eSIMオンリーの新iPhoneが登場! MVNOの格安SIMでeSIMはどうなっている?
eSIMのみに対応する新型iPhoneの登場のせいか、これまで以上にeSIMへの注目が集まっている。そこで本記事では、特にMVNOの格安SIMでeSIMを使う場合はどうすればいいのか、そして注意することは何なのかをまとめた。

iPhone間(一部のAndroidスマホ間でも可能)でユーザーの操作でeSIMを移動できる「eSIMクイック転送」はMVNOの格安SIMでは原則対応していない
MVNOはeSIMクイック転送に原則対応しないので
SIMの入れ替えごとに通信事業者への手続きが必要となる
大前提として、MVNOの格安SIMの場合では、ユーザーにeSIMを提供していても、iPhone間でユーザーの操作でeSIMを転送できる(その際に物理SIM→eSIMの変換も可能)便利な機能、「eSIMクイック転送」には現時点で対応していない。IIJmioやmineoのような大手でも同様で、通常のeSIMの発行手続きをして、iPhoneにeSIMを導入する必要がある。
とは言え、格安SIMといってもさまざまある。大手キャリア(MNO)のサブブランドであるUQ mobile/Y!mobile、オンライン専用プランのahamo/LINEMO/povoはいずれもeSIMクイック転送に対応している。また、MVNOではあるがKDDI傘下のBIGLOBEモバイルのau回線では同様に可能だ。これらのサービスでは、eSIMクイック転送だけでなく、eSIMを再発行をする際もオンラインでの申し込み時は手数料不要だ(後者はKDDIやソフトバンクは「当面無料」)。

MNO4社のサービスではサブブランドやオンラインプランも含めて、「eSIMクイック転送」が利用できるので、少なくともiPhone間ではeSIMの移動は簡単(iPhone⇔Android間ではMNOでも現時点ではeSIMの再発行が必要となる)
一方で、MNOから回線を借り受けてサービスを提供しているMVNOでは、eSIM発行/eSIM再発行ともに手続きと手数料が原則必要となっている。MNOと違って手数料がどうして必要なのかはハッキリとはわからないが、MVNOのSIMは日本では原則的にMNOのシステムを借りて発行しているため、何らかの支払いが発生していることは想像に難くない。

たとえばIIJmioでは220円または433.4円が必要。料金は他サービスもほぼ同水準だ
ちなみにeSIMの移動はスマートフォンを買い替える場合に限らない。修理で一時的にほかの端末に電話番号を移し替えるといった場合もあれば、何らかの不具合などでサポートからSIMの抜き差しを指示された例もある。
今後は、そのような指示はあまりなされないと思うが、不具合があって端末を工場出荷時に戻したいときでも、eSIMのデータを残したままのリセットとなるため、完全な工場出荷状態までリセットすることが気軽にできない不安もある。
こうして書くとeSIMの取り扱いは面倒、MVNOだとなおさらと感じるかもしれないが、iPhoneがeSIMオンリーになり、今後もそれが続くことが確定的。eSIMの扱いの楽さを求めるなら、(状況が変わるまで)MVNOを使わないという選択もありになるかもしれない。
MVNOでeSIM対応しているのはどこか?
あらためてMVNOでeSIMの対応状況を確認しておこう。サービス名を見かけることが多い大手の事業者は多くの場合で対応していると言っていい。ただし、同じサービスでも用いる回線によって状況が異なるケースも存在する。
eSIM発行/再発行の申し込み方法は事業者ごとにさまざまだが、基本的には申し込み後に届く、QRコードやアクティベーションコードを端末に読み込ませる。ここは各事業者の公式サイトをしっかりチェックして、その説明に忠実に進めるべきだろう。
参考までに再発行手数料も合わせて掲載した。MVNOの場合、eSIM再発行のたびにお金がかかってしまう場合があるためだ。ドコモ回線だと440円前後、au回線だと220円前後というケースが多いが、日本通信SIMのように1年に3回までは無料だったり、IIJmioやmineoのように長期利用者の特典として、たとえば年に1回程度実質無料にしているケースもある。
eSIMの発行しやすさやトラブル対応も重要
次にeSIMの再発行のしやすさも結構重要。これは、MNOであっても面倒がともなう。たとえばKDDI系やMVNOのように24時間対応でなかったり、運転免許証などの書類を用いたオンラインでの本人確認が必要なケースがあるためだ。

