長瀞・岩畳の景色と味噌香る地元グルメをアテにする ツマミになるグルメ

長瀞・岩畳の景色と味噌香る地元グルメをアテにする ツマミになるグルメ
【colocal】Webマガジン・コロカルの記事 >
【Photo】写真一覧を見る >
今回のお楽しみは、自然に癒されながらの時間。お出かけ先は、埼玉の景勝地・長瀞。酷と名がつくような夏が長くなって、秋との境目がなんだかわかりにくくなったけれど、自然の中に身を置けば、ようやく五感で季節を感じられるはずだ。

川底が深く、流れが静かなところを「瀞(とろ)」といい、荒川上流のこのあたりが美しい瀞であるところから、「長瀞」と名づけられたという。隆起した岩が畳を敷き詰めたように広がる「岩畳」と、古代からの地層の重なりを目の当たりにできる「秩父赤壁」がこの地の見どころで、舟下りも人気だ.
川底が深く、流れが静かなところを「瀞(とろ)」といい、荒川上流のこのあたりが美しい瀞であるところから、「長瀞」と名づけられたという。隆起した岩が畳を敷き詰めたように広がる「岩畳」と、古代からの地層の重なりを目の当たりにできる「秩父赤壁」がこの地の見どころで、舟下りも人気だ。
今日は勇まず、のんびりいこう。検索アプリを使えば都内から最短ルートはあるけれど、ちょっと回り道。熊谷駅で乗り換え、秩父鉄道のSLパレオエクスプレスに乗っていく。

1988年に登場したパレオエクスプレス。牽引するのは、C58363(シゴハチ サンロクサン)。1972年に引退。県内の小学校の校庭で“余生”を過ごし、現役復活した。車両は2012年にリニューアルされ快適。2025年は、12月7日までの土休日を中心に運行している。
1988年に登場したパレオエクスプレス。牽引するのは、C58363(シゴハチ サンロクサン)。1972年に引退。県内の小学校の校庭で“余生”を過ごし、現役復活した。車両は2012年にリニューアルされ快適。2025年は、12月7日までの土休日を中心に運行している。
エクスプレスと名はついているが、実際はのんびり。なぜなら蒸気機関車だから。熊谷から長瀞は通常の各駅停車で約50分、SLは約1時間15分。音と蒸気が旅心をくすぐる。
もちろん僕はリアルタイムで乗っていたわけではないので、懐かしさよりもむしろ新鮮に感じているうちに、SLは警笛を鳴らしながら、ゆっくりと長瀞駅に入線していく。

長瀞駅

1911(明治44)年開業。1997(平成9)年には、「開業当時のままで残され、歴史を物語る木造建築の駅」として「関東の駅百選」に選定された。ICカードが使えたりインバウンド対応も進んでいるが、歴史の香りを存分に味わえる駅舎だ。
1911(明治44)年開業。1997(平成9)年には、「開業当時のままで残され、歴史を物語る木造建築の駅」として「関東の駅百選」に選定された。ICカードが使えたりインバウンド対応も進んでいるが、歴史の香りを存分に味わえる駅舎だ。
レトロな駅舎の改札を抜けてまずは深呼吸。小雨があがった駅前の空気は確かに秋の気配。岩畳へはここから歩いて10分ほど。その間にアテを手に入れよう。
まずは駅に併設される形で営業している〈ながとろ蕎麦 ちちてつ長瀞駅そば店〉へ。ここでの目的のアテは「石炭みそポテト」。

改札を出てすぐ。窓から駅舎の風景が見られるのも楽しみの一つ。特にSLは10分ほど停車するので、これを見ながら食するのもいい。店内では「長瀞流しそうめん」も人気。ちなみに石炭みそポテトはSL内でも販売。
改札を出てすぐ。窓から駅舎の風景が見られるのも楽しみの一つ。特にSLは10分ほど停車するので、これを見ながら食するのもいい。店内では「長瀞流しそうめん」も人気。ちなみに石炭みそポテトはSL内でも販売。
みそポテトは秩父の名物B級グルメ。「昔からなじみのある、伝統的なおやつですね」とスタッフさん。サイズ感、口触り、歯ごたえ、使用する味噌の種類など、その店ならではのバリエーションがある。
もともとこちらでも定番のみそポテトがあったが、ここに加わったのが、ビジュアル的にもネーミング的にも、インパクト大の石炭みそポテトだ。

