石積み職人が建てた『進化系ログハウス』人生が変わった50代での淡路島移住「好きなものに囲まれて毎日穏やかな気持ちでゆったり暮らしている」【住人十色】

 舞台は兵庫県淡路島南部にある南あわじ市。石積み職人が建てた“進化系ログハウス”を紹介する。

瀬戸内海が見渡せる…淡路島の丘の上の家

 住人(アルジ)は、愛知県名古屋市から移住した50代の夫妻。3年前、淡路島南部の南あわじ市にある、瀬戸内海が見渡せる丘の上に家を建てた。

 家は木をふんだんに使ったログハウス。玄関アプローチの石積みは、イギリスで庭園や建造物に使われてきた「ドライストーンウォーリング」という伝統的な積み方で作られている。日本でもガーデニング好きの間で注目されているこの英国式石積みは、夫が自分で作ったものだという。

土地は70坪600万円と破格!移住で人生が激変

 実は夫は、本格的な英国式石積みができる日本でも数少ない職人の1人。以前は歌舞伎やミュージカルなどの舞台監督をしていたが、勤めていた劇場の閉館を機に42歳で転職を決意した。そして、たまたま出会った英国式の石積みに魅了され、本場イギリスで学んで資格を取得。その後も研さんを重ね、今では本場の大会で最優秀賞を受賞するまでになった。

 さらに2021年、夫が石積み職人として独立するのを機に、利便性に優れ自然も豊かな淡路島への移住を決める。そこで見つけたのが、南あわじ市の晴海ヶ丘という別荘地。決め手となったのは、70坪で600万円という驚きの価格。しかも淡路島に50代で移住したことで、住人(アルジ)夫妻の人生が激変したという。

瀬戸内海が見渡せる…淡路島の丘の上の家

 ヨークシャストーンという吸水性のいい石を使ったアプローチの階段を上がると、まるで外国映画に出てくるような様々な植物や道具で彩られた玄関ポーチが。石積みの外壁は、もちろん夫が手掛けたものだ。

木のぬくもりあふれる空間 徳島産の杉を使用

 そんな石壁の家の中に入ると、一転して木のぬくもりあふれる空間が広がる。徳島産の杉の丸太を使った立派な柱と梁は、ログビルダーと呼ばれるログハウス専門の職人に組み上げてもらったもの。

 ただ、一般的なログハウスの壁は丸太をそのまま積み上げたような形をしているが、この家の壁は板。これは、柱と梁には丸太を、壁には板を使用する「ポスト&ビーム工法」と呼ばれるもので、壁を平面の板にすることで居住空間が広くなり、コストも3割ほど安くなるのだそう。丸太の良さも残しつつ暮らしやすいログハウスとして注目されている工法だ。

 ダイニングには、イギリスのパブをイメージしたL字型のベンチが。床は、ヨーロッパの歴史ある建築でも使われる、木材をV字型に貼り合わせたヘリンボーンで仕上げた。

はしごを吊り下げ収納に!?コストを抑えつつ“好き”を詰め込む

 そんな空間に映えるのが、アンティークが好きな夫妻のインテリア。キッチンカウンターの上に吊っているのは古道具店で購入したはしごで、イギリスのパブのようなカウンターにしたいと、はしごを吊り下げ収納として活用している。

 夫がデザインした食器棚には、妻が集めたアンティークの皿が並ぶ。ホームセンターで買える安価な集成材で作った棚の塗装は、自分たちでブライワックスを塗りアンティーク調に仕上げた。

 ログビルダーに作ってもらったというキッチンは、IKEAのキャビネットに合わせて天板に黒御影石を使用。調理も掃除もしやすく使い勝手のいい黒御影石だが、かなり硬いため、アンティークの皿の取り扱いには気をつけないといけないのが難点だとか。

 7mの吹き抜けがあるリビングで存在感を放つのが、石積みの壁。このスペースだけは外壁と同じく石積みにしており、約5tもの石を使ったという壁は、夏はひんやり、冬は蓄熱され暖かいという効果も。夫はソファに座り、そんな石の壁を眺めるのが至福の時間だそう。

庭にはアウターリビング!趣味のガーデニングが高じて…

 庭にあるのは、まだ制作中の石積みのアウターリビング。外でお茶やバーベキュー、さらに瀬戸内海に沈む夕日が楽しめるスペースだ。

 石積みを使ったガーデニングスペースでは、妻が庭づくりを満喫している。実は、妻が移住をきっかけに始めたのが花苗販売店。長年趣味でガーデニングを楽しんでいたが、この家の庭を見た近所の人から「ぜひ売ってほしい」と熱望され、思い切って自宅の庭を店として開放することに。今では県外からのお客さんも増え、イベントにも出店するようになった。

 ”進化系ログハウス”の住み心地について、夫は「やっぱり好きなものに囲まれて、本当に毎日穏やかな気持ちでゆったり暮らしている」と語り、快適な住まい、周囲の景色、おいしい島の食べ物、そして島の人たちとの出会いに夫妻は感謝する。

 50代で淡路島に移住して人生が変わった住人(アルジ)夫妻。好きなもの、好きな景色と一緒に、これからも石と同じく人生を積み上げていくのだろう。

(MBS『住人十色』2025年5月31日放送より TVerでも放送後1週間配信中)