キモノ愛好家が指南、「気軽に楽しむ」令和の浴衣

(写真:主婦と生活社『さんかく浴衣のススメ』)

夏の風物詩である浴衣。着てみたいけど、花火大会やお祭りなど、着用シーンが限られるため二の足を踏んでいる人も多いはず。そんな中、SNS総フォロワー数40万超えのキモノ愛好家・さんかくさんは、1年の半分以上も浴衣を着ているといいます。お祭り以外のどんなときに浴衣を着ているのか、またどう着こなせばいいのかなど、浴衣デビューに躊躇する人に向けて話を聞きました。

【写真】さんかくさんが友人とのランチに選んだ浴衣とは? 足元やバッグをアレンジすることで普段着感を。

浴衣超初心者の疑問「どんな浴衣で、どこに着ていく?」

――さんかくさんは1年の半分以上も浴衣を着ているとのことですが、どうしてでしょうか。

着物が大好きでSNS発信をしていたら、インフルエンサーと呼ばれるようになり、外出時はほとんど着物や浴衣を着るようになりました。

着物と浴衣の大きな違いは生地ですが、令和の今、気候変動により従来の着物では暑いと感じる日が圧倒的に増えています。浴衣は洗える素材が多いですし、軽くて着心地もラク。着物のように衿を入れて着れば、夏以外でも違和感なく着ることができます。

――浴衣というと、花火大会やお祭りなどで着る“特別な服”という印象があるのですが、それ以外で浴衣を着て行くのにおすすめの場所はありますか。

浴衣はカジュアル着なので、改まった席以外ならどこに着ていっても大丈夫です。私がおすすめしたいのは、カフェランチや飲み会など気軽な飲食の場ですね。

【写真】普段着の浴衣、かっこいい・かわいい浴衣、サンダル合わせ・かごバッグ、着付けいらずの二部式など…浴衣の着こなしを見る

浴衣で行くと気分も上がりますし、お店の方も「わざわざ浴衣を着て来てくれたんですね」と親切にしてくれることが多いです。

あとは美術館などでの展覧会や、ちょっと近所のスーパーに行くだけでも気分が変わり、楽しいものです。着付け初心者のうちは、着崩れるのがこわいと思うかもしれませんので、すぐに家に帰れる近所は気が楽でいいですよ。

友人とのランチに浴衣をチョイス。足元やバッグを変えることで普段着感を(写真:主婦と生活社『さんかく浴衣のススメ』)

――普段着として取り入れるのもいいんですね。最初はどのような柄を選べばよいのでしょうか。

大前提として“好きなものを選ぶ”というのがある中で、例えば“かっこいい系”や“かわいい系”など、なりたいイメージで柄を選ぶといいと思います。

――具体的にはどんな柄が、かっこいい系、かわいい系なのでしょうか。

これは個人的な意見ですが、いわゆる伝統的な浴衣……紺地や白地に朝顔や百合、トンボなどが描かれている浴衣は“粋”つまり“かっこいい系”だなと思います。対して“かわいい系”は、カラフルな生地や、淡い色合いのものをイメージします。

今はあらゆる柄の浴衣が売っているので、実際に試着して顔映りなどを見て、お気に入りの1枚を見つけてみてください。

左:紺地に伝統的な花柄のかっこいい系浴衣。右:カラフルでモダンなかわいい系の浴衣 (写真:主婦と生活社『さんかく浴衣のススメ』)

――試着をするとなると、初心者はどのようなお店で買うのがいいのでしょうか。

私がおすすめしているのは、親切な店員さんのいるリサイクル着物店なのですが、どこにでもあるわけではないですよね……。予算に余裕がある場合はデパートの浴衣売り場、あるいは毎年浴衣を出しているアパレルブランドなどが試着しやすいと思います。費用を抑えたい場合は、街のショッピングセンターなどでも取り扱っているので、チェックしてみるのもいいかもしれません。

コーディネートのお悩み相談「靴やバッグの選び方は?」

――浴衣姿に憧れはあるのですが、足元は下駄じゃないとダメですか? 痛くなりそうで心配です。

足が痛くなるぐらいだったら、サンダルでいいと思っています。私は足元は和洋の区別なく履いていて、浴衣にはスポーツサンダルやビーチサンダルを合わせることもあります。

とはいえ、トータルコーディネートで足元が下駄のほうがいいなと思った場合は、バッグにこっそりビーチサンダルを忍ばせて、痛くなったら履き替えることも(笑)。

あとは足袋ソックスを履くことでオシャレに見せつつ、足の甲や指股の擦れを防ぐという方法もいいかもしれません。

おしゃれな足袋ソックスを履けば、擦れから足を守れる(さんかく×しまむらコラボソックス 写真:本人提供)

――サンダルを合わせてもいいとのことですが、どのようにコーディネートしたらおしゃれに見えますか?

