料理家・栗原はるみの「人生がつまった思い出の器」とは?

75歳でレシピやライフスタイルを紹介する雑誌『栗原はるみ』を創刊。

号を重ねながら、雑誌の企画で挑戦したギターが新しい趣味になったり、猫を飼いはじめたり……。料理はもちろん、自分らしくひとりでも楽しく暮らすためのヒントを発信し続けている料理家の栗原はるみさん。

そんな栗原さんが、誌面だけではどうしても伝えきれない料理のコツ、そして何より料理を作ることの楽しさ、丁寧な暮らしのエッセンスをお届けするオンライン料理教室を9月にスタートさせます。

6月にお届けした無料のインスタライブレッスンは、一週間で約7万人以上が視聴するなど、大反響!

料理家・栗原はるみの「人生がつまった思い出の器」とは?

7月16日(水)にも、雑誌の公式インスタアカウントで無料のインスタライブレッスンを開催予定!

今回は、栗原さんの思い出の器をご紹介します。

   

① 陶芸家・荒木義隆さんの器

 

器につまっているのは人生の大切な風景

なんて美しい色なんだろう !  

40年以上前、とある器屋さんでひと目惚れしたトルコブルーのおちょこをきっかけに、専業主婦だった私は器の世界にのめり込んでいきました。

作家は京都の宇治を拠点にしていた荒木義隆さん。

それからお小遣いで一点ずつ買い足すのが楽しみになり、料理家になって間もない頃に雑誌の取材で初めてお会いしてから 、『ごちそうさまが、ききたくて。』 に登場する盛り皿をはじめ、これまでたくさんの器を依頼してきました。

数ある中でも特に思い出深いのがこの3つです。

緑釉の片口は娘の、焼き締めは息子の結婚式の引き出物にお願いしたもの。

手前の大皿は私と玲児さんのために作ってもらったものです。この3つに詰まっている思い出は語り尽くせません。

片口は、お酒や焼酎を入れたり、料理を盛ったり、花入れにしたり、使うことが多いのでなおのこと。家族、友人、あの瞬間の笑顔の風景がふっとよみがえって、見るだけで幸せな気持ちになります。

 

② 粉引の四つ足皿

 

若い頃の決意を 思い出させてくれる器

私が料理の仕事を始めた80年代は、今とは違ってスタイリストさんが器を決めるのが当たり前の時代。料理家が器を選ぶことなどできませんでした。

たとえスタイリストさんが持ってきたお皿が自分のイメージするものとかけ離れていたとしても、それを使うしかなかったのです。

でも、『ごちそうさまが、ききたくて。』 と、 続編 の『 もう一度、ごちそうさまがききたくて 。』 では 、 絶対に自分が選んだ器を使おうと決めました。

地方にある窯元を巡り、たくさんの作家の方に会って買いためておいたものを、料理に合わせたのです。

数ある中でも、掲載してとりわけ読者の方の反響が大きかったのがこのお皿です。

温かみのある粉引で、深さもある楕円形。足がついているというのが当時はすごくめずらしかった。この足があるだけでおしゃれになります。

本の中で、チョコレートケーキやお刺身、牡蠣の混ぜご飯を盛ったように、煮物やパスタまで幅広く使えるのも魅力。

2冊の本を通じて、器選びや使い方を評価していただいたのが本当にうれしかったですし、自信がつきました。前例がないことをするときって、不安になることが私もありますが、そんなときにこのお皿を使うと、すごく前向きな気持ちになれるんです。

自分がやりたいと思うことを見つけたら、とことんまでやってみよう。枠を決めず、どんどん可能性を広げていこう。 自分を信じよう。そう思わせてくれる大切な器です。

 

写真(オンライン料理教室分)/嶋田礼奈(講談社写真部)

構成/『栗原はるみ』編集部