近しい他人の間柄(?) 新横浜駅〜横浜駅の直通アクセス事情が極端すぎて笑うしかない……だと!?

駅名が「新○○」な新幹線駅と、「○○」の部分の元になった名称を持つ在来線駅。お隣同士のような駅名が付いているだけに、2駅間を繋ぐ直通タイプの交通機関が用意されていそうなイメージを持つが……今回は新横浜駅〜横浜駅間における直通交通の現状をリサーチ!
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、新横浜駅〜横浜駅直通交通の写真があります)
【画像ギャラリー】新横浜駅〜横浜駅直通交通と「浜1系統」(14枚)
■新横浜駅と横浜駅

巨大な駅ビルがそびえる新横浜駅
今回のテーマは、神奈川県横浜市にある東海道新幹線の新横浜駅と、同市の中心地に位置している横浜駅の直通アクセス事情だ。
新横浜駅は、横浜中心地への連絡を兼ねた停車駅として計画が始まり、1959年に既存の国鉄線である、横浜線の小机〜菊名間が駅の所在地に決定。新幹線の線路が横浜線の線路の上をクロスする地点に、新横浜駅が作られることになった。
この地点が新横浜駅建設地に指定されたのは、横浜駅に新幹線の駅を作るスペースが既になかったことや、線路をより直線的に敷けること、1964年の東京オリンピックに完成を間に合わせるための工期の都合、などがあったと言われる。
同地点で新幹線から横浜線に乗り換え、中心地の横浜まで容易に移動できるよう、横浜線の駅もこの時に併せて建設された。

横浜中心地の公共の足を支える横浜駅
東海道新幹線/横浜線の新横浜駅ともに、新幹線の東京〜新大阪間の営業運転開始と同じ日の、1964年10月1日に開業した。
新横浜駅は、東京や遠方から新幹線で来た際、横浜の中心地までを繋ぐための橋渡し役を務めるよう期待されていた。そんな役割から、全国的に伝わりやすい「横浜」の地名は外せなかったのかもしれない。
とはいえ、直線距離で約5km離れた、従来の横浜駅と直接の関係を持っているわけではないようで、駅名のほか共通点を挙げるなら、2駅とも所在地が横浜市内、くらいに思える。
■新幹線が作った横浜の町
今日の新横浜駅(特に北口)周辺は、新幹線の乗り換え客を始め、駅から徒歩圏内にオフィス街やテーマパーク、スタジアム、アリーナ等が点在する大きな街だ。
しかし、新横浜駅が作られる前の同地は、一面に田んぼが広がる“なにもない”場所であり、駅を作ってから街を広げた経緯を持つ。

新横浜駅は横浜市を代表する旅の拠点
1975年に駅前周辺の地名が「新横浜」に変わっており、その由来は駅名から。言うなればこの地域、新幹線が作った横浜の街、というわけだ。
ちなみに新横浜駅の新幹線と横浜線のホームが建っている所在地は、新横浜ではなく篠原町なので、ちょっとややこしい。
■充実した直通アクセス
その後横浜市営地下鉄の延伸や、相鉄線・東急線の新駅ができたりと、新横浜は交通の要衝としても飛躍的に発展した。

今や全ての列車が停まる東海道新幹線主要駅の一つ
新幹線駅開業から61年経った2025年現在、果たして新横浜駅は依然、横浜への連絡口として機能していて、直通タイプの移動手段がしっかり用意されているのだろうか。
電車関連の動向を見ると、JR化後は新幹線駅がJR東海、横浜線の駅がJR東日本の持ち物になり、同じ場所にありながら、新幹線と在来線とで所有会社が異なるタイプの駅になっている。