たとえばKDDIのサービスでは(povo2.0を含む)、24時間対応でないうえにeSIM再発行時にはeKYCによる本人確認が求められる。これはスマホのカメラで免許証などを上から撮ったり、斜めから撮ったり、あと自分の顔を動かしながら撮影とそこそこ手間が必要
たとえば、IIJmioは9時~20時30分までが対応時間としているし、日本通信SIMでも申込時間が10~20時までは1時間以内、それ以降は翌11時頃までに完了と目安が示されている。
mineoは公式サイトには再発行手続きから「最短1日程度」としており混雑時にはもっとかかると記されている。現実にはもう少し短い時間で対応されていることが多いようだが、すぐ対応できない場合があると書かれていると不安が残る。
また、再発行の方法も、各事業者のユーザーページにアクセスすればすぐ手続きできるサービスもあれば、SMS認証が必要だったり、運転免許証と自分の顔をスマホのカメラでいろいろ写す必要があるなど違いがある。
トラブル対応でMVNOが絶対不利とは言えない
では、eSIMの手続きではMVNOは絶対不利かと言えば、必ずそうとも言えない。MNOでは、オンラインでのeSIM再発行は無料のケースが多いが、なんらかのトラブル時はキャリアショップに出向く必要が生じ、来店の予約から数千円の高額な手数料の発生と大変な面倒事になる可能性がある。

新型iPhone発売日にeSIM関連のシステムに負荷がかかったのか、ドコモでトラブル。ドコモ側の問題にもかかわらず、キャリアショップに行っての解決が必要になった人に対しても、手数料を徴収したことがSNSで問題に。週が明けてようやく返金対応が発表された
この失敗が明らかにユーザーに非があるならまだしも、MNOの場合、SMS認証だったり、同じキャリアの回線でのアクセス、パスキーなど複雑な条件があるほか、eSIMが入った端末が故障した場合にも何もできない状態になってしまうことがある。この場合、キャリアショップに直行となる。
実際、先日の新型iPhone発売時に、ドコモがeSIMのシステムトラブルを起こしたにもかかわらず、ユーザーから手数料を徴収してSNSを騒がせたことは記憶に新しい(その後、返金対応することになったが)。
その点、MVNOではオンラインやコールセンターでの対応となる。対面ではないから解決しにくい部分もあるが、元々店舗がないことが多いMVNOだけに、自宅で完結することが多いほか、手数料がかかったとしてもMNOよりは安く済む可能性が高い。
eSIMを利用する場合はトラブル対応を想定しておく
どうにも面倒なeSIMだが、iPhoneを始め、スマートフォンを使う上で今後はeSIMからは逃れられない。そのため、eSIMの使い勝手やサポートがユーザーがキャリアを選ぶ1つの要素になる可能性もあるので、対応の蓄積や双方の慣れとともに徐々に改善が進むだろう。
とは言え、eSIMを使う前には万が一のトラブル時のことも考えておいたほうがいいだろう。
たとえば、落とし物としてスマートフォンが拾われた場合、従来は警察はSIMカードのマークやシリアル番号からキャリアを調べ、キャリア経由でユーザーに連絡が行くケースがある。ところがeSIMの場合、まずロックを解除しないと電話番号がわからないため、落とし主を特定する手段が少なくなる。
そのため、紛失した場合の検索機能などを有効にしておくなど、物理SIM以上に気を使う必要がある。また、端末の故障時にSIMを差し替えて使うということもしにくくなるため、そうした場合に連絡をどう取るかも考えておく必要がある。
eSIM化によって期待できることもある
デメリットを中心に紹介してきたeSIMだが、オンラインでの申し込みですぐ使用開始できるなどのメリットもある。今後も人件費や送料など、各種コストの上昇が見込まれる昨今、ユーザーとキャリアの両方がeSIMをうまく活用すれば、手数料を低くすることも可能だろう。
また、今回の新iPhoneのようにeSIMだから実現しやすくなった薄型化やバッテリー容量の増大、SIMスロットという開口部がないことによる端末の信頼性向上などもある。SIMカードが簡単に取り外されないことによる盗難時のリスク低減も考えられる。

スマホメーカーにとってもeSIM採用のメリットは考えられる。超薄型のiPhone AirはeSIMがほぼ使われていない中国向けを含めて、eSIM専用設計になっている
筆者としては、現時点でのeSIMオンリー化は少々無理があると感じるものの、この強硬手段によって、eSIMの取り扱いがもっと洗練される可能性も考えられる。ユーザーも積極的にeSIMを使い、不便なところは声を上げるようにすれば、eSIM周りの環境がもっと整備されていくのではないだろうか。