米国に広がる人種差別陰謀論「グレート・リプレイスメント(大置換)」とは?
ヘイトクライム件数が増加する米国

昨年FBIが行った報告によれば、米国における2023年のヘイトクライムは歴史的水準にまで増加したという。こうした増加の原因として、ある世界的な潮流が指摘されている。
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背景には陰謀論「グレート・リプレイスメント(大置換)」?

また、米国で人種差別的な犯罪が増加した背景にはいわゆる「グレート・リプレイスメント(大置換)」という陰謀論の影響があるのではないかと指摘する専門家もいる。
乱射事件の容疑者も同様の主張を行っていた

たとえば、2022年にニューヨーク州バッファローで発生し10人以上が死傷した乱射事件で、逮捕されたペイトン・ジェンドロン容疑者はこの陰謀論を信じていた可能性が示唆されている。ジェンドロン容疑者は声明の中で、白人の出生率が低下しているのは事実上のジェノサイドであると宣言していた。
「グレート・リプレイスメント」とは?

そもそも、「グレート・リプレイスメント」とはどのような説なのだろうか。簡単に言ってしまうと、西側諸国で有色人種が増えているのは意図的なもので、白人有権者を「置き換えて(リプレイス)」政治的実権を奪取しようとしている、という陰謀論だ。
白人至上主義者らの間で流布

米国移民フォーラムによると、この陰謀論は白人至上主義者や反移民グループのあいだで広く信じられているのだという。
白人が絶滅の危機にあると主張

米国公共ラジオ放送NPRによると、多くの白人至上主義者らが、非白人移民が増加すると「白人種の絶滅につながる」と考えているのだという。だからこそ米国は移民の受け入れを止めるべきだ、というのがそういった過激派の思考回路だ。
「有色人種が脅威とみなされている」

NPRはウィンスロップ大学で政治学やアフリカン・アメリカン研究に携わるアドルフ・ベルク・ジュニア教授に取材している。ベルク・ジュニア教授によると、このような陰謀論が広まるのは「有色人種が政治的・経済的領域における脅威とみなされた」場合だという。
マジョリティでいられなくなることを恐れる

ベルク教授いわく、白人至上主義者たちはマジョリティでいられなくなることを恐れており、その結果有色人種を自分たちだけでなく国そのものへの脅威だと考えるのだという。NPRが伝えている。
20世紀初頭のフランスに起源がある

米国移民フォーラムによると、この理論はそもそも、20世紀初頭にフランスで出版された一連の国粋主義的な本に起源があるのだという。
ルノー・カミュ

だが、現在広まっている形の陰謀論を形成したのは2011年に『Le Grand Remplacement(大置換)』という本を書いたフランスの作家、ルノー・カミュとされる。
欧州は「逆植民地化」されている?

その本でカミュは、欧州の白人は「有色人種の移民に逆植民地化されており、いまや欧州は有色人種であふれかえり、もはや白人は絶滅の危機にある」と主張している。
小説に影響を受ける

この本を書くにあたって、カミュはフランスの作家ジャン・ラスパイユが1973年に書いた小説『聖人収容所(The Camp of the Saints)』に影響を受けている。この小説では、移民が協力してフランスを乗っ取るというストーリーが描かれている。
ユダヤ人コミュニティも攻撃する白人至上主義者

また、米国内の反ユダヤ主義活動防止を目的とする団体、「名誉毀損同盟(ADL)」によると、多くの白人至上主義者が米国内のユダヤ人コミュニティのことも敵対視しているのだという。
反ユダヤ主義とも合流

ADLによると、白人至上主義者らはユダヤ人コミュニティのことを非白人移民を呼び寄せているとして非難しているのだという。つまり、この陰謀論は反ユダヤ主義ともつながっていることになる。
白人至上主義者のスローガン「14 Words」

このような白人至上主義者たちの発想を理解するためには、そのサークル内で流布しているスローガン「14 Words」を知る必要がある。そのスローガンとは次のようなものだ:「我々の存在を、そして白人の子供たちの未来を、確かなものに」(原文:We must secure the existence of our people and a future for White children)
デイヴィッド・レーン

米非営利団体、南部貧困法律センターによると、このスローガンを策定したのは、白人至上主義者グループ「ジ・オーダー」を組織したデイヴィッド・レーンという人物だという。
増加するヘイトクライム

こういった陰謀論の普及もあってか、米国でのヘイトクライムは目に見えて増加している。2021年時点で、FBIは米国内でのヘイトクライムが過去12年間で最高となったと報告している。主に増加したのはアジア系やアフリカ系の住民への襲撃だ。
「この国の理念に真っ向から背く」

先述した2022年の発砲事件について、バイデン大統領(当時)はこうコメントしている:「人種的動機に基づいたヘイトクライムは忌むべきであり、この国の理念に真っ向から背くものだ」
「米国におけるあらゆる倫理に悖る」

バイデン大統領はこう続けている:「唾棄すべき白人至上主義的なイデオロギーに基づいて行われた犯罪を含め、国内で発生したテロ行為は、米国においてわれわれが依って立つあらゆる倫理に悖る。ヘイトには安住の地はない。われわれは、あらゆる力を尽くしてヘイトに突き動かされた内国テロ行為を終わらせる必要がある」
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