連日満員&大行列!「徹夜」も当たり前の現状に…「並ばない万博」はどこへ? 万博協会に聞いてみた
「並ばない万博」を大々的にPRしていたが…
大阪・関西万博は10月13日、いよいよ閉幕を迎える。万博へ行くにはチケットを手に入れるだけでなく、「来場日時予約」が必要だが、その予約を行う『万博チケットサイト』では閉幕日まで「満員」表示が続く。しかも入場できたとしても、会場内はどのパビリオンも入場待ちの列ができ、レストランやコンビニ、土産店、トイレ、大屋根リングに上がるエレベーターやエスカレーターに至るまで、どこも大行列である。
今回の万博では当初「並ばない万博」を大々的にアピールしていた。開幕直後から万博へ20回以上訪れた筆者は、4月ごろはパビリオンの予約が取れれば並ぶことは確かにほぼなく、次に来場する日時の予約も簡単にできた。だが、会期が進むにつれて来場者数がどんどん増え、パビリオンの予約や来場日時予約もどんどん困難になっていった印象だ。しかも、現地でだけでなく、WEB上ですら何時間も並ばされる事態も起きている。

万博の人気パビリオンでは入場待ちの列に並ぶことすらできない「行列規制」が増えた。その規制解除のタイミングを狙い、周りにたむろする人々も増え…、解除直後は人が殺到して危険な状態になることもある
WEBもリアルも「並ぶ」こと続出
4月から現在まで、万博へ取材も含め20回以上訪れた結果、「並ばないのは不可能」という結論に達した。
まず、チケットで来場日時を予約する際、万博チケットサイトにアクセスするが、事前登録した万博IDとパスワードを入力するのに、その時にアクセスする人数が多いと「待機画面」で待たされる。その後、ログインして日時予約をしようとすると、また「待機画面」が現れる。
さらに、パビリオンの予約でも「待機画面」が出ることも。9月に入ると、目的の画面につながるまで最大で13万人待ち、4時間以上かかったこともあった。しかも、来場日時予約はその際すでに全日「満員」表示だった。
特に9月前後から万博チケットサイトでは、メンテナンスが何度か行われた。だが、そのメンテナンスが原因なのか、以前はなかったエラー画面が頻出するようになったのに加え、満員でなくイエローの「混雑」表示になってクリックしても予約枠を確保できないのは相変わらずである。開幕当初から使い勝手が悪かったこの万博チケットサイトは、万博全体の評価がうなぎ上りになっていった一方で、終始「残念」だった部分として万博来場者の記憶に残ることは間違いないだろう。

万博チケットサイトの来場日時予約の画面。10月13日の閉幕日まで「満員」表示が続く。ここで予約できないと入場することができないが、空き枠が出る可能性はゼロではない。29日朝にはメンテナンスが入って「エラー祭り」に
早朝からゲート前で待たないと「並ばない万博」ができない!
万博を1日楽しむなら、「朝イチで入場すること」が“鉄則”である。入場は9時から。来場時間で「9時」を予約するだけでなく、朝早くからゲートの前に並ぶ必要がある。
筆者は、「9時」の予約を取ったうえ、朝7時過ぎから並んだことが3、4度ある。東ゲートの場合は地下鉄の早い時間に夢洲駅に着き、西ゲートの場合は地下鉄コスモスクエア駅からタクシーで向かった。いずれも入場まで2時間あまり、ゲートの前でずっと待ち続けた。特に6月以降、早朝でも気温が高くて蒸し暑さが半端なく、忍耐が要った時間だった。
9時ちょうど前後に入場できると、11時ごろまで多くのパビリオンに並ばずに入れた。加えて、人気パビリオンの「当日予約」もでき、夜までほぼ「並ばない万博」を実現できた。

