プロ直伝!我が家の「オプション」選び7つのコツ 快適さとコスパの両立で後悔しない家づくりを

天窓などに憧れる人は多いものですが、オプション選びはよく考えてからがよさそうです(写真:foly / PIXTA)

物価の上昇が続いている。生活に欠かせない食料品といった日用品から電気・ガスなどのエネルギーコストに至るまでさまざまな「モノ」の値段が上がり続けており、私たちの暮らしにも影響を及ぼしつつある。

【画像】屋根裏の点検で見つかった不具合とは・・・?

家を建てるコスト、「住宅建設費」も例外ではない。国交省が公表する建設工事の費用の変動を示す指標建設工事費デフレーター(住宅総合)を見ると、その費用は右肩上がりに増加を続けている。2023年度には基準となる2015年度と比較して2割以上の上昇率となっているのだ。

建設工事費デフレターのグラフ

コロナ期のウッドショックに端を発する建築資材の高騰が起こり、木材価格などが上昇。さらに建設業界の深刻な人材不足も建築コストを押し上げる要因の一つとなっている。

2024年4月からは、労働者の待遇改善やワークライフバランスの向上を目的とした「働き方改革関連法」が建設業界にも適用され、従来の長時間労働を見直す動きも広まってきた。これまで以上に人材確保が難しくなり、人材コストが上がると考えられている。

家づくりに関わるコストが上昇する中、費用対効果の高い「満足できるマイホーム」に近づけるうえで、カギとなるのが「オプション仕様選び」だ。

仕様の選び方一つで、住み心地はもちろん、予算面も大きく左右される。選んだオプション仕様によっては快適な暮らしを手に入れるどころか、維持費などかえって負担が生じるケースも考えられるからだ。

そこで今回は、家づくりにおいて重要となる「7つのオプション仕様」について、知っておくべきポイントを紹介する。費用対効果を意識し、コスパよく理想の住まいを実現するためのヒントを中心にお伝えしていきたい。

選び方で暮らしが変わる!7つのチェックポイント

【①天窓】実は雨漏りリスクなど注意すべき点も

天井から光が降り注ぐ開放的な空間に憧れ、設置を検討する方も多いのが天窓だろう。ただし設置する際には平らな屋根をくり抜くため隙間ができやすく、その部分から雨漏りが起こるケースが想定される。

屋根そのものが雨を防ぐ役割を担うため、そこに窓をつけること自体が雨漏りのリスクを高めてしまうのだ。

雨漏り対策として窓枠に防水加工を施しても、経年劣化で効果は薄れていくため定期的なメンテナンスが必要だ。とはいうものの、高所での点検には危険が伴い、業者に依頼すると費用負担も発生する。

もちろん採光や通風など、天窓が有効活用できるシーンは少なくない。しかし万が一、雨漏りが発生したら修繕費用も高額になることを認識したうえでの導入をおすすめしたい。

【②屋根裏収納、小屋裏収納】メリットと隠れた落とし穴

「屋根裏」や「小屋裏」などと呼ばれるのが、天井の上・屋根の下にあるスペース。

屋根裏は子どものころに夢見た秘密基地のようなイメージを抱かせる。季節物の家電や衣類、子どものおもちゃなど、普段使わないものを収納するのに有効だと考える方もいるだろう。

収納面でのメリットが大きい屋根裏収納だが、増設には当然ながら費用がかかる。加えて外気温の影響を受けやすく、夏場は非常に高温になるなど保管するアイテムが限られる点にも注意が必要だ。

屋根裏へのアクセスには折りたたみ式の階段等を用いなければならず、頻繁に出し入れするものの収納には適さない。

屋根裏は住宅の構造や雨漏りの点検において重要な役割を果たす箇所でもあるが、収納スペースをつくることでこうした点検を行うことが難しくなってくる点には注意しなければならない。

収納スペースを作っていると、屋根裏の点検が難しくなる(出所:YouTube「 ホームインスペクションならさくら事務所!」 )

屋根裏の点検で見つかった断熱材の不具合例(出所:YouTube「 ホームインスペクションならさくら事務所!」 )

屋根裏の点検で見つかった金具の不具合例(出所:YouTube「 ホームインスペクションならさくら事務所!」 )

【③細かな造作・作り込み】こだわり過ぎると住みにくくなる?

