家具の色がバラバラ
インテリアの統一感を出すために、家具の木の色は「白系」「薄い茶色」「濃い茶色」など、統一しないといけないと思っていませんか?
「足すインテリア」では、家具の色を統一する必要がなくなります。
【解決方法13】イスやインテリア小物を足す
部屋にモノが少ないと、1つひとつの家具が目立って、色がバラバラなのも目立ちます。
けれども、イスやインテリア小物などを足すことで、視線はそちらに誘導され、家具の色のバラバラさがそれほど気にならなくなります。むしろ、色が違っているくらいのほうがおしゃれに見えることもあります。
モノが増えてくると、いろいろな要素があったほうが部屋全体にリズムが生まれて、より心地のよい空間になるのです。
おしゃれなイスを足すのも、部屋に「フォーカルポイント」をつくり出し、部屋を個性的ですてきな空間にしてくれます。
また、ソファまわりには、ページの「解決方法」のように、ラグを足すのもおすすめです。ラグはソファやイス、スツール、サイドテーブルなどのテイストが異なる場合に、「まとめる」役割を担ってくれるからです。
【解決方法14】ランプを足す
すてきな空間にするには、照明がとても大切です。天井照明は最低限にして、電球色のテーブルランプやフロアランプで灯りを足してみましょう。
日中はランプの存在がインテリアのアクセントになり、夜は、光が部屋の印象をガラッといい雰囲気に変えてくれます。
また、床の色や質感が気に入らなかったり、賃貸だからと高い家具を買うのをためらっているのであれば、ラグや小物を足すことで、印象を大きく変えることができます。

壁にかけたアートをランプが照らす
「足す」ことで解決するインテリアの悩みはたくさんあります。
「足す」ことは部屋の使い勝手もよくし、かつすてきに見せるための秘訣(ひけつ)と言ってもいいでしょう。
「センスがないとできない」は思い込み
「足す」ことがすてきな部屋につながることはわかっても、「私にはセンスがないからムリ」と思った方もいるかもしれません。
大丈夫です。
「センス」とは特別な人に備わった才能ではありません。
「センス」=「クリエイティブ(創造力・想像力)」ととらえてしまいがちですが、インテリアで発揮すべきセンスは、独創的なアイデアではありません。
そう思えたら、インテリアに対するハードルはグンと下がるのではないでしょうか。
私はインテリアのセンスは、2つあると考えています。
1「知識」と「情報」で補えるセンス
2「個性」と結びついた唯一無二のセンス
1つめの「知識」と「情報」で補えるセンスは、だれでも身につけられます。
「視線誘導」や効果的な家具の配置方法、照明による陰影のつけ方などのテクニックを知ることで、「おしゃれな部屋」をつくることができます。
でも、テクニックやセオリーに頼るだけのインテリアでは、本当の意味での居心地のよさにはつながりません。
そこで大切になるのが、2つめの自分の個性と結びついたセンスです。
だれでも唯一無二のセンスを持っています。
個性にいい・悪いがないように、このセンスにもいい悪いはありません。
あなたが「これ、すてきだな」と思って購入した服や文具、書籍など、また、大切にしているバッグや靴などは、あなたのセンスそのものなのです。
「心地のいい部屋」のヒントはここに隠されています。
たとえば、「黒と白のインテリア」と聞いて、どんな部屋を思い浮かべますか?
ある人はスタイリッシュな部屋を、ある人はチェスボードのような遊び心のある空間を思い浮かべるかもしれません。
まったく同じ間取りの部屋で同じ家具を使ったとしても、そこに足すクッションやラグなどの違いで雰囲気は変わるでしょう。
そのくらい、1人ひとりのセンス(個性)には大きな違いがあるのです。
自宅にあるモノの多くは、あなた自身が選んだモノですよね。
「うちのインテリアがイマイチ」と感じているあなたは、持っているモノをうまく活かせていないのかもしれません。
知識と情報を増やし、その過程で自分自身と向き合いながら、あなただけのセンスを発見していきましょう。
インテリアのテイストはそろえなくていい
インテリア小物や家具のテイストがそろっていないと、「部屋がイマイチに見えるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
しかし、現実問題として、ほとんどの人はテイストがそろっていないモノに囲まれて暮らしています。

テイストがばバラバラだからこそ魅力的
もちろん、「よし、○○スタイルでいこう!」と予算をかければ、ショールームのようにすてきな部屋に仕上がるかもしれません。でも、そんなタイミングも予算も、なかなかないですよね。
それに、「足す」インテリアでは、テイストがそろっていないほうがかえって空間のリズムとなっていいのです。
イギリス人はアンティーク家具が好きな人が多く、モダンなモノと古いモノをミックスさせることで、豊かさと深みのある魅力的な空間をつくり出します。
このような「ミックススタイル」は、文字通り、様式やテイストにこだわらず、さまざまなスタイルのモノ同士をミックスしてコーディネートすることを言います。
ミックススタイルの魅力は、何を組み合わせるかを自分で決められる点です。自分の好みに合わせて自由に選び、その結果としてできあがる空間は「私スタイル」という唯一無二のスタイルになります。
一方、特定のスタイルにこだわって、「北欧スタイルはこうあるべき」などと決めつけてしまうと、自由でなくなります。
たとえば北欧スタイルの部屋に、イタリアモダンなイスがあっても、日本の浮世絵を飾ってもかまいません。ルイ16世スタイルのイスも世界的に人気があり、さまざまなインテリア空間で使われています。
つまり、インテリアを楽しむ秘訣は、特定のスタイルにとらわれず、自由に組み合わせることなのです。