クルミッ子「横浜の工場見学施設」の凄いこだわり

クルミッ子ファクトリーが生まれた背景, 「もったいない」精神から生まれた, 職人の技と工夫が詰まった製造ライン, 制服もスタイリッシュ, 小田原に新工場設立予定、海外進出も視野

クルミッ子(写真:鎌倉紅谷提供)

神奈川県横浜市、横浜ハンマーヘッド内にある「Kurumicco Factory(クルミッ子ファクトリー)」。

【写真】クルミッ子の製造過程を見てみよう

クルミッ子は、自家製のキャラメルにぎっしりと詰め込まれたクルミを、バターの生地で包み込んだお菓子だ。1984年頃に発売され、40年以上愛され続けている。

1日約3万個のクルミッ子を製造するファクトリーでは、クルミッ子の実際の製造過程を眺めることができる。今回は、「クルミッ子ファクトリー」と、その製造の裏側や工夫に迫った。

クルミッ子ファクトリーが生まれた背景

「クルミッ子ファクトリー」は、工場見学・カフェ・ショップがそろった複合施設として2019年10月にオープン。みなとみらい線の馬車道駅やみなとみらい駅から徒歩10分ほどのアクセスで、予約なしでも自由に立ち寄ることができる。

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クルミッ子ファクトリー(写真:筆者撮影)

実は当初、現在もクルミッ子の主要生産工場として稼働している幸浦工場に見学通路を設けていたという。

しかし当時の見学通路は、材料の計量や仕込みなど生産現場全体があまりにもよく見渡せてしまっていたため「製菓に詳しい人が一日見学していればクルミッ子の仕込みがわかってしまう可能性」があり、事業が大きな成長期に突入したタイミングであったことから、レシピ漏洩は大きなリスクとなると判断して断念。

ただそれでもやはり「クラフトマンのお菓子に向き合う姿勢や思いを見てほしい」という思いは強かった。

「そんなときに、横浜ハンマーヘッドさんから声をかけていただきました。“食”をテーマにした施設コンセプトと弊社の思いが合致したため、今回は仕込みなど重要な工程は壁の後ろに納め、それぞれの仕上げの工程や、クラフトマンの姿を存分に見学いただけるファクトリーとして、満を持してのオープンへとつながりました」(鎌倉紅谷 企画部企画課 広報:山川優海さん)

「もったいない」精神から生まれた

また、増加する需要に対応するため生産キャパシティを拡大する必要もあったそうだ。

実は、元々は別のお菓子「鎌倉だより」の余った生地を無駄にしないために生まれたというクルミッ子。“もったいない”から生まれた製品ということにも驚いた。

そんなクルミッ子ができあがるまでの様子を早速見ていきたい。

クルミッ子のおいしさのカギを握ると言っても過言ではないのが、キャラメルづくり。火を止めるタイミングや生クリームの量の微妙な違いで味が変わってしまうため、色や香り、混ぜ具合や焦がし具合を頼りに見極めていく。

「その日の気温や湿度によっても細かな調整が必要になってきます。そのためキャラメルづくりは秒単位で管理しています」(山川さん)

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クルミッ子の製造過程(写真:筆者撮影)

かつてはガス火が主流だったが、クルミッ子ファクトリーではIHを導入。やけどのリスクが減り、安全性も向上した。このキャラメルを再現した商品も単体で販売されている。

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クルミッ子キャラメルソース(写真:鎌倉紅谷提供)

続いて、熱いうちにトレーにクルミを混ぜ込んだキャラメルを流し込み、素早く均一に伸ばしていく。滝のように、キャラメルがトレーに入っていく様子と、手際よく伸ばしていく職人技に思わず「おぉ~」といった拍手を送りたくなる。

また、反転機を導入したことにより、鍋を手で持って操作する必要がなくなり、作業の負担が大幅に軽減されたという。

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クルミッ子の製造過程(写真:筆者撮影)

「この工程では、キャラメルを綺麗に平らにしないと、製品に隙間ができてしまいます。そのため、手早く均一な厚さで伸ばし、くるみとキャラメルがしっかりと混ざるようにならすことが求められます。この部分は機械化が難しく、クラフトマンの手仕事による仕上げが必要なんです」(山川さん)

