真夏の大阪万博、警備犬の足元が「微笑ましい」と話題だが… 「この暑さは虐待」の声も
10月13日まで開催される大阪・関西万博。暑さがピークを過ぎたら行ってみよう…と、計画している人も少なくないだろう。
そんな中、X上では万博会場をパトロールする警備犬の姿に、賛否の声が上がっているのをご存知だろうか。
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■万博で見かけた警備犬、その足元は…

大阪万博の警備犬
(画像提供:筋肉は正義byタさん)ことの発端は8月15日、「日経関西」のXアカウントが投稿した万博に関する1件のポスト。
「大阪万博会場を大阪府警の警察犬がパトロールしています。足元をよく見ると、靴を履いていました。夏の炎天下で熱くなった地面から足を守るためです」と綴られた投稿には、「大阪府警」と書かれたハーネスを着用し、4本の足に靴を装着して会場をパトロールする警察犬の写真が添えられていた。
そして、こちらの写真が文字通り「賛否」を呼び起こす結果となったのだ。
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■「靴を履いてかわいい」「暑くてかわいそう」と賛否
「犬が靴を履いている」という光景に対し、「靴を履けるなんてお利口さんですね」「暑い中、パトロールしてくれてありがとう!」「靴履いてるの、かわいすぎる」「足元を守ってくださって、ありがとうございます」など、感謝と称賛の声が上がっている。
しかしその一方で、「この暑さの中、パトロールさせるのは虐待では?」「犬は地面に近いから、人間より照り返しが辛いんですよね…」「靴を履けば大丈夫なんて、浅知恵すぎる」「人間だけでパトロールしてほしい」といった否定的な意見も多数確認できた。
結果として「賛否両論」と呼ぶべき状態ではあるが、見た限りでは「否」寄りの意見の方が多い印象を受ける。
そこで、万博会場にて警備犬を目撃した人々に、現地での印象を聞いてみることに。
Xユーザー・コマンドZばっかりさんは「警察犬(警備犬)を近くで見たのは初めてで、真後ろを歩きながら観察していました。靴を履いても嫌がらず凛々しく歩いていて、とても美しかったです。よく訓練されているなと感心しました」と、振り返る。
Xユーザー・筋肉は正義byタさんは「見ると暑さ対策で靴を履いており、珍しいし、かわいいし、犬のことを考えて暑さ対策しているんだな、と感心しました。この日はお盆真っ只中で、人も多く湿度・気温共に高く、とても暑かったです。犬も舌を出していたので、暑かったのだと思います」と、語ってくれた。
そこで今回は、ネット上で賛否を呼んだ警備犬の「暑さ対策」をめぐり、大阪府警察に詳しい話を聞いてみることに。すると、ネットニュースの写真には写らない、新たな事実が多数明らかになったのだ。
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■大阪府警は「テロ対策に活躍」と説明
混同している人も多いと思うが、警察犬と警備犬は全くの別物である。
両者共に「都道府県警に所属する」という共通点を持つが、警察犬が所属するのは刑事部で、優れた嗅覚を活かして犯人を追跡し、捜査活動を支援するのが任務。
一方、警備犬が所属するのは警備部で、警備現場での「爆発物の捜索」や「犯人の制圧」「災害救助」などが主な任務となる。そのため、万博の会場にいる犬たちは警察に所属はしているが、正確には「警備犬」なのだ。

