スバルが「レイバック」のイメチェンを図る意図

ロマンチックな景色が広がる釧路の大地で「レヴォーグ レイバック」の今を確かめた(写真:SUBARU)

スバルが「レヴォーグ レイバック」のイメージの一新を図っている。

【写真】釧路の雄大な景色の中を走る「レイバック」がカッコいい!

従来は都市型SUVとして上質さを前面に押し出していたのに対して、アウトドアとスポーツという2つの要素も積極的にアピールしていくという。

「(レイバックの)クルマとしての価値すべてを見せていく」

そんなコンセプトのもと、スバルは2025年7月に北海道は釧路で、テストドライブする機会を提供してくれた。

【写真】釧路の雄大な景色の中を走る「レイバック」

なぜ、いまレイバックに?

「より遠くまで、より快適に、より安全に」、スバルではこの3つのキーワードとともにクルマづくりを続けている。レイバックも例外でないという。

ひさしぶりに乗るレイバック、あらためてスバルのクルマづくりを知るいい機会でもある。

釧路から厚岸(あっけし)を超えて霧多布(きりたっぷ)まで、道東の海岸線を中心に、2日にわたって約400kmを走った。

それで、スバルがいうところの「安心と愉しさを支えるグランドツーリング思想」に触れられた気がした。

たんちょう釧路空港を起点に約400kmのグランドツーリングへ(写真:SUBARU)

「なぜ、いまレイバックに?」というと、冒頭で触れたとおり、スバルの商品戦略と関係がある。「コミュニケーション戦略の再定義」というのが、スバルの言。

7月から新しいイメージを強調したテレビコマーシャルが始まっている。

30代か40代前半という感じの男女が登場し、楽しそうに乗っている姿と、さまざまな道を走る様子が映る。音楽もオリジナル。雰囲気のある仕上がりだ。

「しっとりしたCMでなく、上質な情熱を持ったトーンをうたう」というのが、制作サイドのコンセプトだとか。今回の試乗会は、オンエア開始とタイミングを合わせたんだそう。

コマーシャル撮影の現場が、まさに釧路。私は、霧で幻想的な雰囲気が漂う道東の「北太平洋シーサイドライン」を走りながら、テレビコマーシャルの映像を頭のなかで思い返してしまった。

適度なカーブやアップダウンのある海岸沿いをひたすら走る(写真:SUBARU)

ひとりでのドライブだったけれど、雰囲気がロマンチックだったこともあり、スバルが作り上げようとしている、レイバックの新しい世界観が見えてきた気がした。

レイバックは、2023年10月に発売された。正式車名が「レヴォーグ レイバック」であることからもわかるとおり、基本シャシーは共用。ただし、車体のディメンションは少しずつ大きく、最低地上高はレヴォーグより55mm高い200mmが確保されていて、SUVとする向きもある。

距離を置いて眺めると車高が高められていることがよくわかる(写真:SUBARU)

SUVの定義はあいまいだ。なので“言ったもん勝ち”だが、全高1570mmであきらかにレヴォーグとの関連性を強調したレイバックは、ステーションワゴンといったほうがしっくりくる。

製品のポジションとして、「レヴォーグ」はスポーティ、新型「フォレスター」はSUV。レイバックはその中間で、上質性を持ちつつ、SUV的な要素とスポーツ性をバランスさせている、というのがスバルによる説明だ。

2024年12月に改良を実施

エンジンは1795ccの水平対向4気筒ターボ。リニアトロニックなる無段変速機(CVT)と、全輪駆動(AWD)システムの組み合わせだ。ちなみに、レヴォーグにも同じドライブトレインの仕様があるが、あちらには2.4リッターも設定されている。

最高出力130kW、最大トルク300Nmを発揮する1.8リッターターボエンジン(写真:SUBARU)

レイバックのグレードは「Limited EX」のみ。カメラを積極的に使った運転支援システム「アイサイト」も充実。さらに渋滞時ハンズオフアシスト、アクティブレーンチェンジアシスト、料金所前速度制御といった機能の「アイサイトX」も搭載されている。