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クルミッ子の製造過程(写真:筆者撮影)

ほかにも、「クルミッ子運ぶくん」と名付けられた自動運搬機械の導入により、重いものを何往復も運ぶ必要がなくなり、生産効率も向上したという。

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クルミッ子運ぶくん(写真:筆者撮影)

残念ながら、筆者が訪問したときには動いていなかったため次回リベンジしたい。

職人の技と工夫が詰まった製造ライン

キャラメル伸ばしの隣では、生地を天板に敷いていく仕上げ工程が見学できる。ここもクラフトマンによる技術が光る見応えのある工程だ。

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クルミッ子の製造過程(写真:筆者撮影)

伸ばした生地を天板にのせ、さらにキャラメルシートをのせる。そして再び生地をかぶせた後に余分な場所をカット、仕上げに牛乳を薄く塗り、空気を抜くための穴をあけていく。

言葉で書くと簡単そうに見えるが、慣れるまでなかなか手際よく行うのが難しいという。そして、この生地も食べたときの食感や一体感を考慮し、実は上下の厚さをミリ単位で変えているそうだ。

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クルミッ子の製造過程(写真:筆者撮影)

つづいても、筆者が夢中になった工程がある。焼成されたクルミッ子が超音波カッターでカットされていく様子だ。回転しながら次々とカットされていくクルミッ子が、とにかくかわいい。1枚あたり、なんと135個ものクルミッ子が誕生していく。

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クルミッ子の製造過程(写真:筆者撮影)

ここで発生した切れ端(ミミ)は「クルミミカップ」として併設のカフェで数量限定で販売されており、開店前から行列ができるほどの人気ぶりだ。

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クルミミカップ クルミッ子キャラメルソース付(写真:鎌倉紅谷提供)

「原料を含め、お菓子を無駄にしない」という創業時からの思いにより、切れ端販売や細かな生産計画が徹底されている。

制服もスタイリッシュ

ふと、ここで思ったことがある。クラフトマンの制服がとてもスタイリッシュだということだ。

一般的に食品工場では白いユニフォームを着用していることが多いが、ここではロゴ入りの白衣に黒ズボンというスタイルを採用している。

「もともと既存の工場では白い一般的なユニフォームを着ていましたが、“見せる工場”として、施設にあったかっこいい制服に変更しました。今ではほかの工場でも同様に変更を進めていますし、クラフトマンのモチベーション向上にもつながっています」(山川さん)

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クルミッ子の製造過程(写真:鎌倉紅谷提供)

確かに、たとえば小さな子どもが見たときに「かっこいいな」と思ってもらえるような“見せ方”はとても大切だ。実際に、ほかの企業でもこうした工夫を取り入れているという話を耳にしたことがある。

カットの工程から、さらに奥へと進むと、クルミッ子が次々に流れていく。リスくんのイラストが描かれたフィルムで、1つひとつ丁寧に包装され、クルミッ子の完成だ。

ファクトリーにはカフェも併設されているため、席に座ってこの光景をゆっくり眺めることもできる。

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クルミッ子の製造過程(写真:筆者撮影)

訪問時には10代~70代まで幅広い世代の訪問者が工場見学やカフェ、ショップでの買い物を楽しんでいた。

小田原に新工場設立予定、海外進出も視野

最後にこれからの展望も聞いた

「鎌倉紅谷は、“おいしいの先にある気持ち”を大切にし、お客様の背景や気持ちに寄り添うお菓子づくりを目指しています。まずは日本全国に、将来的には海外にも笑顔や幸せを届けたいと考えています。クルミッ子ファクトリーとしては、1つひとつに込めた思いやこだわりを感じていただける場所になっているので、ぜひ多くの方に足を運び、体感していただけたら嬉しいです」(山川さん)

すでにシンガポールで期間限定販売の実績もあり、ゆくゆくは海外展開も視野に。現在は小田原で新工場の建設も進行中だという。クルミッ子の海外での展開にも、注目していきたい。