9月24日の東ゲート12時ごろ。入場枠は「9時」「10時」「11時」「12時」「17時」がある。また、西ゲートの交通ターミナルは、開放時間が10月から6時半→5時となり、早朝にタクシーで向かって並ぶ時間がさらに早まりそうだ
「徹夜組」が急増…自粛要請も効果なし
実はこの方法は、現在も有効である。しかし、早朝のゲート待ちは閉幕が近づくにつれ、さらに競争がし烈になっている。猛暑だった8月ごろまではほぼいなかった東ゲートの「徹夜組」が今は毎日数十~数百人といるほか、地下鉄の夢洲行き始発列車は乗り切れないほど満員で、その始発前に徒歩で夢洲入りして並ぶ人もいる。西ゲートも、ゲート前の交通ターミナルが朝オープンする前に、タクシーが100台以上並んで待っている状態だ。
日本国際博覧会協会(万博協会)は8月末、東西両ゲートでの早朝の入場待ちに関する自粛のお願いを公式サイトに掲載。また、地下鉄の始発が到着すると同時に東ゲートへ走る「始発ダッシュ」に対しての対策も行われている。だが、徹夜や始発で入場待ちする人数は減る気配がない。
例えば、9時入場の1時間前、8時ごろにゲートに到着したとしても、すでに大勢が並んでいる。その時点ですでに“手遅れ”であり、仮に9時半ごろに入場できたとしても、入場して約10分後から可能な当日予約はほぼ全部「×」で、パビリオンをかろうじて回れる程度のメリットしかない。
最も人気が高いイタリア館は、朝9時半から並んで「4、5時間待った」という声も。最近だと日中に、パビリオン待ちの列に並ぶことすらできない「行列規制」もよく見られ、「万博イス」と呼ばれる折り畳み椅子に座り、何時間も待ち続ける光景が当たり前となっている。

ルクセンブルク館の入場待ちをする人々。9月19日10時半ごろ。この時点で「4時間待ち」の表示が出て、しかも列の最後尾に並べないように規制されていた
入場から退場まで並ぶ事態…万博協会に尋ねるも「回答なし」
「並ばない万博」に関し、『FRIDAYデジタル』編集部では9月下旬、万博協会の事務局に対して質問状を送った。だが、期日までに回答はなかった。
現在、来場日時やパビリオンの予約をするのにWEB上で並ぶ、入場前にゲートで並ぶ、パビリオンで並ぶ、レストランやコンビニで並ぶ、トイレでも並ぶ、さらに、大屋根リングに上がるのに並ぶこともあるなど、どこもかしこも「並ぶ」状態だ。さらに、退場時も、地下鉄夢洲駅が隣接する東ゲートは、駅が目の前なのに大きく迂回するルートを歩かねばならず、それも21時前後から人の列がどんどん密になり、最近は会場内や、ゲートからも出られない「退場規制」まで出ている。
万博の来場者が1日20万人を超えると、日中は通路を歩くのも密な状態で、大屋根リングの下にあるベンチは埋まり、地面に直に座る人も多く、一様に疲れ果てた表情をしている。一方で、パビリオンの予約を取ろうと、同じ予約検索画面をずっと見続けてリロードとスクロールを繰り返す人も多くいて、「パビリオンの予約は何も取れなくてただただ疲れた」という声も多々聞かれる。

東ゲートから出て地下鉄夢洲駅へ向かう、迂回ルートの途中。9月24日20時50分ごろ。人が密の状態で徐々に前に進んでいき、この後10分ほどで駅構内へ入ることができた
未使用チケットの当日券交換は始発前に終了!?
満員が続く来場日時の予約は、空き枠が出ることもある。それを求めて一日中ずっとログインして検索し続けたり、入場2日前の朝に旅行会社などで余った分が空き枠として開放されるのを狙って朝3、4時からログインして待機し続けたり。以前からあった入場3日前の0時からのパビリオンの入場先着も、多くの人がサイトに殺到するために待機画面が頻繁に出る。
さらに、来場日時予約ができない中で未使用のチケットがまだ大量にあり、それを持っている人を対象にした「当日券」との先着引き換えが9月27日から始まった。だが、12時以降入場の当日券を求めて徹夜で並ぶ人が続出し、地下鉄の始発が着く前に並んでいた人々で予定枚数終了となるなど、ここでも並ぶ事態が起きている。
万博内のパビリオンでできるだけ並ばずに楽しむためには、現在だと徹夜または早朝にゲートで何時間も待つ必要がある。それ以降の入場時間であれば、大半のパビリオンに加えてレストランやトイレなども並ばないと入ることができない。さらに、夜のドローンショーや花火などを観終わった後、退場するゲートや地下鉄の駅まで行くのも大行列である。万博が楽しかったという思い出とともに、「並ばない万博とはいったい何だったのだろう」という疑問は消えそうにない。

日中の万博会場は人が多く、特にポルトガル館(写真右)からいのちパークまでの通路は狭いため、通行するのも大変。もし万博へ行った際、ここを通るのはできれば避けたい

当日券の「完売」を掲示する看板。9月24日時点では誰でも並べば入手できたが販売数は少なく、早々になくなったという
取材・文・写真:シカマアキ