冬の養生におすすめ!スープとドリンクの作り方

心身のコンディションを整えるため、日々の食生活に薬膳の知恵を取り入れてみませんか?(写真:zon / PIXTA)

漢方アドバイザーで、国際中医薬膳管理師、“なおみん”こと久保奈穂実さんは、SNSなどで身近な食材でできる薬膳の知恵を発信しています。中でも胃腸に負担が少なく、水分に溶け出した栄養を丸ごと摂ることができるスープやドリンクは「忙しい日々の救世主のような存在」だそう。寒くなる季節に向けて冬の薬膳と簡単なレシピを、久保さんの著書『おいしい漢方365 いたわりスープとごほうびドリンク』から一部を抜粋、再編集してご紹介します。

冬の薬膳三カ条

陰の気が強まり、1年で最も寒くなる冬。生物が冬眠するように、人も春に備えてエネルギーを消耗せず蓄える時期です。

【写真】冬の養生にぴったりのスープやドリンク

寒さから血行不良になり、肩こりや生理痛などの不調が起きたり、乾燥がさらに進むことによる不調も起きたりしがち。冷えと乾燥対策が冬の大切な養生です。

冬の薬膳について3つのポイントを見ていきましょう。

1:冬は「腎」と関係が深い季節

中医学では、自然界のあらゆるものを5つに分類する「五行説」があります。そして五行の特性に当てはめ、体の働きや機能も、肝、心、脾(ひ)、肺、腎(じん)の五臓に分類します。

このうち冬は「腎」と関係が深い季節。腎は生命エネルギーの源で、成長や発育、生殖、ホルモン分泌、知能、知覚、運動系の発達と維持に関わっています。また体を温めて血を生成する働きも担っています。

一方、腎は寒さに弱く、寒さによって腎が弱ると、足腰の筋力低下や、頻尿などの尿トラブル、記憶力の低下など、老化による不調が生じやすくなります。冬は感情では「恐」と関係が深く、腎が弱ると、怖がりになって、ビクビクしやすくなります。

2:不調が起こりやすいのは「耳と髪」

腎が弱ることで変調が現れやすい部分が「耳」です。低音の耳鳴りがするようになったり、聞こえづらくなったりなど耳にトラブルが起きます。

また、もうひとつ不調が現れやすいのが「髪」。腎が弱ると抜け毛や白髪、髪のやせ細りなど髪のトラブルが出現します。冬に抜け毛が増える大きな原因は腎が弱るためです。

3:対策のポイントは?

中医学では、「五味」といって、味を「酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味」の5つに分類し、それぞれに異なる働きがあるとされています。食材そのものの自然な味の持つ働きです。「しそは辛い味はないが、発散する働きがあるので辛味に属する」というように、働きによって分類される場合もあります。

五味は五臓と深く関わっています。酸味は肝に、苦味は心に働きかけるというように、五味によって五臓の働きを整えることができます。

冬に相関する五味は「鹹味」。しょっぱい味というより、海藻や貝類のような塩辛さのイメージです。例えば海藻、貝類、いか、たら、なまこなどが「鹹味」の食材です。腎の衰えを感じるときに取り入れましょう。

また、冬に相関する五色は「黒」。わかめや黒ごま、黒きくらげ、黒豆、黒米などの黒い食材には、冬に弱りやすい腎を補う効果があり、エイジングケアによいので意識してとりましょう。

「立冬」からは補腎食材を取り入れて

11月7日は二十四節気の「立冬」です。ここから立春までが暦の上での冬。薬膳的キーワードは「補腎」です。

冷え対策にはにら、えび、くるみ、シナモンなど。乾燥対策には山いも、牡蠣、ほたて、ごまなど。ここでしっかりエイジングケアできているかどうかで、見た目と体内、両方を若々しく保てるかどうか、差が出ます。

