【2025年上半期ランキング 皇室編10位】春の園遊会 愛子さまは「王朝遊び」の本振袖 皇后雅子さまは優美な藤の花 天皇家「菊紋」の着物と「美意識」

2025年も折り返しです。1月~6月にAERA dot.またはAERA DIGITALに掲載され、特に多く読まれた記事を、ジャンル別にランキング形式で紹介します。皇室関係の記事の10位は「春の園遊会 愛子さまは『王朝遊び』の本振袖 皇后雅子さまは優美な藤の花 天皇家『菊紋』の着物と『美意識』」でした(この記事は4月26日に配信されたものです。年齢や肩書などは当時のまま)。
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天皇、皇后両陛下主催の春の園遊会が、4月22日に元赤坂の赤坂御苑で開催された。皇后雅子さまは、淡い黄の淡黄蘗(うすきはだ)に優美な藤の訪問着。両陛下の長女の愛子さまは、可憐な空色に貝桶の吉祥文様が描かれた本振袖で臨んだ。実は、天皇家の菊紋のお着物をお召しのおふたりには、共通の美意識がある、と専門家は話す。
やさしい日差しに、可憐な明るい青色を指す「勿忘草(わすれなぐさ)」の生地が、愛子さまの笑顔を一層明るく見せていた――。
春の園遊会は、62年ぶりに形式を変更。両陛下、秋篠宮ご夫妻を中心とする皇族方、そして愛子さまと佳子さまらプリンセスを中心とする3手に「道筋」を分けて、できるだけたくさんの招待者と交流できるよう配慮した。
愛子さまらが向かう「松山テント」と呼ばれるエリアには、大勢の人が集まり華やいだ空気に包まれた。
愛子さまは、目線があうとにっこりほほ笑み、招待者の話に、うん、うん、とうなずく。全力で「おもてなし」をする愛子さまの所作に、招待者は「お可愛らしい」と、目を細める。

この日の愛子さまがお召しだったのは、未婚女性の第一礼装となる三つ紋の本振袖。袖には、天皇ご一家である内廷皇族が用いる「十六葉八重表菊」の菊紋を見ることができる。
青空を映したような美しい着物には、王朝遊びのひとつである「貝合わせ」に使う蛤と入れ物である貝桶といった吉祥文様が大振りに描かれている。
思い出されるのは2003年秋の園遊会。雅子さまはまだショートヘアだった時期で、やはり「貝桶」が描かれた、淡い地色の訪問着をお召しだった。幼い愛子さまと遊ぶ、母としての雅子さまを想わせるような優しい柄行が印象深いお品だ。

京都市で京友禅の誂えを専門とし、著名人らの顧客も多い「京ごふく二十八」を営む原巨樹(はら・なおき)さんによれば、愛子さまの本振袖に用いられたのは、紗綾形(さやがた)に菊と蘭をあしらった本紋(ほんもん)の地紋を織り込んだ生地だという。
「地紋の紗綾形は振袖にも多く用いられる生地で、愛子さまの本紋は大きめであることから、若々しい印象を与えています」
締めているのは華紋が美しい蜀江文(しょっこうもん)の西陣の帯。中国の蜀で織られ文様に由来し、八角と正方形が組み合わされた壮麗な錦の総称となっている。

そして、皇后雅子さまは、三つ紋の訪問着。袖と背中には、愛子さまと同じ内廷皇族が用いる「十六葉八重表菊」の菊紋を見ることができる。
淡い黄色を指す、淡黄蘗(うすきはだ)の地に、藤の花が描かれた訪問着。淡い紫やほんのり紅の混じる藤の花が優しげに描かれている。合わせたのは、華紋が織り込まれた西陣の帯。
この日、会場となった赤坂御苑では、藤棚に見事な藤の花が咲いており、まさに春の園遊会にふさわしい柄行であった。
愛子さまと母の雅子さまには、共通の美意識が感じられると原さんは話す。
ポイントは、おふたりの帯締めや帯揚げ、着物と帯の柄にごくわずかに入った、差し色だ。
「愛子さまは、水色の着物に対して、朱赤が見事なアクセントとなっています。そして、雅子さまは、ベースとなる黄色の訪問着に対して、わずかに青みを含んだ優しいピンクである、撫子色(なでしこいろ)が全体を引き締めていらっしゃいます」
おふたりともすっきりとした色使いの着物だが、差し色として朱赤と撫子色の濃淡を加えることで、ぐっと華やかに着こなされている。

「愛子さまの朱赤は若々しさを、皇后さまの撫子色は優しさを連想させ、目にした人びとの好感を誘うでしょう」
雅子さまと愛子さまの共通項は、着物の他にもある。「お話好き」な点だ。
園遊会や公務の場などで、おふたりと懇談をした人びとは、おおよそ同じ感想を口にする。
たとえガチガチに緊張していても、(雅子さまや愛子さまが)ふんわりとほほ笑まれると、なぜか力みがとれるのだという。
お話好きの雅子さまは、楽しそうな表情で相手にどんどん質問されることが多い。懇談のお相手は、雅子さまのパワーに引き込まれて夢中になって話してしまうようだ。
一方の愛子さまは、ゆったりと物腰や柔らか。愛子さまと相手の間には、のんびりした空気が漂うことが多いが、気づくと話し込んでしまうという。

この日の園遊会でも、丁寧な「おもてなし」をする愛子さまに、おそばにいる職員らが、「そろそろ…」と、何度もお声がけをしていた。
愛子さまは、そのたびに、うん、うん、とうなずくが、なかなか足は動かない。
「ご両親(両陛下)にお伝えしてくださいね」と招待客が迫力のあるトークを展開する場面もたまに見かけるが、愛子さまはニコニコしながら素直に耳を傾けている。
着物も雰囲気もどことなく共通した柔らかな雰囲気のあるおふたり。この日の園遊会は、どこか天皇ご一家のお人柄がにじむような、あたたかな「おもてなし」になったようだ。
(AERA 編集部・永井貴子)