75歳「ものを引き算して」快適なひとり暮らし。まな板も使いません
画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん(75歳)は、高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。ここでは、小笠原さんがものを減らしたことで快適になったという、日々の生活について語ります。

少ないもので快適に暮らす小笠原洋子さん
【写真】75歳、まな板代わりにしているもの
まな板は紙箱。「質素を楽しむ」暮らし

私はお菓子や薬の入っていた紙箱の裏を、まな板代わりにしています。食材を切ったら、そのまま捨てられるからです。そもそも私は、台所用品を手短な所に出しておかないようにしています。水回りにはほとんどものがなく、住まい全体が簡素です。
月4万円未満という少額年金受給者で金銭的余裕がないからなのですが、それが理想の暮らし方でもあります。もし私が、豪邸に住めるほどの富豪であれば、考え方も違うでしょうが、そうではないので「質素を楽しむ」生き方をしたいと思うのです。
シンプルなおいしさが節約につながっている

なお私は調味料をほとんど買いません。とても淡泊な味つけが好みで、塩もしょうゆも年間通して微量。何日も使わないこともあります。節約のためにきりつめているというより、味覚が体裁よく節約につながったわけです。
料理もシンプル。料理番組は参考になるのでよく見ますが、見たどおりにトライすることはありません。
たとえば具材をたくさん入れるチャーハンを見て、食べたいと思った場合、ご飯を炒めるというヒントだけ頂戴して、できるだけ簡単な焼き飯にするのです。オリーブオイルを効かせ、豆とカレー粉で仕上げるなど、アレンジする楽しさで食欲を満たします。
使ったフライパンはすぐに洗わずそのまま、味を生かして副菜やワカメスープをつくるなどします。結果、洗う水も手間も省けます。
ゴミを減らすためにしていること
食卓にはランチョンマットでなく、きれいなチラシや広報誌などを活用します。こぼしても洗濯不要です。汁がこぼれた紙はさっと水を流し、干して資源ゴミとして出します。
また私はほとんど生ゴミを出しません。少なくすることが気持ちよいのです。次々とゴミ袋を買うことや、大きなゴミ袋を収集場に置くのも気になるのです。ゴミの過剰問題を考えると、自分だけでもコンパクトにしたいと思います。
私流の生ゴミ削減法は、まず水気を完全にきること。次に野菜などの皮は可能なだけ食べてしまうこと。そして紙類をぽいぽい気軽に捨てないことと、かさばるものは充分押しつぶしてゴミ袋に入れることです。老後には適切なお仕事だと思います。
またゴミ箱は台所と寝室など要所にだけ置きます。それもゴミを出しにくくするコツです。座ったきりにならないためにも、ゴミ箱まで歩くように心がけています。
新しい家具は買わず、古いもので十分

この本箱は、半世紀前から使っているもの
家具や調度品もわずかです。どれも古いもので、新たに買うことはありません。新品は気持ちよくても、古い家具を粗大ゴミとしてお金を払うことや、家財が増えることが望ましくないからです。室内空間や床面積を、少しでも広げたいと思うのです。
ものが多いと掃除もしにくいし、片付けるのも面倒になりがちです。アクリル製の引き出しや、雑貨類の整理用品に至るまで、増やさないようにしてきました。整理するためといっても、じつは見た目だけの事例が多く、ものが増える一方です。
それより中身を減らすようにして、衣類や台所用品を極力処分してきました。衣類を減らすコツは、衣替えの時期に長く着ていない服を手放すことです。

引き算することで、プラスになる暮らしとは、たとえばコサージュがついている帽子は一見おしゃれのように見えてもかえって平凡になる場合があり、外した方が顔を引き立てることがあるのに似ているかもしれません。