小寺慶子のレストラン予報|築地〈芳尾〉

September 10, 2025 | RESTAURANT FORECAST | photo_Kenya Abe text_Keiko Kodera

イマドキの潮流とは逆を行く!? 若き鮨職人にエールを送るでしょう。

上から時計回りに、あん肝、蛤の低温仕上げ、ニシン(写真の料理は22,000円のおまかせの一例)。

平目の昆布締め、鮪、穴子。握りのみのコースも用意している。

年齢がいくつであろうと、頑張っている人を見たら、応援したくなるのが人間の心。努力の方向性は人それぞれでも、私利私欲に走らず自分が目指す道をひたむきに突き進む職人は料理業界に数いるが、なかでも期待のホープが築地〈芳尾〉の店主、芳尾信治さんだ。

若く “意気” の良い職人を輩出している〈築地寿司清〉で7年働き、鮨好きには広く知られた御成門〈冨所〉で技を磨いた。腰高で存在感のある大きめの握りは親方譲り。一品料理を含むおまかせもベテランに引けを取らない完成度だが、鮨バブルと言われるご時世にあって、握りのみを堪能できるコースをランチ時は10,000円で供する心意気に頭が下がる。赤酢2種をブレンドしたシャリは岡山県の朝日米を使用しており、心をコメて握る1貫にいっさいのけれん味はなく、直球の美味で勝負する。

現在はワンオペだが、お客が食べるスピードにテンポを合わせる姿に大器の予感。同時スタートや回転制などの “システム” を取り払い奮闘する、若き職人の挑戦を見守りたい。

オープンは7月15日。カウンター7席のみのシンプルな空間に清々しい空気が流れる。空席とネタがあれば、ふらりと立ち寄って握り数貫でも大歓迎という懐の深さも鮨好きには嬉しい限り。

[予算]1人11,000円から

昨今の鮨店としてはつまみが含まれるおまかせもお値打ちだがランチの握りコースは10,000円!

[予約] 当日も可

現状、数か月先の予約まで受け付けることは考えていないそう。空席次第で当日でも鮨、食いねぇ!

[ドレスコード] カジュアル

修業先の常連客やご近所さんが散歩途中に寄ることも。写真撮影はほどほどに出来たて、握りたてを。

〈芳尾〉

東京都中央区築地2-8-2 TEL 03 6278 8077。12時~、17時〜、最終入店は20時。不定休。

小寺慶子 こでらけいこ 肉を糧に生きる肉食系ライター。趣味は肉旅(ミートリップ)と酒場で食べ物回文を考えること。「ん!? 数の子の図鑑?」(世にもめずらしい)