マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イスラエルの改造で中東情勢をも塗り替えるゲームチェンジャーに

マスクが「時代遅れ」と呼んだ有人戦闘機F-35は、イスラエルの改造で中東情勢をも塗り替えるゲームチェンジャーに

「ドローンの時代に時代遅れ」とイーロン・マスクが批判した最先端の有人戦闘機F-35が実は最強だった Airborne Titans/YouTube

<米製第5世代戦闘機F-35を保有する同盟国の中で、イスラエルだけが改造を許され「F-35Iアディール」という最強兵器に仕立て上げ、それがイラン空爆で想像以上の効果を上げた。イーロン・マスクが推す無人機を凌駕するその能力とは>

昨年11月の大統領選挙直後、イーロン・マスクは最先端の第五世代戦闘機F-35を真っ向から批判した。1機1億ドルのこの多用途ステルス戦闘機を「時代遅れ」の「何でも屋、多芸は無芸」と呼び、未来は有人ジェット機ではなくドローンのものだと主張した。

「有人戦闘機はドローン時代には時代遅れで、パイロットの命を危険にさらすだけだ」と、マスクはXに投稿した。だが2025年6月、まさにその「時代遅れ」有人ジェット機がマスクの誤りを実戦で証明してみせた。

F-35Iアディール戦闘機(イスラエル仕様のアメリカ製ステルス機)は、イランの堅牢な防空システム、ミサイル基地、核関連施設に対して数十回の長距離攻撃を実行。イスラエル政府関係者によれば、同機はイラン領土の奥深くまで飛行し、ほとんど抵抗に遭わず、一度も被弾することなく帰還したという。

F-35はイランの重要な防空設備をことごとく無力化し、イスラエル空軍はイラン空域の大部分について制空権を獲得したという。無人機はまだ、ここまでの偉業を達成したことはない。

本誌のインタビューに応じた防衛専門家たちは、マスクの主張は正しくないと語った。イスラエルによるイラン攻撃は、ドローンが現代の戦争の形を変えるなかで、有人ステルス機が逆に不可欠であり続ける理由を浮き彫りにしているという。

「有人ステルス機は、厳重に防御を固めた敵に対して成果を上げるための、最も費用対効果の高い方法だ」と、米空軍本部で情報・監視・偵察担当の副参謀長を務め、現在はミッチェル航空宇宙研究所の所長を務めるデビッド・デプチュラ退役中将は言う。

デプチュラは、イランの領土に侵入し、時には国境から約1500キロの地点にまで達したイスラエルの攻撃は、現代的な綿密な空爆作戦だったと説明した。

「今回の作戦において、イスラエルのF-35は、ロシアが供給したイランの防空ミサイルを回避・破壊し、他の重要な標的を攻撃した。それは決して容易なことではなく、今日の無人機では達成できなかっただろう」と語った。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の上級研究員ジャスティン・ブロンクも同意する。「無人機システムが完全に有人戦闘機に取って代わることができると主張する人たちは、戦闘機は柔軟な対応ができ、決定的な軍事手段になりうることを根本的に理解していない」と、ブロンクは本誌に語った。

無人システムは、偵察や敵の対処能力を圧倒する飽和攻撃には役に立つが、紛争空域における複雑で多層的な攻撃を実行するための回復力と適応力に欠ける」と彼は付け加えた。

「邪魔のない実験場で無人機の空中戦シミュレーションがうまくいったとしても、現代の空中戦は電磁的カオスだ。無人機が信頼できるとは限らない。電波妨害や偽装工作が錯綜する空域での柔軟性が要求される」

イスラエルによる今回の攻撃では、厳重に防御されたナタンツやフォルドウの核濃縮施設といった標的に、精密誘導爆弾が投下された。 防衛アナリストらは、このようなミッションに第5世代の航空機を使用することの重要性を指摘した。

「今日の軍事作戦と10年後、15年後に可能になるかもしれない軍事作戦には大きな違いがある」と、元海軍戦闘機パイロットで国防総省の戦略担当を務めるガイ・スノッドグラスは言う。

「今日の世界では、F-35のような有人ステルス機が最高のツールだ。ネットワーク化されたセンサー類、リアルタイムの戦場認識能力、高度に訓練されたパイロットは、このようなミッションにおいては他にない利点がある」

イスラエルのF-35がイラン攻撃に持ち込んだのは、まさにそれだ。燃料システムの改造で航続距離を延ばし、精密誘導弾で武装したF-35は、1600キロ近く離れた目標に到達した。

イスラエル政府関係者によれば、このミッションは空中給油なしで実行され、レーダー探知も最小限に抑えられたという。これは同機のステルス性能とパイロット主導の適応力なしには不可能な成果だった。

「その優位性は誰の目にも明らかだ」と、デプチュラは言った。「イスラエル空軍のF-35が日常的に行っているようなことができるドローンは、現在も、そして近い将来も存在しない。ドローンは航空戦の遂行を容易にする道具であり、航空戦の基本的要素を変えるものではない」

それでも「ドローン革命」は本物だ、とデプチュラは言う。すべてを覆すには至っていないだけだ。イランの防空網突破のため、イスラエル軍は小型の武装ドローンを攻撃編成に組み込んで使用していると語った。

「効果重視のアプローチの好例だ」と彼は言う。「任務に応じて最適な手段を選ぶということだ」

現代戦の進化を示す最も鮮明な例の一つが、イスラエルによるイラン空爆が始まる数週間前に起きた。東欧でウクライナが開始した「スパイダーウェブ(蜘蛛の巣)作戦」だ。

ウクライナ保安庁(SBU)が予めロシア領深部に運び込んだ大量のドローンを使って遠隔攻撃を実施。前線から数百マイル離れた軍用飛行場や戦略爆撃機を破壊した。ロシアとの戦争で最も野心的な作戦と世界を驚かせた。

この攻撃は、戦闘機のような高価な装備を危険にさらすことなく最大限の打撃を加える手段を示した。

スノッドグラスは、将来的には人工知能(AI)や無人システムが戦争でより大きな役割を果たすと見ているが、「まだその時ではない」と語る。

「将来的に無人機が空を支配することになるだろう。しかし今、そして近い将来においては、F-35のような現在のシステムが頂点にある」。

ブロンクも同意する。「大量投入型の一方向ドローンは、かく乱や抑止には有効だが、航空機の精密攻撃の代わりはできない。ミサイル防衛システムや電子防衛に直面する現代ではなおさらだ」

F-35を製造する防衛大手ロッキード・マーチンの広報担当者は本誌に対し、「その実力は実戦で証明された」と述べた。

「戦場の情報と技術を統合し、陸、海、空、宇宙、サイバーといったすべての領域から即時に情報を共有できる能力により、F-35は他の選択肢を圧倒する性能を持つ」と広報担当者は語った。

この優位性があと10年持つかどうかは、AIの進化速度にかかっていると専門家たちは見ている。ただし現時点では、イラン上空の状況が、イーロン・マスクが主張した「有人戦闘機は過去の遺物」という見方への明らかな反証となっている。

【動画】イスラエルが改造したF-35Iの「地球制覇」能力

改造の一例として、イスラエル特製のミサイルを搭載している。

その中には、GPSが妨害されても標的に命中させられる精密兵器や、空中で発射してから標的にロックオンできる空対空ミサイルがある。上の図は、右を飛ぶF-35Iが発射したミサイルが、後ろの敵機に狙いを定めて向かっていく様子だ

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ヘスス・メサ