【夏のおうちごはんが楽ちんに!】フードライター・白央篤司さんが仕込んだ「冷蔵庫にあると最強なもの」5つ

 外食が続いて栄養バランスが乱れてしまった、冷蔵庫の余り食材や消費期限が迫る調味料の使い方がわからない……体や台所をすっきりさせる“食の帳尻あわせ”のヒントを、フードライター・白央篤司さんが日々の食体験とともに綴ります。

6日間家を空けた後に行った「食の帳尻合わせ」

旅行後の空っぽの冷蔵庫に補充した「普段よく使うもの」。

 先月末、6泊の出張があった。出張の用意も大変だったけれど、同時にやらねばならなかったのが冷蔵庫の整理。出発前、生鮮食材はあらかた煮炊きして保存容器に入れ、それでも残ったものは分かるようにまとめて、ツレに「優先して使ってほしいのは、このへん」と伝えておいた。結構自炊力のある人なので、大概のものはレシピ検索などしつつ料理して食べてくれるのが、ありがたい。

 帰宅してみれば冷蔵庫の中はスカッと空っぽで、妙にうれしくなった。「よし、空白を埋めていくぞ!」なんて気持ちがむくむくと湧いてくる。

 買いものに出て、気持ちのおもむくまま素材を購入。手が自然とのびたものは、トマト、きゅうり、ピーマン、なすに鶏ささみ。それぞれ仕込んでいきますか。

 きゅうりは4本1袋のを購入。そのうち2本は叩いて食べやすい大きさに切り分け、ビニール袋に入れて醤油、ごま油、いりごま、オイスターソースにラー油少々を加えて軽くもみ、余白のないように袋をきっちりしばって冷蔵庫へ。1時間もおけば、ピリ辛叩ききゅうりの完成だ。おつまみにするなら、塩昆布少々を入れてもいい。

 残りの2本は輪切りスライスにして塩して軽く揉み、これまた冷蔵ストック。塩もみきゅうりスライス、作っておくと肉の付け合わせや、サンドイッチの具にと、かなり活躍してくれる。塩もみきゅうりとクリームチーズのトーストサンドなんて、夏の朝食にうってつけ。寝汗をかいた体にしみわたるおいしさ、体験してみてほしい。

塩もみきゅうりをのっけたトースト。

 ピーマンは半分に切って、へたと種を取り(気にならない人は取らなくてもOK、食べられます)、フライパンに油をひいて中火で両面を焼きつける。熱いうち保存容器に移して、めんつゆ(3倍濃縮)を軽く全体にまわるぐらい入れるだけ。そのままでもいいし、しらすやオニオンスライスなんかと和えるだけで、オツな一品になる。

 なすはへたと先を落とし、皮をしまにむいて、ラップして2~3分レンジにかけてそのままおき、熱が取れたら冷蔵庫へ。食べたいとき適当に割いて、刻んだかいわれ菜でものっけて、おろしぽん酢をかければ冷やしなすのできあがり。暑さに疲れて帰ってきたとき、冷え冷えのなすを口に含むと「生き返るーッ!」なんて気持ちになれて、うれしいものだ。

トマトをだしに浸けたもの。

 トマトは小ぶりなもの(中ぐらいの大きさとミニトマトの間ぐらい)を湯むきして、白だしを薄めた汁にひたして冷蔵庫へ。1日ぐらい置いてなじませたい。湯むきは面倒だけれど、だしを含んだトマトの酸味って、夏の疲れを溶かす作用が本当に強いと私は思っている。そうめんのつゆにこのトマトを入れて、軽く崩しながら大葉と一緒にいただいてみてほしい。「仕込んどいて、よかった……」と私は毎度つぶやいてしまう。

 鶏ささみはゆでてほぐしたものを、汁ごと容器に入れて、冷めたら冷蔵庫へ。今の時期は冷麺や素麺、冷やし中華なんかを食べることが多いので、たんぱく質要員として常備しておきたいのだ。

 さあ、ひと通り仕込みが終わった。手が動くにまかせて料理するのは楽しい。普段は作り置きってしないんだが、料理をまったくしなかった6日間の「帳尻合わせ」的な作業といいますか。あれこれと「普段よく使うもの」を補充して、ちょっとした達成感が気持ちよかった。あとはビールを買って冷やしておいて、ツレの帰りを待つとしよう。

「仕込み」をフル活用した昼ごはんと自作エナジードリンク

盛岡冷麺に仕込んだものをトッピング。

 その前に自分用の昼ごはん。親が先日、盛岡冷麺を送ってくれてたので、仕込んでおいたスライスきゅうり、鶏ささみのほぐしたの、だしトマトをのっけていただきます。それぞれがしっかり冷たくて、暑さに疲れた体に沁みる……。途中で黒酢をかけて味変するのがまた、おいしいんだ。

白央さんの夏のエナジードリンク。

 酢といえばこの頃、「はちみつとりんご酢を炭酸で割って飲む」、というのにハマっている。久しぶりに飲んだら体がスカッとして、疲労感が軽減されたような感じが得られたので、起き抜けの一杯に。これのおかげかはわからないが、最近ちょっと調子がいい。

 はちみつは溶けにくいので、グラスにはちみつ大さじ1ぐらい入れて、炭酸をグラスの半分ぐらい加えたら、よーくかき回して混ぜる(ここ大事)。それからりんご酢をはちみつと同量程度加えて(酢が苦手なら少なめに)、さらに炭酸を適量。夏はこれと、麹の甘酒が私のエナジードリンクだ。

 食欲が落ちがちなこの季節、大事にしているのは、食事を抜かないこと。疲れて作る気も起きないときのために、カロリーメイトみたいなものも常備している。困ったらこれに一食頼ればいいや、というものをあれこれ用意しておくの、大切。食べないとすぐにパワーも落ちて、熱中症などにもかかりやすくなりそうで怖いのだ。

 暑さもこれからが本番。日々の食は命の用心、なんて言葉が思い浮かぶこの頃である。

白央篤司(はくおう あつし)

フードライター、コラムニスト。「暮らしと食」がメインテーマ。主な著書に、日本各地に暮らす18人のごく日常の鍋とその人生を追った『名前のない鍋、きょうの鍋』(光文社)、『台所をひらく 料理の「こうあるべき」から自分をほどくヒント集』(大和書房)、『はじめての胃もたれ 食とココロの更新記』(太田出版)がある。

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