旬を過ぎたサンマをおいしく食す「甘露煮」の極意

骨ごと食べられる甘露煮(甘辛煮)はサンマ料理の定番の1つ(写真:筆者撮影)

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。
前回(今年は豊漁で形も良好! 秋の味覚の代名詞「サンマの塩焼き」をフライパンでジューシーに仕上げる極意)は、今年豊漁になっているサンマをフライパンでおいしく仕上げる「塩焼き」をご紹介しました。今回は、サンマ料理のもう1つの定番「甘露煮」です。

シーズン後半は「塩焼き」より「甘露煮」

甘露煮は魚の骨ごと食べられるように調理しますが、向いている魚と向いていない魚があります。例えば、タイやタラなどの魚の骨は硬いので、長時間煮ても柔らかくなりませんが、コイやサケなどは軟化しやすいことが知られています。サンマも柔らかく煮やすい魚の1つです。

【写真あり】見極めが難しい「甘露煮」の煮込み具合、目安はどんなタイミング?

サンマ漁は北海道から始まり、徐々に南下していくので、シーズンが終わりに近づくと徐々に身から脂が抜けていきます。脂が抜けるのは残念に聞こえるかもしれませんが、そういったサンマこそ味が濃くなり、甘露煮には最適なのです。

サンマの臭いが気になる場合は、湯に通してから煮るといいでしょう(写真:筆者撮影)

サンマの甘露煮

材料

サンマ   2尾

米酢    50ml

酒     50ml

水     200ml

しょうゆ  大さじ2

砂糖    大さじ2

ショウガ  適量

骨を柔らかく煮るために必要な材料が「酢」です。骨は長時間加熱するとコラーゲンが溶け出し、もろくなります。コラーゲンをゼラチン化するには、酸性の液体で煮るのが有効。そのため、昔から酢を使って煮ることが行われてきました。

きれいな形で煮込むための下準備

まずはサンマの下処理です。包丁を尾から頭に向かってなでるようにして、ウロコと汚れを落とします。その後、水洗いしましょう。

頭と尾を落とし、骨ごとぶつ切りにしていきます。内臓をつけたまま煮ていきますが、苦手な方は割りばしなどで取り除きましょう。

サンマの骨は細いので、包丁で切りやすいでしょう(写真:筆者撮影)

このとき、お腹を開いてしまうときれいな形に煮えないので、注意が必要です。鍋にサンマを並べ、適当な厚さに切ったショウガ、調味料を加えていきます。

ここで山椒を入れると「有馬煮」というシャレた料理になります(写真:筆者撮影)

中火にかけます。サンマからも水分が出るので、あまり水を多くしないのがコツ。沸いたら落としブタをして、1時間弱火で煮込んでいきます。

火加減によっては水分が早くなくなってしまい、焦げつくリスクがあるので、30〜40分ぐらい経ったら一度様子を確認してください。水が少ないようであれば、水を足しましょう。

鍋を傾けて煮汁が少しトロリとした頃合いが目安です(写真:筆者撮影)

サンプルにアジを使い、加熱処理によって骨がどれくらい柔らかくなるかを確かめた報告によると、魚の骨は30分で一気に柔らかくなり、その後、60分にかけて軟化が進みます。それ以上になるとあまり柔らかくならないので、煮込み時間は60分が最適ということになります。

煮汁が少なくなったら出来上がりです。

冷蔵庫で1週間も保存可能

ショウガを千切りにして加えるのもいいでしょう(写真:筆者撮影)

炊きたてのご飯に合いますが、お茶漬けにしても美味。適切に冷やせば、冷蔵庫で1週間は保存できるのも魅力です。

今年はサンマが多く流通しているせいか、スーパーで売れ残り、安く売られている光景もよく見かけます。この料理は、そういった鮮度の落ちたサンマもおいしく食べられるので、ぜひ作ってみてください。