外国人が感じた日本の森の “不自然さ” 岐阜・東白川の絶景茶畑に一目ぼれしてチェコから移住 “人工的な森”を“豊かな森”へ再生するチャレンジ
5月上旬、新茶のシーズンを迎えていた岐阜県東白川村。村にある茶畑の一角に、お茶を摘む“外国人”の男性がいました。
ガラス・アレシュさん:
「特にここは山に囲まれている。茶畑を山がハグしている感じ。すごく気持ちいい」
日本人よりも日本人らしく見える外国人が山で見たのは、私たちが気づかない日本の森の“不自然さ”。大好きな山を守るため、“人工的な森”から多様な木々が共存する“豊かな森”へ。その思いに、森はどんな変化を見せるのでしょうか。
日本茶と絶景にほれ込みチェコから移住した外国人

日本茶を飲むアレシュさんと幸恵さん ©中京テレビ
日本茶を飲み、流ちょうな日本語を話すガラス・アレシュさん(43)。妻の幸恵さん(46)と、5年前から東白川村で暮らしています。
村でお茶農家を営み、栽培した茶葉は、インターネットを通じてほとんどが海外で売られています。中でも最も多い販売先が、アレシュさんが生まれた国・チェコです。
チェコの東部に位置するモラヴィアという地域で生まれ育ち、幼いころから遊び場は森の中。自然は身近な存在でした。

アレシュさんが一目ぼれした東白川村の風景 ©中京テレビ
そして、20歳のとき、初めて飲んだ日本茶に魅了され、日本文化のとりこに。チェコで10年ほど盆栽の会社に勤務したのち、中津川市にホームステイしたのが、運命の出会いでした。
ガラス・アレシュさん:
「家族のお父さんが『隣の村にお茶の産地があるよ!』と言って、一緒に車でこの辺を走って、初めてここの景色を見たときは、かなり素晴らしい、なんてすてきなところと思った」
東白川村の風景に“一目ぼれ”。目の前に広がる自然を守りたいと、ついに移住を決断しました。
人工的に作られた針葉樹ばかりの森に「悲しかった…」

チェコ語で書かれた針葉樹の図鑑 ©中京テレビ
アレシュさんが、日本に来る前から読んでいたのは、“針葉樹”の図鑑。チェコでは見られない多様な木々に、日本の森への期待に胸を膨らませていました。
ガラス・アレシュさん:
「イメージは屋久島みたいな感じ。(日本の気候は)木や森にはすごくいい状態。種類もいっぱいあるし天国」

針葉樹ばかりの人工林 ©中京テレビ
しかし、森に足を踏み入れてみると、想像していた“豊かな森”とは、ずれがありました。
ガラス・アレシュさん:
「ヒノキしか生えていない。下は暗くて他の植物も生えていない。(村には)天然の山がほとんどないから、悲しかった」
目の前に広がっていたのは、針葉樹ばかりが均一に並べて植えられた“不自然な森”。戦後、復興のために大量の木材が必要となり、成長が早いスギやヒノキなどの針葉樹が植えられたのです。
全国の森林面積のうち人工林は約4割。一方、東白川村は、民有林の約7割を人工林が占めています。
結果がわかるのは次の次の世代…“不自然な森”を“豊かな森”へ再生

木を伐採して他の植物が成長できる場所を確保 ©中京テレビ
こうした森で起きている問題の一つが、木々が過密に生い茂ることで、地面に光が届かず、他の植物が育たなくなっていることです。
そこで、アレシュさんが行っているのが、木の伐採です。過密になった木の量を減らし、空いたスペースに“広葉樹”が成長できる場所を確保していきます。
針葉樹ばかりの森に広葉樹を増やすことで、より土壌が安定。土砂が流出するリスクを減らせるほか、雨水を蓄え、洪水を防げるメリットがあります。さらに、葉っぱが落ちることで栄養豊富な土をつくることができるといいます。
ガラス・アレシュさん:
「僕が目指していることはこういう感じ。光が入って木(広葉樹)が生えたら最高。ヒサカキ・ウラジロガシ・タムシバ・エゴノキ・クリ。ここだけはいろいろな種類が生えている」

山の所有者と笑顔で話すアレシュさん ©中京テレビ
“豊かな森づくり”を進めるアレシュさんの姿に、村の住民は、環境にいい森につくり替えることを理解し、応援しています。
山の所有者:
「これだけ一生懸命なんやで、協力してやらないかんという気になる。俺だけじゃなくて、この集落の人みんなそうやって思っとる」
多様な木々が共存する“豊かな森づくり”。その大切さを見落としていたかもしれません。
ガラス・アレシュさん(43):
「森は今何かして、悪いこと、いいことでも、結果は次の次の世代が分かる、すぐじゃない。その辺の未来をつくっている今。豊かな自然がある国。もっと大事に考えてほしい」