やる気が出ないときは松岡修造さんを見ればいい

簡単なことで気分は変わる, 人間がくよくよするのは生き延びるための知恵, くよくよをもたらす最大の原因は人間関係, リカバーできる術を会得すれば大丈夫!, やる気が出ないときは松岡修造さんを見る!, お金を稼ぐと、心の強度も上がる!, 年相応なんて気にしない!「若作り」で若々しく

(画像:『くよくよしたら手を洗おう。』)

仕事でミスをしたり、人間関係でちょっと嫌なことがあったり。モヤモヤした気持ちが頭から離れず、あれこれ思い悩んでしまうことは誰にでもあります。
そんなとき「心を変えようと頑張らなくても大丈夫。ほんの少しの工夫で、気づけば陥っている"くよくよ"をうまくやり過ごせるようになっていきます」と言うのは心理学者の内藤誼人氏。
たとえば「石けんで手を洗う」という単純なことで、くよくよは解消され、ちゃんと心理学者によるエビデンスもあると言います。最新の心理学研究が導き出した"くよくよ解消"アクションの例を、内藤氏の著書『くよくよしたら手を洗おう。』より一部を抜粋し、ご紹介します。

簡単なことで気分は変わる

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(画像:『くよくよしたら手を洗おう。』)

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(画像:『くよくよしたら手を洗おう。』)

人間がくよくよするのは生き延びるための知恵

小さなことが気にかかる。ちょっとした失敗や他人からの言動に心を占領されて、くよくよ、うじうじ。そのうえ、ついマイナスな結果を想像しては不安や焦りにさいなまれる。

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たとえば、上司のひと言が気になって眠れなかったり、メールの返信がこなくて一日中もやもやしたり。そんな経験、きっと誰にでもあるはずです。

くよくしちゃいけない、もっとポジティブ思考で、もっと楽観的に生きなくては、と思いながらも、気づけばくよくよ、もやもやしてしまうことが多いのは、なぜでしょう?

私がネガティブ人間だから?「根暗」で「陰キャ」で「コミュ障」だから?

でも、くよくよするのって、実はちっとも悪いことではありません。むしろ人として当たり前の反応なのです。

人類は、長らく命の危険と隣り合わせの過酷な自然のなかで生きていました。「この草むらを進んだら、獣に襲われるかも」「昨日のように火を絶やしたら、寒さで凍えてしまうかも」そんなふうに過去の失敗をくり返し思い出したり、最悪の未来を予測して備えたりしなければ生き延びられなかったのです。

つまり、ネガティブ思考は、生存するための知恵と言えるでしょう。20万年にわたる人類の進化の歴史を受け継ぐ私たちには、くよくよしながら生き延びてきた人たちのDNAがしっかり刻み込まれているのです。

ネガティブな思考は、実は現代を生きる私たちにとっても、強みとなります。最悪な事態やトラブルを予想しておくことは、心が傷つかないための防衛策にもなります。

危機管理能力は、仕事や家事のスキルとしても役立つでしょう。周囲を繊細に観察し、小さな変化に気づく力は、人間関係においてはもちろん、暮らしのさまざまな場面でも生かされるはずです。

さらに、行動を振り返り、反省を次に生かそうとする姿勢は、成長のために欠かせない資質です。

くよくよをもたらす最大の原因は人間関係

ネガティブ思考は、人類が生き延びるために獲得してきたセンサーのようなもの。誰もが持つ“標準装備”です。

とくに、まじめな人、やさしい人ほど、くよくよセンサーがよく働く傾向にあるといえるでしょう。

もちろん、現代では「獣に襲われるかも」と毎日びくびくしながら暮らす必要はなく、日常的に命を落とすような危険にさらされることはなくなりました。けれど私たちの“くよくよ体質”は、そう簡単には変わりません。

20万年かけて身につけた習性は、急にはアップデートされないのです。こうして、現代人のネガティブ思考は、「命を守るため」ではなく、人間関係や仕事、将来の不安といった「社会的な悩み」のほうに向けられるようになりました。