さらに、発売から1年を経た2024年12月に改良が施された。

改良点のひとつは、「ドライバーモニタリングシステム」と「ドライバー異常時対応システム」の連携の強化。

長時間ステアリングホイールを無操作でいるとか、わき見や居眠りでも、「ドライバー異常時対応システム」が作動するようになったという。

また、アイサイトにも手が入った。「車両中央維持制御」と「先行車追従操舵制御」を改良。

直線路の車線中央付近を走行中は、介入操舵がしやすいように軽めの操舵感とし、急なカーブや白線付近を走行している場合は、安全性を考慮して重めの操舵感を実現したという。

厚岸湾と厚岸湖の境にかかる厚岸大橋をゆく(写真:SUBARU)

改良されたレイバックをドライブすると、静粛性が高いことと乗り心地がいいことと、そして室内が広いことを改めて実感。

エンジントルクもたっぷり感じられ、「長時間の旅行」や「動的性能と走行安定性」にすぐれるというスバルのうたい文句がよく理解できた。

ステアリングホイールのスポーク部にスイッチがついた「S/Iドライブ」を切り替えると、ドライブのキャラクターはけっこう変わる。

「I」は加速がゆるやか(燃費に配慮とも)で、「S」は高めのエンジン回転を使うようになる。かつ、操舵感が重めになる。

個人的には、「I」の加速に「S」の操舵感が好ましい組み合わせと感じられた。

「I」でも加速は十分でグランドツーリングとの相性もいい(写真:SUBARU)

車高が高めといっても、いわゆるクロスカントリー型SUVではないので、足まわりもよく動く。

サスペンションアームやダンパーの自由度が高いのが、ステーションワゴンのメリットで、レイバックでもそれが享受できた。荒れた路面でも、表面の凹凸をていねいに吸収してくれる。

ステアリングシステムは路面のインフォメーションをよく伝えてくれて、なおかつ路面の影響で意図せぬ動きをすることがない。安心感という、スバルのクルマづくりのモットーが、ちゃんと感じられる。

安心感の高いコーナリングはスバルAWDの大きな魅力(写真:SUBARU)

ひとつ気になるのは、路面によっては、ややゴツゴツする場面があること。釧路では、箱根のような屈曲路を走る機会がなかったが、おそらく気持ちよく走れるだろう。

レヴォーグ・フォレスターと悩みつつ

「おとなっぽい乗り味はどうか」という観点からだと、やや硬めか。装着されていたオールシーズンタイプのタイヤのせいだろうか。別の、サイドウォールと踏面がもうすこしソフトなタイヤも試してみたいと思った。

室内の質感が高いのも、レイバックの魅力のひとつだ。シート地やドアの内張りは、オフホワイトと濃淡グレーの組み合わせ。色づかいのセンスは、きっとおとなの審美眼にかなうだろう。

試乗車はオプションの本革シート仕様だが、標準のテキスタイル仕様もカラーは同じ(写真:SUBARU)

多くの操作は、11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイで行える。一方、オーディオやエアコンなど、走行中にひんぱんに操作したくなる機能は、物理的コントローラーが残されていて、操作しやすい。

レイバックLimited EXの価格は399万3000万円。レヴォーグ「GT-H EX」より19.8万円高で、さらにそれと同額を追加するとフォレスター「SPORT EX(ガソリン車)」が買える。

微妙な価格差ゆえ、モデル選びが悩ましいと思う人もいるだろう。でも、レイバックの扱いやすいサイズと、あたりがやわらかい乗り味は、選択として大いにアリだと思った。

<スバル レヴォーグ レイバック>

ボディサイズ:全長4770mm×全幅1820mm×全高1570mm

ホイールベース:2670mm

車重:1600kg

パワートレーン:1795ccm水平対向4気筒ターボ

最高出力/最大トルク:130kW/300Nm

変速機:リニアトロニック(マニュアルモード付き)

駆動方式:全輪駆動(AWD)

乗車定員:5名

燃費:13.6km/L(WLTCモード)

価格:399万3000円

問い合わせ:SUBARU

【写真】釧路の雄大な景色の中を走る「レイバック」