まさに真っ黒。見た瞬間は本当に食べられるのかと頭に「?」が浮かぶが……「石炭みそポテト」300円(税込)(1カップ5個入り)
まさに真っ黒。見た瞬間は本当に食べられるのかと頭に「?」が浮かぶが……「石炭みそポテト」300円(税込)(1カップ5個入り)
「SLの運行にあわせて何かできないかと思い販売されました。SLの燃料である石炭をイメージしています」。まさに石炭を連想する漆黒は、衣と味噌だれに食用の竹炭を練りこんだもの。さて、お味は? 楽しみにしておこう。
アテを求めて岩畳商店街を散策
駅前から岩畳までの約400m、細くて少し曲がった通りに、土産物屋、食事処、カフェなど約30軒が連なる。細く、少し曲がっていく道は、先が遠くまで見通せない分、迷宮に誘われるようなワクワク感もある。
駅前から岩畳までの約400m、細くて少し曲がった通りに、土産物屋、食事処、カフェなど約30軒が連なる。細く、少し曲がっていく道は、先が遠くまで見通せない分、迷宮に誘われるようなワクワク感もある。
駅から岩畳へと向かう道は〈長瀞岩畳通り商店街〉。
ほどなく昭和レトロな食堂が左手に見える。昭和8年開業の〈喜久家食堂〉。

創業は昭和8年。店内では秩父名物の味噌カツなどをアテに飲める。全国の銘酒もそろっており、「昼から吞まれてる人もいらっしゃいますよ(笑)」と真生さん。頼もしい。
創業は昭和8年。店内では秩父名物の味噌カツなどをアテに飲める。全国の銘酒もそろっており、「昼から吞まれてる人もいらっしゃいますよ(笑)」と真生さん。頼もしい。
昭和レトロな店構えの店頭に、これまた昭和の家庭でよく見た白地に花柄の鍋。覗き込めば、串に刺したこんにゃくがいい具合に温まっている。昔からの名物だという、みそおでんだ。

懐かしさたっぷりの店構えの軒先に味噌おでん

懐かしさたっぷりの店構えの軒先に味噌おでん。「冬はもちろんですが、夏の暑い時期でも結構出ますね」と4代目の真生さん。「味噌おでんも、昔からなじみのある伝統的なおやつです」。店内ではみそポテトもあり。また、この味噌をアレンジしたみそかつ丼も名物。
懐かしさたっぷりの店構えの軒先に味噌おでん。「冬はもちろんですが、夏の暑い時期でも結構出ますね」と4代目の真生さん。「味噌おでんも、昔からなじみのある伝統的なおやつです」。店内ではみそポテトもあり。また、この味噌をアレンジしたみそかつ丼も名物。
ここでも味噌のアテ。そう、秩父の名物といえば味噌。山間の厳しい環境の中で、保存食であり、栄養面でも優れた味噌は大切な食材であり食文化。
「テイクアウトもできますよ」声をかけてくれたのは、「4代目……候補ですかね(笑)」という堀口真生さん。「味噌ダレには白味噌を使うところが多いんですが、うちは2代目である祖母が昔から使っていた赤味噌。ちょっと高いんですけれど、ずーっと使っています」。そのエピソードだけでもそそられる。

味噌おでん 3本300円
味噌おでん 3本300円
こんにゃくを取り出し、トレーに乗せ、目の前でその味噌をかけてくれる。「甘じょっぱさが特徴です。何を入れているかですか?砂糖を入れているので甘さもしっかりあります」レシピは企業秘密じゃないんですか?と冗談っぽく聞けば、「いえいえ、もう食べればわかりますので(笑)」旅先、軒先での軽やかな会話は、早く呑みたくなる誘い水。
商店街をさらに進むと、創業 1949年というお土産物屋〈万寿庵〉がある。その一角に併設されているのが、〈長瀞とガレ〉。

