“シャインマスカットの神”のぶどうが高い評価を受ける理由は?「真沙果」「ゴールドナイト」などオリジナル品種も育成

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10月11日(土)放送分では、“シャインマスカットの神様” 飯塚果樹園会長の飯塚芳幸さんが登場。長野県上田市の直売所でのインタビューで「果物を作っている方が自分で作ったものを持ち寄って、それを販売する組合」の副組合長である男性が“シャインマスカットの神様”と挙げたのが飯塚さん。

かつてぶどう市場で多くを占めていたのは「デラウェア」や「巨峰」。しかし近年、皮ごと食べられる手軽さから「シャインマスカット」が売り場の中心へ。そして今年はシャインマスカットが豊作で値段も割安に。去年より売れ行きが伸びている。

そんなシャインマスカットの栽培面積で日本一を誇るのが長野県(878ha/出典:農林水産省)。中でも飯塚さんの作るシャインマスカットは、「千疋屋」でひと房16,200円で販売されていたことも。世界最高峰の洋菓子大会で世界一に輝いたパティスリー「モンサンクレール」の辻口博啓シェフも、飯塚さんのぶどうを愛用する一人だ。

今回はそんな飯塚さんの元を訪れた。上田市の飯塚果樹園では、現在、テニスコート約4面分の広さの畑で20種類のぶどうを栽培している。中でも約半数を占める品種がシャインマスカット。

※飯塚果樹園では一般の方への販売はしておりません

市場において、なぜシャインマスカットが多く流通するようになったのかを訊ねると、「シャインマスカットは作りやすいです。初めてぶどうを作り始めた人でも、形としてのシャインマスカットはできます」と飯塚さん。

2006年に品種登録されたシャインマスカットは、高糖度で皮ごと食べられる高級フルーツとしてブランドイメージが確立されると、全国の地方自治体や研究機関が栽培方法やノウハウを記載したマニュアルを作成。比較的育てやすく売値が高いことから、シャインマスカット農家に転職する人が増加。その結果、栽培面積は2011年から2021年で約6倍にまで拡大した(栽培面積の出所:農林水産省)。

そんな中、飯塚さんはシャインマスカットを含むぶどうの品評会で長野県知事賞を7度も受賞。さらに、毎年農業に携わる人の中から数十人だけが手にできる最高の栄誉・緑白綬有功章も受章している。

なぜ飯塚さんのぶどうは評価を受けるのか?「それは土づくりです。地力が(ぶどう作りには)非常に大きい」と飯塚さん。

「うちの周りを見ても、田んぼはいっぱいあるけど果樹園がないじゃないですか」と飯塚さんが語る通り、この果樹園の周辺の農家は稲作をしていることが多く、半径約1kmにぶどう農家は一つもない。

その理由は「ここは非常に粘土が強いんですよ。乾くとものすごい石みたいにかたくなる。濡れると沼みたいになっちゃう」という。

粘土質の土は保水力が高いため米の栽培には好条件。しかしぶどうは水分量が多いと病気を招きやすいため、この一帯はぶどう作りに適さないとされてきた。そこで、飯塚さんは魚粉や海藻・カルシウムを含んだサンゴや貝の粉末など、天然の肥料を適切に調整し混ぜることで土の中に微生物を増やした。

土の中に微生物が増えると、土一粒一粒が結びつき栄養分が蓄えられる。さらに土の隙間が生まれるため水捌けが良くなるという、見事な土壌改良を行ったのだ。

また、土の上には大量に敷き詰められた藁が。藁は、空気中や土の中の余分な水分を吸収する役割がある。一般的には木の周りだけに藁をまくことが多い中「この藁が空気中の湿度を調整してくれる働きがあります」と語る飯塚さんは、畑の全面に藁を撒いている。

こうしてお金や手間をかけて土壌を作ることで 、通常の半分以下の農薬で栽培することを実現した飯塚果樹園のぶどうは特別栽培農産物にも認定された。

■新たな品種も育成

そんな飯塚さんは「すでにシャインマスカットは満タンの状態。だからこれからは市場価格というのはどんどん下がってくる可能性はある。だから、より美味しいもので買ったお客さんが納得できるようなものでないと通用しなくなる」と語る。

実際に、発売当初は高値で取引されていたシャインマスカットも近年流通が増え徐々に価格は下がっている傾向に。そんな時代の流れをくみ、飯塚さんはオリジナル品種も育成。

「真沙果」(まさか)は、通常のシャインマスカットと比べるとその大きさは一目瞭然。重さもシャインマスカットの2倍の30g。

これが、熟すと真っ赤になる。その特徴は「食べて歯でかみ切った瞬間に、ジュースがじゅわ〜っと出てくるんですよ」「この食べた時の食感は他の品種にはない」と飯塚さん。

シャインマスカットと真沙果を組み合わせてできたオリジナル品種「美夕果」(みゆか)も手掛けている。

さらに「ゴールドナイト」という品種も開発。黄色くなるのがこちらの品種の特性。

シャインマスカットよりも黄色くて形も大きいゴールドナイトは、今年の4月に農林水産省品種登録が完了した新品種。スタッフが試食すると「甘っ!」という反応があったように、通常シャインマスカットは糖度18度程度が基準とされているが、ゴールドナイトは8度も上回る26.3度となっている。

■飯塚さんおすすめの食べ方や保存方法は?

スタジオには、飯塚さんのシャインマスカット、真沙果、ゴールドナイトが登場。合わせて、飯塚さんがおすすめするシャインマスカットの食べ方や、保存方法も紹介した。

シャインマスカットは、下から上に行くほど甘味が強くなっているそうで、下から食べ始め、最後は甘いゾーンに食べ進めると常に甘さを感じられておすすめだそう。

続いてはスーパーでの美味しいマスカットの見極め方。一つ目は、軸が枯れていないこと。軸が茶色く枯れているものは収穫から時間が経ち鮮度が落ちている証拠。軸が明るい緑色のものは鮮度がいいという指標になるため、緑色のものを選んだ方がいいという。二つ目は、実に張りがあること。皮にシワが無くプリっとした実は、水分をたっぷり含んでいる証拠。

そして飯塚さんおすすめのシャインマスカットを美味しいままキープする保存方法は、軸から切り離す時、付け根を残し、1粒ずつ冷蔵保存すること。こちらの状態だと冷蔵庫に保管すると約1週間持ち、付け根を残さず手でブチっと取ってしまうとその日しか持たないという。