「昨日の発言、あれで嫌われていないだろうか?」「今日のミスで信用をなくしてしまったかも」

本来は役立つはずの“先を見通す力”や“気づく力”が、今では私たちを苦しめ、生きづらさを感じさせるやっかいな存在にもなってしまったわけです。

とくに人間関係の悩みは、ネガティブ思考が集中しやすい領域。なぜなら私たちは、ひとりでは生きていけない社会的な動物だからです。

集団から孤立することは、いつの時代も命にかかわる重大なリスクでした。仲間はずれにされることは、サバンナに放り出されるのと同じくらい致命的だったのです。

だからこそ私たちは、「周りとうまくやっていけているか」を気にする本能を強く持っています。「嫌われていないか」「迷惑をかけていないか」「変なふうに思われていないか」と不安がよぎるのは、ある意味では当然のことと言えるでしょう。

たとえば、同僚に挨拶したのに目を合わせてもらえなかったとき。メールの文章に、何か含みがあるように感じるとき。面と向かって攻撃されたわけではなくても、くよくよセンサーはすぐに反応してしまいます。

現代社会では、物理的な危険よりも、「人からどう思われるか」が最大のストレスになりやすいのです。しかも現代の“くよくよ案件”は、こまかくて地味なことのほうが圧倒的に多いぶん、なおさら自分でも気づきにくく、対処が難しいのがやっかいな点です。

だから、くよくよ、もやもやしたときには、「これは心のセンサーがちゃんと働いているんだ」と受け止めることが第一歩。心理学の研究でも、社会的な不安は、身体的な痛みと同じ脳の領域を活性化させることがわかっています。

つまり、人間関係のなかで感じる心の痛みは、本当に“痛い”のです。

リカバーできる術を会得すれば大丈夫!

くよくよすることで、心は血を流しています。だからこそ、心の痛みは放置せず、きちんとケアすることが重要です。

「このくらい大丈夫」と我慢してはいけません。私は、これまでのカウンセリング経験からも、くよくよするということは、自分のストレスにちゃんと気づけている証拠だと感じています。

気づかずに頑張りすぎて、心が限界を超えてしまうほうがずっと怖いのです。小さなことでくよくよするのは、物事をこまやかに観察し、周囲の人の気持ちに思いをはせているからこそ。ネガティブ思考やくよくよセンサーは、武器のひとつといえるでしょう。

くよくよするのをやめる必要はまったくありません。大切なのは、くよくよを蓄積させないこと。不安やイライラをかかえ込み、我慢し続けるほど、ストレスは硬く大きな石となって心にのしかかります。

重たい岩をどかすのは容易ではありませんが、小石ならばポイッと放り投げることができますね。ストレスは「感じない人」よりも、「ためない人」のほうが強いのです。

何かあったときに、サッと気持ちを切り替えたり、軽く流せたりする力。それは才能や性格ではなく、ちょっとした考え方や行動の癖で身につけていけるものです。

ストレス発散といえば、温泉旅行やぜいたくなごちそうなどを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、私はあまりおすすめしません。大きなご褒美のために我慢を重ねるより、日常生活のなかでこまめにくよくよ、イライラを解消していくほうが、ずっと効果的なのです。

くよくよしやすい自分を責めずに、ちゃんと手を差し伸べてあげる。そんな日々を、いっしょにはじめていきましょう。

やる気が出ないときは松岡修造さんを見る!

やる気が出ないときや、気分が沈んでいるとき、元気な人を見るとかえってしんどくなる気がする……。そう思ってしまう人も少なくないかもしれません。

でも、実は元気な人や頑張っている人の姿にふれることは、気持ちを立て直すきっかけになることがあります。

オランダのユトレヒト大学のアルノー・バッカーは、音楽教師と生徒を対象にした実験で、「フロー」(物事に夢中で没頭している状態)が伝染することを立証しました。情熱的に教える教師に接すると、生徒自身もより深く音楽に取り組み、いきいきと活動する傾向が見られたのです。

この現象は、心理学で「感染効果」と呼ばれるものです。人は、目に入った誰かの活力や前向きな姿勢に影響を受け、「自分もやってみたい」という気持ちを引き出されることがあるのです。

だから、元気が出ないときは、明るく笑っている人のそばにいきましょう。やる気が出ないときは、汗水たらして全力で取り組んでいる人を見るのがおすすめです。

近くにそういう人がいないときは、松岡修造さんのようにパワフルな人の動画を見るのもアリ。きっと「よし、やってみるか!」とテンションが上がってくるはずです。

お金を稼ぐと、心の強度も上がる!

