【緊急解説】なぜイラン・イスラエルは“停戦合意”へと傾いたのか? アメリカによる核施設攻撃が“決め手”に? 双方への攻撃が続く中、今後の動きは?

【緊急解説】なぜイラン・イスラエルは“停戦合意”へと傾いたのか? アメリカによる核施設攻撃が“決め手”に? 双方への攻撃が続く中、今後の動きは?
24日、イランはカタールのアメリカ軍基地に対し報復攻撃を実施した。だが、この攻撃の後、トランプ大統領は「イランとイスラエルが停戦に合意した」とSNSに投稿。イランを巡る情勢は目まぐるしく動いている。
本当にイラン・イスラエルは停戦するのか? 日本経済にはどのような影響があるのか? 国際情勢ウォッチャーの武隈喜一氏に聞いた。
なぜ仲介役となったカタールの米軍基地を攻撃したのか?

━━トランプ大統領が停戦合意を発表した背景は?
「まず、イランがカタールの米軍基地を攻撃した直後にトランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談をして停戦を呼びかけ、イスラエルは『イランが停戦するのであれば応じる』としたようだ。その後、その話をトランプ大統領がカタールの(タミム)首長に『イランとの間の説得役を果たしてほしい』と電話で伝えた。そして、カタールからイランに『アメリカとイスラエルは停戦するつもりだ』と伝え、イラン側もそれを承諾したようだ」
━━今回仲介役となったカタールのアメリカ軍の空軍基地をイランが攻撃したのはなぜか?
「実はイランは攻撃をする前に、アメリカにもカタール政府にも事前通告をして、被害を最小限に防ぐための迎撃の準備をさせていた。イランとしては報復攻撃をしてメンツを保つことが一番大事で、できるだけ被害は小さく抑えて、アメリカからの反撃をエスカレーションさせないように抑制した。その意味では、イランとしてはカタールにある米軍基地は連絡も取りやすく、交渉が成り立つ相手だったと思われる。イランはかなり軍事的にも国内的にも疲弊しており、攻撃に使えるミサイルの数も減ってきていたのだ」
イスラエルとイランの戦況は?

━━イランとアメリカの思惑は?
「トランプ大統領は核施設への攻撃の際に『これはイランの核の脅威を取り除くためだ』と言っており、その後少し言葉は変わったものの、イランそのものの政権転覆まで狙うような攻撃は考えていなかったと思う。その意味では、核施設の攻撃というアメリカの目的も達成できた。イランの核施設がどこまで被害を受けたかはわからないが、イランとしてもアメリカとの直接の戦いがエスカレーションしていくことは全く得にはならないと判断したのだろう」
━━ここまで、イランとイスラエルの戦況はどうだったのか?
「イスラエルが圧倒的な軍事力でイランの制空権を握り、イスラエルの航空機も、アメリカの爆撃機も飛べるようになったことは大きい。これはイスラエル側から言えば“成果”であり、イラン側は停戦を飲まざるを得ないというところまで軍事的にも弱体化した。また、国際的に第三国が入って話し合いによって停戦になる流れがなかなかできなかったが、アメリカが一気に核施設を攻撃して、停戦に持ち込むという流れになったと言えるだろう」
イランの今後の核開発は?

━━イラン国内は不安定になっているのか?
「実は宗教制度についてイランの国内では反発も強く、ハメネイ師の宗教的な権威に対する反感も強かったが、イスラエルが一方的に攻撃を仕掛けてきたことで“1つになって戦う”という意識が高まっていた。だが、アメリカ軍の圧倒的な攻撃などで軍事的な優位を見せつけられると、やはりイランの今の軍事力では対抗できない。この後、イラン国民がこの停戦をどのように受け止めるかはイラン政権が人心をコントロールしていけるか次第だと思う」
━━まだイスラエルとイランの双方から合意を認める正式発表はないが、今後の動きや見通しは?
「停戦が成立するとすれば、日本時間の24日午後1時以降だ。まずイラン側が停戦をし、その12時間後に今度はイスラエル側が停戦をするという手順になっている。実はイスラエルは、テヘランに対して空爆を仕掛け、イランとしては『イスラエルが本当に攻撃をやめるのであれば自分たちは攻撃をやめる準備がある』、そしてイスラエル側も『イランが停戦をきちんと実行するのであれば自分たちも停戦にのる』と言っている。イスラエルとイランは、停戦に合意はしているものの、互いに猜疑心を持って、本当に攻撃をやめるのか疑っている。ここから様子を見る必要がある」
━━停戦合意に至らず、再び攻撃の応酬が続く可能性はあるのか?
「まだその可能性は残っているが、トランプ大統領が双方に働きかけをして、そしてカタールが間に入って直接イランと交渉し、そしてアメリカに伝えた形で停戦が成り立ったと発表されている。だからこの合意を破るということも少し考えづらい」
━━イランの今後の核開発はどうなるか?
「まず、今回のアメリカの攻撃によってイランの核施設がどの程度の被害を受け、何年間分の開発が遅れるかは分からないのでなんとも言えない。だが、イランとしても『核開発をやめる』とは言っていない。元々イランは『軍事利用ではなく、平和利用のために核を開発している』『国の権利だ』という形で進めてきており、核開発を放棄するとは一度も言っていない。その意味で、イランが果たして核開発を続けて、それを軍事転用していくのかどうかという問題はまだ残っていて、国際社会もアメリカも注視しながら協議あるいは交渉するだろう。そしてイランの核開発の実態を掴むためにIAEA(国際原子力機関)も査察に入る努力をするだろう」
━━正式に停戦となった場合、日本にはどのような影響があるだろうか?
「まず、ホルムズ海峡の封鎖はなくなるだろう。今まで通り、石油や天然ガスのタンカーがホルムズ海峡を抜けて日本に運ばれるようになり、経済面では少し安心できる」
(ABEMA/ニュース解説)
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