〈長瀞とガレ〉

アテにもいい「しゃくし菜のたまり漬け」といった郷土の名物や、地酒、自慢のみそ豚の腸詰などがズラリと並ぶ<万寿庵>。その一角に併設されている<長瀞とガレ>は、「長瀞で岩畳が多くの文化を育んだように、小さなガレ(フランス語で小石を意味)となって長瀞の新しい文化を育んでいきたい」との思いで名付けられた。
アテにもいい「しゃくし菜のたまり漬け」といった郷土の名物や、地酒、自慢のみそ豚の腸詰などがズラリと並ぶ<万寿庵>。その一角に併設されている<長瀞とガレ>は、「長瀞で岩畳が多くの文化を育んだように、小さなガレ(フランス語で小石を意味)となって長瀞の新しい文化を育んでいきたい」との思いで名付けられた。
ここは万寿庵の3代目である井上裕羽也さんが、地域の魅力を伝えたいという思いで立ち上げた、ガレットをスペシャリティにした店だ。お目当ては「みそ豚ガレドッグ」。

井上裕羽也さん

開店は2013年。井上さんは、東京で会社員経験があるが「育った場所でもあり、愛着もある」好きな長瀞に帰ってきた。「キュッとした中に自然も街もある。感覚的にもクローズではなくオープン。この店を通して長瀞の魅力をもっと伝えていきたいです」。
開店は2013年。井上さんは、東京で会社員経験があるが「育った場所でもあり、愛着もある」好きな長瀞に帰ってきた。「キュッとした中に自然も街もある。感覚的にもクローズではなくオープン。この店を通して長瀞の魅力をもっと伝えていきたいです」。
そもそも万寿庵では2階の工房で豚肉の味噌漬けを製造。もっと美味しい食べ方があるんじゃないかと、何年も試行錯誤した末に生み出されたのが、みそ豚の腸詰。「みそ豚は味噌の中で豚肉を低温熟成するのですが、その工程でせっかくの肉汁が出てしまう。それをしっかり閉じ込めたかったんです」噛みしめて溢れる肉汁を想像しただけで喉が鳴る。
「みそ豚ガレドッグ」はそんなみそ豚の腸詰を、ガレットでラッピングしたわけだが、ここにも秩父・長瀞らしさがある。

「みそ豚ガレドッグ」は、注文を受けてから店頭で調理。

「みそ豚ガレドッグ」は、注文を受けてから店頭で調理。小麦粉をブレンドした生地は、まるでホットケーキのような質感だが、次第にきれいな円を描き、ほどよい厚みに整っていく。すると腸詰の焼けていく香りも……。これを見ながらでも一杯いけそう。
「みそ豚ガレドッグ」は、注文を受けてから店頭で調理。小麦粉をブレンドした生地は、まるでホットケーキのような質感だが、次第にきれいな円を描き、ほどよい厚みに整っていく。すると腸詰の焼けていく香りも……。これを見ながらでも一杯いけそう。
ガレットというと、日本においても、フランス・ブルターニュのそば粉を使ったものが一般的だが、こちらは地産の小麦粉をメインにした、オリジナルブレンドの生地。「秩父は米があまりとれなかった分、小麦、雑穀はいろいろな種類があり発展してきました。そば粉もなかったので、小麦のうどん文化だったんです」。
味噌も小麦も、長瀞・秩父エリアが大切に育んできた食文化。これも井上さんが伝えたかった地域の魅力。手渡されたアツアツのガレドックからは、なんだか静かな熱気まで伝わってくるようだった。
岩畳を歩き、秩父赤壁と静かな流れを眺めながら、見晴らしのいい東屋に到着。

見晴らしのいい東屋に到着
まずは、冷やしておいた焼酎ハイボールをぐっとひと飲み。自然に癒され、少しずつ蘇ってきたような五感に、ガツンと刺激が加わり、しばし目を閉じれば、さらに五感が覚醒されるような感覚だ。

岩畳と赤壁の借景
目を開ければまた岩畳と赤壁の借景。まだ元気な夏っぽい日差しと、わずかだが秋の訪れの涼風が、焼酎ハイボールを、もうひと飲みとすすませる。

「みそ豚ガレドッグ」
まだ熱気が伝わる「みそ豚ガレドッグ」からいこう。小ぶりながら重量感もたっぷり。かぶりつけば、生地はもっちり。
ブレンド小麦の生地そのものの味わいを感じながら、みそ豚の腸詰を噛みしめる。パリッという音の後、肉汁の甘味と旨味がじわり。そこに味噌の風味も絡んできて、うれしい混然一体となる。焼酎ハイボールが加われば、爽快なキレ味でさらに混然一体が進み、口の中が幸せに包まれていく。