「お金のために」と割り切って頑張る多くの時間を費やす仕事だからこそ、悩みも大きくなりがちです。思うように成果が出なかったり、職場で気をつかうことが多かったりすると、働くこと自体がつらく感じられることもあるでしょう。

そんなときには「これはお金のため」とドライに割り切るのもひとつの手。収入と心の健康には関係があり、稼げていること自体が、心を守る力になるからです。

英国ロンドン大学キングス・カレッジのジェド・ボードマンは、「貧困と心の健康は、互いに影響し合う関係にある」と指摘しています。

貧困はうつや不安症状を悪化させ、心の調子が悪くなると、仕事を続けるのが難しくなって、さらなる経済的な困窮を招く。そんな負のスパイラルが起こりやすいのです。

だからこそ、「お金を稼げている」という事実は、もっと評価していいのです。自分を支える手段を持っていることは、心の土台を安定させてくれます。

理想の職場や夢中になれる仕事があれば、もちろん最高! でもそうでない時期に、無理に「やりがい」や「天職」を求めすぎるとかえって苦しいこともあります。

お金を稼げているだけですごい。お金をもらうために頑張ろう。そうやって踏ん張っていれば、少しずつでも必ず収入や成果は上がり、心も強くなっていきます。

年相応なんて気にしない!「若作り」で若々しく

「いい年して、あんな格好して」「若作りはイタい」

そんな言葉が気になって、本当は着たい服を我慢していませんか? 年齢とともに「年相応に」と言われる機会は増えますが、好きな服やヘアスタイルを楽しみ、若々しくふるまう“若作り”は、見た目だけでなく、心と体にまで前向きな影響を与えることが、心理学の研究でわかってきています。

米国ハーバード大学のエレン・ランガーは、1979年に高齢の男性たちを「20年前の世界」にタイムスリップさせるような実験を行いました。家具、音楽、テレビのニュース番組まですべて1959年当時のもので統一し、参加者には「20年前の自分になりきって過ごす」ように求めたのです。 

21週間の滞在のあと、驚くべき変化があらわれました。視力や関節の柔軟性、姿勢が改善し、計算能力や空間認識能力も向上。さらに、参加者の写真を無関係の人に見せて「この人は何歳だと思いますか」と尋ねたところ、実年齢よりもはるかに若く見られたといいます。

この壮大な実験は、「人は“何歳として扱われるか”によって心身の状態が変わる」という仮説を裏づけるものとして、世界中で大きな注目を集めました。

この考え方は、私たちの日々の装いにも通じます。心理学では「ドレス効果」と呼ばれる現象があります。これは、着る服が、その人の思考や行動に影響を与えるというもの。

たとえば、スーツを着ると「デキる人」になったような自信が生まれたり、白衣をまとうと「人にやさしくあろう」という気持ちになったりする。 こうした変化は、その服が持つイメージや役割を、私たちが無意識に自分に重ねているからだと考えられています。

つまり、若々しい服を着れば、心のなかにも「元気」「明るさ」「前向きさ」といったイメージがしみ込んでいきます。そして、服の雰囲気に、気分やふるまいまで引っ張られていくのです。「もうオバサンだから」「俺も年をとった」と思えば、外見も内面も老けます。

けれど、「自分は若い!」と思えば、そのマインドセット自体が心身にアンチエイジング効果をもたらすのです。「若い」と思うために、いちばん手っ取り早いのは、見た目を変えることです。

ファッション、メイク、ヘアスタイルを変えれば、それだけで気分がパッと若返ります。若い世代に、洋服を見つくろってもらうのもいいでしょう。

お店のスタッフに「5歳若く見えるものを選んでください」と頼んでみるのも楽しい発見がありそうです。お子さんがいるなら、子どもと服をシェアするのもおすすめ。

なかには「イタい」なんて意地悪を言う人もいるかもしれませんが、それは若々しい姿へのやっかみ。多くの人は、自分らしい装いを楽しむ姿を、憧れの目で見るはずです。

また、若々しい装いの効果で見た目年齢も若返っていけば、誰も「イタい」なんて言えなくなります。周囲の目なんて気にせず、「自分の好き」を選びましょう。年齢はただの数字です。年相応より、“自分相応”で生きるほうが、ずっと若々しくて、ずっと自由でいられます。