私の場合、おめかししたいときは厚底のサンダルで、近所でラフに着たいときはビーチサンダルを選ぶことが多いですね。

トレンドの厚底サンダルは浴衣に合わせてもオシャレ(写真:主婦と生活社『さんかく浴衣のススメ』)

――バッグも、小さい巾着でないといけないという思い込みがありますが……。

そんなことないです。巾着だけだとモノが入らなくて困ってしまいますよね。私が愛用しているのは、かごバッグ。モノもたくさん入りますし、見た目も涼やかです。かごバッグなら夏のワンピースなど、普段の洋服にも合わせやすいのでおすすめです。

でも無理にそのために買い足さなくても、きっとお手持ちのバッグの中に浴衣に合うバッグがあると思うので、浴衣の上に並べてみるといいのではないでしょうか。

二部式、プロにお任せもあり!着付けのお悩みを解決

――お話を聞いていて、着てみたい気持ちが大きくなってきたのですが、自分で着付けをマスターするには、どれぐらい時間がかかるでしょうか。

その人の器用さによって変わると思うのですが、3日ぐらいみっちり練習すれば、一通りは着られるようになると思います。

先日、私も浴衣をざっくり着る動画をアップしたのですが、私の着方だと(帯結びはのぞいて)わずか1分で着ることができます。

さんかく 秋田生まれ東京在住のフォトグラファー/キモノ愛好家としてトークイベント出演ほか、アパレル等とのコラボレーションなど幅広く活動している。今夏2冊目の著書となる『さんかく浴衣のススメ』を上梓(写真:本人提供)

世の中にはもっと丁寧に解説している動画もたくさんあるので、それを見ながら練習してもいいですし、「浴衣着付け1DAYレッスン」みたいな講座がたくさんあるので、そういうものに参加すると早くマスターできると思います。

――それでも着付けが難しくて心配、という人におすすめの方法はありますか?

二部式の浴衣はいかがでしょうか。ワンピースと上着、というように分かれている浴衣なのですが、これなら着付け道具も必要なく、浴衣姿を楽しむことができます。価格も5000〜1万5000円ほどで出回っていますし、本当に花火大会の数時間だけ着たいという人にはいいのではないでしょうか。

それを入り口に本格的に浴衣を着てみたくなったら、また新しい浴衣を買えばいいと思います。またイベントだけでもきちんと着たいと思ったら、美容室やマッチングサービスで着付師さんを見つけて、着せてもらうのもありだと思います。

美容室ならヘアも合わせてセットしてもらえるので「パーティーに招待された」というようなシチュエーションでしたら、プロにお任せするのも一案です。

ワンピースと上着がセットになった二部式の浴衣。ワンピースのみでも着用できて便利(写真:主婦と生活社『さんかく浴衣のススメ』)

――実際に着ていて、暑くはないですか? 何か対処はしていますか?

暑いです。でもそれは、洋服を着ていても同じなので(笑)。私は真夏に浴衣を着るときはタオルを巻いてから着ることで、汗をタオルに吸わせています。あとは胸元に小さな保冷剤を入れたり、予備の保冷剤をクーラー袋に入れて持ち歩いたりもしています。手で握るだけでも暑さがやわらぎますよ。

あとは日傘。日傘は日除けだけでなく、浴衣姿をより素敵に見せてくれるので、私にとってはマストアイテムですね。

日傘は浴衣姿をいっそう風流に見せてくれるアイテム(写真:主婦と生活社『さんかく浴衣のススメ』)

――最後にこの夏、浴衣を着てみたいと思っている人にメッセージをお願いします。

浴衣は夏を楽しむ方法であり、文化の1つだと思います。たしかに着るまでは面倒だったり、心配だったりするかもしれません。でも着たときの高揚感や、周りからの反応など、着てみるといいことがたくさん起きます。

特別感はあるけどカジュアル着なので、あまり気負わず、気軽な気持ちでトライしてみてください。一緒に夏の風物詩の一部になりましょう。