「味噌おでん」
「味噌おでん」は少し冷めても、むしろ夏の和スイーツを思わせるようで、これはこれでアリ、というか、これも気に入った。「うちの甘めの味噌は焼酎ハイボールに合うと思いますよ。店でも酒のアテにされる方も多いんです」という真生さんの言う通り。味噌だれの風味がまったり絡む感じがたまらない。こんにゃくの弾力と強炭酸がリズムを刻んでくれる。
「石炭みそポテト」は、ほくほく感もあるけれど、ポテトの食感はしっかりしていて、意外と食べ応えがしっかりある。色は黒いが、見た目に反して味噌だれはさっぱりめ。甘じょっぱさもしつこくなく、飽きずに食べられる。そもそも今までのアテ探しの経験から、味噌のコクと甘みは焼酎ハイボールと合うことは予想していたが、ソーセージやこんにゃく、ポテトといった素材との組み合わせは、新たな発見に導いてくれた。

古くから、この地の名所である宝登山神社の参拝客が、この岩畳で月を愛でながら宴会を催したという
そして、この素晴らしい風景の中で味わうという要素。実は古くから、この地の名所である宝登山神社の参拝客が、この岩畳で月を愛でながら宴会を催したという話を聞いた。
それはきっと、酒に乗じて興に乗りすぎた宴会ではなく、酒と自然と五感が一体となる、神秘的な儀式の一つだったのかもしれない……。そんな物思いにふけっていると、川遊びをする学生さんたちの元気な声が聞こえてきて、ふと現実に戻る。なんだかそれさえも心地よいBGMだ。

ガツンとくる辛口ドライチューハイ!
ガツンとくる辛口ドライチューハイ!昭和20年代後半の東京・下町の大衆酒場で生まれた元祖“焼酎ハイボール”の味わいを追求。ベースアルコールに伝統の宝焼酎を使用することで実現した、飲みごたえとキレのある辛口な味わいに加え、糖質ゼロ※1、プリン体ゼロ※2、甘味料ゼロ※3といった機能面もうれしいひと缶です。※1 食品表示基準に基づき、100ml当たり糖質0.5g未満を糖質ゼロと表示。※2 100ml当たりプリン体0.5mg未満をプリン体ゼロと表示。※3 食品添加物としての甘味料は使用していません。
もっとお酒が楽しくなる情報「酒噺」はこちら →
information
ながとろ蕎麦 ちちてつ長瀞駅そば店
住所:埼玉県秩父郡長瀞町長瀞528-2
TEL:0494-66-3331
営業時間:10:00〜15:30
定休日:火曜、水曜
information
喜久家食堂
住所:埼玉県秩父郡長瀞町長瀞455
TEL:0494-660-638
営業時間:11:30〜16:00
定休日:不定
information
長瀞とガレ(万寿庵)
住所:埼玉県秩父郡長瀞町長瀞447
TEL:0494-660-637
営業時間:10:00〜16:30
定休日:不定
information
もっとお酒が楽しくなる情報「酒噺」

宝酒造「酒噺」サイト
焼酎ハイボールが飲める名店の紹介や家飲みの極意など、もっと楽しいお酒ライフを送りたい方は必見。酒の肴や飲み屋で語れるお酒のうんちくなどの情報も満載。
Web:もっとお酒が楽しくなる情報「酒噺」
writer profile
Daiji Iwase
岩瀬大二
いわせ・だいじ●国内外1,000人以上のインタビューを通して行きついたのは、「すべての人生がロードムーヴィーでロックアルバム」。現在、「お酒の向こう側の物語」「酒のある場での心地よいドラマ作り」「世の中をプロレス視点でおもしろくすること」にさらに深く傾倒中。シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。シャンパーニュ騎士団認定オフィシエ。「アカデミー・デュ・ヴァン」講師。日本ワイン専門WEBマガジン『vinetree MAGAZINE』企画・執筆。
credit
photo:黒川ひろみ
【colocal】Webマガジン・コロカルの記事 >