大阪万博の警備犬
(画像提供:コマンドZばっかりさん)今回の取材に対応してくれたのは、そんな警備犬たちが所属する大阪府警 警備部警備第2課の担当捜査官。
猛暑の中でも犬たちがパトロールを行なっている理由については、「万博の開幕時より、警備犬によるパトロールを実施しています。これは会場内のテロ対策として『見せる警戒』という意味合いもあります。会場内には常時、複数頭の警備犬がパトロールをしています」との回答が得られた。
大勢の人々が集まるこうした場所では、人間では気づけない「匂い」に敏感な犬たちの嗅覚が、テロ防止に活躍するのだ。
靴を着用させた経緯については、「地面が暑くなってきた7月くらいから、着用を開始しました。警察犬の訓練、育成、および現場での運用を行う警察官・ハンドラーの判断で、着脱させています」と、説明している。
犬たちにとって最も身近で、頼れるパートナーであるハンドラーならば、そうしたタイミングを決して見落とさないだろう。
大阪府警ではもちろんその他にも暑さ対策を施しており、担当捜査官は「ドッグトレーナーと連携し、犬の健康状態を日々ケアしています。例えば、当日には必ずハンドラーが警備犬の体調の変化を慎重に確認します」と、前置き。
続けて、「保冷剤を入れられる犬用の冷却ベストを着用させたり、小まめに水分補給させたり、むやみに直射日光の元でパトロールをさせず、日陰の部分を移動させたりしています」と、現場の状況を説明してくれた。
もちろん、これらは各警備犬や現地のコンディション、およびハンドラーの判断によって行われるものなので、万博会場に行けば「必ず見られる」という類のものではないことを、明記しておきたい。
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■プロに「犬が暑さに弱い」理由を聞いた
さらに今回は、夏季における犬の暑さ対策の重要性について、公益社団法人「日本動物病院協会」(JAHA)にも取材を行なっている。
JAHA理事にして獣医師の吉田尚子氏は、犬が暑さに弱い原因について「人間と違って目に見える汗をほとんどかかない他、毛皮を纏っているのが主な理由です」と、説明。
また、犬は人間よりも遥かに体高が低いため、コンクリートや地面が太陽光を反射する「照り返し」の影響をモロに受けてしまうのだ。
この影響力はわずか数cm単位で異なり、例えば同じ犬でも、大型犬より顔や体が地面に近くなる中型犬の方が、そして中型犬より小型犬の方が、より厳しい暑さに晒されることになる。
では「犬が靴を履く」という行為は、暑さ対策には有効なのだろうか。
まず、犬の足裏にある肉球の役割について、吉田氏は「犬が歩いたり走ったりする際、衝撃を和らげるクッションのような役割を果たします。特に、警察犬や警備犬のように訓練をしている犬たちの肉球は硬くなっているケースが多く、衝撃には強いと思われます」と、説明。

犬の肉球
(Photo:秋山はじめ/Sirabee編集部)肉球は、それ自体が犬にとっての「靴」としての役割を担っているのだ。そんな肉球は確かに衝撃には強いものの、熱にはめっぽう弱いという。
そのため「靴を履く」という対策は理にかなっており、吉田氏は大阪府警の警備犬の足元を見て「しっかり固定できるタイプの靴を履いているように思えます」と、頷いてみせる。
その他の暑さ対策としては、保冷剤を使用するのも有効。

保冷剤ネックバンド
(Photo:秋山はじめ/Sirabee編集部)その際の注意点として、吉田氏は「保冷剤が直接肌に当たらないようにして、太い静脈がある首周りを冷やしてあげると効果的です」と説明している。

犬の暑さ対策
(Photo:秋山はじめ/Sirabee編集部)また、冷感効果のあるメッシュ素材のTシャツ着用なども、効果があるそうだ。
これは靴にも言えることだが、犬は本来は服も靴も着用しない生き物。そのため、普段から慣れさせておかないと、着用それ自体が大きなストレスとなる可能性がある。

犬の暑さ対策
(Photo:秋山はじめ/Sirabee編集部)愛犬の暑さ対策グッズを揃えた際は、まず室内で着用の練習を行ない、その後で本番(屋外)に挑むよう心がけたい。
【物議を醸した写真のポスト】

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最終情報確認日:2025/09/03

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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。元保護犬のカニンヘンダックスフンドと一緒に暮らしており、犬に関する取材記事も多数執筆。
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