雨天時の視界不良をF1マシンとタイヤで解決できないのなら……ベテランのアロンソが“大胆”提案。ただし問題はコスト以外にも?

 2001年にF1デビューを果たして現在のアストンマーティンにたどり着くまでに、フェルナンド・アロンソは間違いなく多くの友人を作り、失ってきた。ウエットコンディションでの視界不良を解決しようとする彼の大胆なアイデア導入が認められれば、F1レースプロモーターからのクリスマスカードは届かなくなるかもしれない。

 先日のベルギーGP決勝では、レース前から降り注いだ雨によって、1時間20分の赤旗中断と4周のセーフティカー先導という安全策が採られた後、実質的なスタートが切られた。

 こうした判断に対して、何人かのドライバーはレースコントロールが保守的過ぎると不満を漏らした。ドライコンディションで行なわれた予選を前に、雨天時のパフォーマンス向上を見越して、ハイダウンフォースのセットアップに変えたドライバーは、レースが幕を開けた際には既に路面が乾き始めていたため、特にフラストレーションを溜めていた。

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 しかし今回の問題はグリップ不足というよりも、危険な高速セクションを通過するマシンやタイヤから水煙が上がり、後方車両の視界が利かないことだった。

 アロンソは、この問題はF1が2017年からワイドなマシンとタイヤを採用したことに起因すると考えている。またレースプロモーターがすぐに頷くことはないかもしれないが、水煙を減らすために異なるタイプのアスファルトでサーキットを再舗装することが解決策になり得ると語った。

「ワイドタイヤが(雨天時の)視界を悪くしたのは間違いない」

 ハンガリーGPを前にアロンソはそう語った。

「そしておそらく、サーキットのアスファルトの一部は、これまでと少し違っている。セパン(マレーシア)で水がたくさんある中でレースをしたけど、常に大丈夫だった」

「そして今の新世代アスファルトは、ドライコンディションでは非常に黒く、とてもグリップする。しかしウエットコンディションでは鏡のようだ。そして視界が良くなくなる。でも、そのとても荒い路面で何ができるのか、タイヤをどうすればいいのか分からない」

「何度も言っているように、高速道路の中には水しぶきがゼロのところもある。だから全てのサーキットでその舗装を通常ルールとして導入すれば、水しぶきはゼロになる」

Lando Norris, McLaren, Oscar Piastri, McLaren

「ドライコンディションでは、おそらくデグラデーション(性能劣化)が大きくなるだろう。分からないけど、このテーマから考え始めることはできる。僕はただのドライバーだ」

 仮に悪天候の影響を受けそうなグランプリサーキットを全て再舗装するとなると、非常に高いコストがかかる。そしてアロンソが言及している通り、このようなプロセスは予期せぬ結果をもたらす可能性がある。

アロンソの理論は通用するのか?

 多くの国では、主要幹線道路に特殊なアスファルト合材を使用し、水の飛散を抑えている。しかし、これは雨水が単に消える魔法のプロセスというわけではない。

 こうしたアスファルト舗装は、ほとんどのグランプリ会場で一般的な、高密度のグレーディング(骨材の粒度構成/分布)とは正反対。いわゆる「オープン・グレーデット・フリクション・コース(OGFC)」と呼ばれる路面は、粗い骨材が多く、細かい骨材の割合がはるかに低いため透水性が高く、側方だけでなく下方にも排水されやすいという特徴がある。

 ただ、OGFCはより高価かつ、正しく敷設されなければ耐久性に劣る可能性があるため、全てのタイプの舗装に使用されるわけではない。

 仮にF1サーカスが毎年訪れる常設サーキットのオーナーが埋蔵金を掘り当てたとしても、オープングレーディングはタイヤの寿命や性能に深刻な影響を及ぼすため、魔法の弾丸のような解決策にはならないだろう。

 タイヤは最適な作動温度領域で、表面のゴムが路面の骨材の隙間に食い込み、よりグリップを引き出す。つまり、路面の骨材が荒く隙間が増えれば、そのぶんタイヤへの負荷も増える。

 またバーレーンをはじめ、いくつかのサーキットでは、既にこうした様子が見られる。また、同地では、砂やその他のゴミが隙間に入り込み効果を低下させるという、OGFCサーキットの潜在的な問題も浮き彫りにしている。

 そのため現時点では、アロンソ以外のドライバーも考える解決策だとはいえ、興味深い思考実験の域を出ないのだ。

Lewis Hamilton, Ferrari, Carlos Sainz, Williams

「可能であれば、F1は革新し、何か異なることを試すべきだと僕は考えている」

 ハンガリーGPを前にそう語ったのはウイリアムズのカルロス・サインツJr.だ。

「直線で走った時に水しぶきが上がらない舗装もあると思うし、存在する。だけど、ほとんどのサーキットにはない」

「結局、僕らにとって最大の問題は視界だ。そのせいでレースができないんだ」

「スパは非常に特殊なケースで、このサーキットには非常に暗い過去がある。FIAは意識的に非常に保守的なアプローチを取っていて(ベルギーGPの)木曜日には僕らに警告していた」

「そのことをもっと上手く伝えるべきだったかもしれないし、ファンや世界に伝えるべきだったのかもしれない……より認識を高めるため、みんなにね」

「赤旗の後、もう少し早くレースをすることができたと思うし、セーフティカーも少し短くすることもできたはずだ」

「でも、ゴーサインを出す人の立場に立って考える必要もある。視界が利かないことで大きな事故が起こり、致命的なことに繋がるかもしれない。ゴーサインを出して、そういった事態が発生した場合、結局は彼らの責任になる」

「レーシングドライバーとしては、もう少し早くレースをすることができればよかったと思うけど、彼らが採った保守的なアプローチも理解できる」

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