新幹線ホームの下に横浜線が通っている
まずは旧来からの横浜線を使うパターンであるが、こちらは今も新横浜〜横浜間の主要アクセス手段だ。
横浜駅まで直通する横浜線の列車が10分おきくらいに出ており、快速12分・各停13分ほどで行けるため、2駅間の移動には苦労しないはず。
横浜線のほか、地下1・2階にある横浜市営地下鉄の新横浜駅も、横浜駅まで直通しており、所要時間12分で結んでいる。こちらも本数は10分おきくらいだ。
■物凄く極端な路線バス事情
続いて、電車以外の公共交通機関はどうなっているか。タクシーはもとより、路線バスの存在が気になるところ。
電車ならルートを選べる上、10分おきに出ている潤沢さなのだから、新横浜駅〜横浜駅を結ぶ路線バスも多数用意されているのでは? と期待したくなる。

新横浜駅前のバスターミナル
新横浜駅前にはバスターミナルがあり、高速バス、空港連絡バス、一般路線バスと、それなりの数が発着している。
そんな中、新横浜駅〜横浜駅直通バスの実態にクローズアップしてみると……!? なんと、1路線のみだ。
■新横随一のレア路線
たった1つしかない直通バス……相鉄バスが運行する「浜1系統」がそれだ。このバスは新横浜駅〜横浜駅西口を結ぶ一般路線となっている。

相鉄バス「浜1系統」。大型路線車で運行されている
新横浜駅前バスターミナルには、東急バス、横浜市営バス、臨港バスの路線系統が、それぞれ複数乗り入れている。
それに対して相鉄バスは「浜1系統」だけしか出入りしていないため、新横ではローンウルフなバス会社として希少な存在だ。
しかし、例え直通バスが1路線しかなくても、本数がたくさんあれば電車と同様“潤沢”と言って良い。

新横浜駅前で見た堂々たるローカルバスの風格
では「浜1系統」のダイヤがどうなっているか蓋を開けてみると、1日6本! 2〜3時間おきに1本来る、紛うことなき都会のローカル線だ。
■間を取り持つ生活路線
そんな浜1系統、どんなバスなのか。様子を見に行った当日、新横浜駅での乗車時に終点まで行きたい旨を運転手さんに伝えたところ、「は?」と返されてしまったのを踏まえると、全区間利用する人はあまりいないのかも。

新横浜駅〜横浜駅を直通する唯一無二の存在
新横浜駅を出発すると、一旦横浜とは逆方向に進む形で、横浜線の新横浜駅隣にある小机駅に立ち寄る。
その後は住宅地の続く、やや狭めな道を巧みに通り抜けていき、鉄道が通っていないエリアを経由しながら横浜方面へと南下していくルートだ。

やや遠回りしながら2駅間を繋ぐ
新横浜駅出発時点で10名ほどお客さんが乗っていたが、その後乗り降りを繰り返すうちに少しずつ増えていき、5.5km進んだ「西菅田団地」バス停に着く頃には立席が出始めた。

わざわざバスで? それがイイ
最終的には立席でもちょっと厳しいほど乗車があり、浜1系統はどちらかといえば新横浜〜横浜への直通移動のためではなく、途中に通る鉄道のない住宅地と主要駅とのアクセスを主軸に置いた、生活路線の様相が強めな印象を持った。
■距離と時間に圧倒
JR線の7.9km、市営地下鉄の7kmに対して、浜1系統は大回りする関係で12.2kmにまで延び、都会のバスとしては割と長い距離を走る。

住宅街をスイスイ通り抜ける
それもあって、電車を使うと12〜3分で行ける新横浜〜横浜間であるが、浜1系統を使った場合の所要時間は55分と、他種交通と比較してはいけない路線バスならではのボリューム。
横浜市内で一般的な、前乗り・中降りの運賃前払い制は浜1系統も同様で、最後まで乗っても均一料金の240円だ。
240円というプライスは、交通系ICカード利用時の横浜線の178円より高く、市営地下鉄の242円よりも安い。

横浜市内を1時間ほどかけて路線バスドライブ
ともあれ電車の充実感に比べて、直通路線バスが極端なまでにレアだったとは、意外の先に待っていた意外である。