間取りや内装、設備など、細部にわたって自分の理想を追求できるのは、注文住宅の魅力のひとつ。マイホームを建てるにあたって、自分たち仕様にカスタマイズしたいと考えるのは自然なことだ。

一方で、ライフスタイルは時間の経過とともに変化する。子どもの成長をはじめ、家族構成の変化によって必要な部屋数や間取りが変わってくるケースは少なくない。

細かく作り込んだ間取りは、将来的なライフスタイルの変化に対応しにくく、かえって使い勝手が悪くなってしまうこともありうる。

理想の住まいを追求して作った注文住宅も、5年、10年……と時間の経過に伴い、暮らす人にとって「ベストな状態」ではなくなっているケースも出てくるのだ。

また、将来家を売却する際にも、特殊な間取りやこだわりの造作が買い手にとって「使いづらい」と感じられる可能性もある。

"憧れのキッチン"もよく考えて

【④L型・コの字型キッチン】スタイリッシュさと使い勝手のバランス

標準的なI型キッチンよりも広々とした作業スペース、作業動線のよさなどから憧れる方も少なくないL型・コの字型のキッチン。

L型やコの字型キッチンは収納力も増やせるなどメリットも大きいが、キッチンスペースを広く確保しなければならず、I型キッチンと比較して設置コストは高額になる。

また奥行きがあるため、奥にしまったものが取り出しにくく、デッドスペースにならざるをえない部分など、デメリットも少なくない。

また、キッチンは15~25年程度で交換が必要になることが多い設備だけに、将来的なリフォームを見越しておかなければならない。

L型やコの字型キッチンの場合、リフォームに際しても標準的なI型より負担が大きくなってしまう。よほど強いこだわりがない限り、標準的なI型キッチンのほうが「コスパ」に優れた選択肢といえるだろう。

【⑤各階の洗面化粧台設置】そもそもどのくらい使う?ライフスタイルと使用頻度で考えよう

住宅の各階に洗面化粧台を設置すると、掃除など家事効率も向上したり、身支度もスムーズになったりとのさまざまな利点が期待できる。そうしたことから、2階、3階建ての家を建てる際に、2階以上に洗面化粧台を設置するケースも見られる。

しかしインスペクションで住宅を拝見した際、「2階に洗面台があれば便利だと思ったけれど、思った以上に使わなかった」という声を耳にする機会も多い。

だが水回りの設備機器は、使わずに放置していても劣化や水漏れ、カビ発生のリスクが生じる。中でも使用頻度が低い洗面台の引き出し内は湿気がこもり、カビの温床にもなりかねない。

設置費用や人件費を含めそれなりのコストも発生する洗面化粧台。使わない場合を考えると、無理して設置するのは費用対効果の面から見ても疑問が残る。各階に洗面化粧台を設置する場合は、本当に必要かどうか、よくよく考えてからが望ましい。

【⑥床暖房】ランニングコストやメンテナンス費用も要確認

床暖房は足元からポカポカと暖かく、部屋全体を暖めることができる快適な暖房設備だ。火を使わないため安全性も高く、小さなお子さんやペットがいる家庭でも安心して使えるメリットは大きい。

ただし、床暖房は断熱性能の高い住宅でこそ、効果を最大限に発揮できる設備である。住宅全体の断熱性能が保たれていない場合、床暖房でせっかく温めた熱が外に逃げてしまい、効率的に部屋を暖められない。

また、フローリング下に設置されているため、故障した場合は床ごと剝がして大がかりな工事のもと、修理・交換を行わねばならない。費用や手間がかかるのも難点といえるだろう。

【⑦ルーフバルコニー】知っておきたいメンテナンスの重要性

花火を眺めたり、ガーデニングを楽しんだりと、周囲からの視線を気にせず、プライベートな時間を過ごせるルーフバルコニー。こちらも憧れの仕様ではあるが、メンテナンス費用が高額になる可能性がある。

屋外にあるため雨風や紫外線にさらされやすく、防水面での補修や塗装、床材の交換など、維持費用がかさむ可能性も高い。メンテナンスをしかるべきタイミングで継続実施しなければ、雨漏りのリスクが高まる。

さらに屋根の一部をバルコニーにするため、屋根裏の空間が狭くなってしまい、点検しにくくなるというデメリットも生じる。屋根の劣化や雨漏りの発生に気づくのが遅れ、被害が広がらないように気を配ることもポイントとなる。

長期的な視点を持って設備、仕様を選ぼう

マイホームには、誰しもが夢を抱く。より住みよい家にできるようこだわりを持つのは当たり前のことだ。

しかしながら、理想を追求するあまり、維持費や修繕費の問題、将来的なライフスタイルの変化などを見落としてしまうと、後々悔やむことになりかねない。

今回の内容を参考に、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで、本当に必要な設備や仕様を選ぶことが賢い家づくりへの近道となるはずだ。