「イカゲーム3」世界1位でも否定的な声が目立つ真因

Netflix史上最高のヒット作「イカゲーム」最終章が6月27日に全世界配信された。ストーリーの核心に迫るネタバレは避けながら、「イカゲーム」シーズン3を解説する(写真:Netflix)
クズ度が増す緑ジャージの参加者たち
Netflix史上最高のヒット作「イカゲーム」のシーズン3が6月27日に全世界配信されると、初週で世界1位を達成し、早くも歴代トップ10入り。華麗な成績には、もはや驚きはありません。
【画像5枚】Netflix史上最高のヒット作「イカゲーム」。シーズン3の雰囲気はこんな感じ
最終章となった今回は、ハリウッドを代表する女優のサプライズ登場で沸かせ、賛否を巻き起こすエンディングまで用意しています。ただでは終わらせないしたたかささえ感じます。ストーリーの核心に迫るネタバレは避けながら、「イカゲーム」シーズン3を解説します。
全6話で構成されるシーズン3は、2024年12月26日に世界配信されたシーズン2と同じ設定です。シーズン2と3を合わせた全13話の物語として、"456番"こと主人公・ギフンが再び参加したサバイバルゲームに決着がつきます。
ギフンはまたしても4560億ウォンの賞金を手に入れられるのかどうか――。そんな興味を抱かせつつも、シーズン1を繰り返すような単純な展開にはなりません。
“イカゲーム”そのものをぶち壊すために熱く闘うシーズン2からマイナーチェンジした印象も強いです。絶望感たっぷりだからです。
それを強調させるためか、ギフンを演じるイ・ジョンジェは頬がこけるほど減量しており、笑顔封印で鋭く光った眼光が目立つ形相です。孤独を抱えて怒りに満ちた姿はシルベスター・スタローンの“ランボー”に見えなくもありません。
人数が絞られるほど、緑のジャージ姿のゲーム参加者たちのクズ度が増しているようにも感じます。もし、緑ジャージのクズ役ナンバーワン選手権があれば、100億ウォンの借金を抱えた100番のシニア男性に一票を投じたくなるほど。高圧的な態度の100番が危機を乗り越えるたびにまんまとイライラさせられます。
そんな彼らが参加する昔遊びのゲームは今回、3つ用意され、なかでもスリル満点なのが大縄跳びをモチーフにしたものです。あの「だるまさんがころんだ」のヨンヒ人形がレギュラー登場し、不気味に大縄を回します。セットデザインはどれも抜かりなく、これまで通り大規模かつカラフルで、メルヘンチックなのにすぐさまゲーム会場が血まみれになります。

「イカゲーム」を象徴するヨンヒ人形はシーズン3でも登場。恐怖の大縄跳びゲームが繰り広げられる(画像:Netflix)
オスカー俳優のサプライズ出演で憶測広がる
短い出演シーンにもかかわらず、“めんこ男”としてインパクトを残したシーズン1のコン・ユのようにキャスティングでも話題を作っています。
しかも今回、カメオ出演するのは人気俳優どころか、エンタメ界最高峰のアカデミー主演女優賞の受賞歴を持つオスカー俳優です。レベルを上げてきます。6月27日の公開日まで出演者の名前を伏せて、サプライズ演出は徹底されていました。主演のイ・ジョンジェにも知らされていなかったとか。
もったいぶらせたその俳優はケイト・ブランシェットです。黒塗りの車の後部座席からイ・ビョンホン演じるフロントマンが窓を開けて視線を向ける先にいるのが彼女という、登場シーンの演出まで引っ張ってきます。
演じたのは、負けるとビンタ、勝てば現金を渡すという謎のルールでめんこのゲームを仕掛けるスカウトマン役です。アメリカ・ロサンゼルスの街中の路地で、スーツでビシッと決めたブランシェットがめんこをする姿はなかなかシュールです。

ケイト・ブランシェットがカメオ出演したことでアメリカ版の憶測が広がる(画像:Netflix)
彼女の登場そのものが話題になる中、次なる憶測まで広がっています。それはブランシェットがアメリカ版「イカゲーム」に出演するというものです。
Netflixは公式発表していませんが、アメリカで「イカゲーム」のスピンオフ制作プロジェクトが進められているという噂があります。ハリウッドの大手業界誌Deadlineなどがこれまで何度となく報じ、そこにはクリエイター陣の名前が挙がり、具体的な制作スケジュールまで記されていることで期待が高まっています。
その監督名を知れば、前のめりで盛り上がることに納得もします。日本でもファンが多い巨匠デビッド・フィンチャーです。映画『ファイト・クラブ』『ゴーン・ガール』を代表作に持ち、冷酷な心理描写を描くのが大得意な監督ですから、「イカゲーム」との相性は良さそう。Netflixと独占契約を結んでいることが信ぴょう性を高めてもいます。
その上、フィンチャー監督の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』でヒロインを演じたのがブランシェットという結びつきまであるのです。ブランシェットの“めんこ女”がただの偶然とは思えないのは当然なのかもしれません。
シーズン1超えのハードルは高かった?

「主人公ギフンの物語が見事に締めくくられた」という肯定的な意見もある(画像:Netflix)
ある意味、最終章の中身がアメリカ版への期待を募らせているとも言えます。「シーズン1の満足度を超えなかった」という否定的な意見と、「主人公ギフンの物語が見事に締めくくられた」という肯定的な意見があるからです。
満足できなかった部分は確かにあります。シーズン3は重苦しい雰囲気が続きがちで、赤ん坊という存在を使って残酷さを加速させ、さらに儒教的な思想が加わります。これによってお腹いっぱいになる人はいそうです。
何より登場人物がステレオタイプになりがちだったことは残念な点だと思います。誰が善人で誰が悪人かがわかりやすく描かれていることで、死に方が予想できてしまうのです。登場人物のキャラクターの弱さが、続編の満足度を下げた一因になっているでしょう。
資本主義に対する鋭い皮肉
一方、骨太なエンタメ作品を貫いたことは評価に値します。
ギフンは常に迷いながら進み、たびたび甘い誘いを受けますが、人としての尊厳を保ち、そんな姿を描ききっています。「おじさんはそんな人じゃないでしょ」という他者の言葉に救われるのはギフンの人徳が影響しているように感じる部分です。

ゼロから「イカゲーム」を生んだファン・ドンヒョク監督(右)(画像:Netflix)
こうした試練を与えられる物語の背景には、資本主義に対する鋭い皮肉が潜んでもいます。ゼロから「イカゲーム」を生んだファン・ドンヒョク監督はただ消費されるだけのエンタメ作品にしたくないという思いがあったのかもしれません。後味を残したエンディングにそれが表れています。
少なくとも数字の上で記録に残ることは間違いありません。シーズン3は初週から6010万視聴回数を記録し、公式の全世界ランキング1位を軽々と獲得しています。同時にNetflix歴代トップのシーズン1と2の視聴時間も伸ばし、「イカゲーム」の独走状態はまだまだ続いていきそうです。