寝不足でも腎を消耗するので、老けの原因に。冬は「早寝遅起き」を心がけて、たっぷり寝るのが大事な養生です。

冬の養生にぴったりなスープとドリンクのレシピを4つ紹介します。

「たことプチトマトのスープ」でしっとり潤い肌に

肌のカサカサによい食材が、たこです。たこは、薬膳的に「生肌(しょうき)」と言って肌の再生を促し、整える働きがある最強の美肌食材。夏にたくさん汗をかくと、潤いとともに血(けつ)も消耗し、秋のカサカサ肌の原因になります。

たこには補血効果があるので、内側から潤う肌に導いてくれます。この時期にとっても頼もしい味方ですね。ほかに、補気効果や、筋骨を丈夫にする効果も。タウリンがたっぷり含まれ疲労回復も助けてくれます。

私は野菜と一緒ににんにくで炒めて、アヒージョ風にするのがお気に入り。残ったオイルでパスタを作ると2度楽しめます。

※胃腸が弱っている時は控えてください。

■たことプチトマトのスープ

たこを使った乾燥肌ケアによいレシピが「たことプチトマトのスープ」。最強の美肌食材のたこと、体を潤すトマトの組み合わせ。血を補って肌も潤し、整えてくれます。

たこの旨みとジューシーなトマトが口いっぱいに広がる幸せなスープです。パスタやリゾットにもしたくなる味なので、お好みでアレンジを楽しんで。

たことプチトマトのスープ(写真:『おいしい漢方365 いたわりスープとごほうびドリンク』)

<作り方>

① 鍋に油を熱し、みじん切りのにんにくを炒める。

② 水を入れ、一口大に切ったたこ、ミニトマト、トマトソース缶を加えて煮る。

③ コンソメとハーブソルトで味を調える。

体が芯から冷えた日は「えびにら酸辣スープ」

えびは、薬膳で温め食材の代表選手。冷えが強い人は、えびを食べてください。腎を補う効果もあるので、エイジングケアにもいいですし、元気を補う効果もあります。

朝、寒くて起きられない方にもぴったり。ちなみに同じ海の食材でも、かには寒性で体を冷やすので、寒い時期はえびを選びましょう。

えびにら酸辣スープ

例えば急激に気温が下がって体が芯から冷えた…。こんな日の夕食は「えびにら酸辣(さんらー)スープ」に。にらやえびは奥深くからじんわり温めて、体を温める力を根本から補うイメージ。しょうがは、汗をかかせて体表にまとわりついてる寒い邪気を追い払うイメージ。

さらに調味料のお酢と辣油(らーゆ)にも温め効果が。つまり最強の温めスープなのです。しょうがの風味とお酢の爽やかな酸味、えびのプリプリ感、にらのシャキシャキ感が混ざり合ってとてもおいしく、食べているそばからポカポカになりますよ。

※のぼせやほてりがある人は控えてください。

えびにら酸辣スープ(写真:『おいしい漢方365 いたわりスープとごほうびドリンク』)

<作り方>

① 鍋にお湯を沸かし、おろししょうがと殻をむいて背わたを取ったえびを入れて煮る。

② お酢、鶏がらスープ、醤油で味を調え、4cm幅程度にざく切りしたにらを加え、ひと煮立ちさせる。ナンプラーがあれば入れてもOK。

③ 器に盛り、お好みで辣油を垂らす。

寒くて落ち込んだら紅茶を

冬の心身を癒やす「すだちティー」

寒くなると気持ちも落ち込みやすくなりますが、そんなときによい飲み物が紅茶です。

紅茶は体を温め、情緒を安定させる効果があります。体が冷えて訳もなく気持ちが落ち込みがちなら、紅茶でほっこりポカポカ温まってくださいね。紅茶には、渇きを止める作用や、利尿作用もあります。

しょうがやりんごなど、目的に合わせてほかの食材を入れて、自由にアレンジが楽しめるのも紅茶の魅力です。

※陰虚でほてりのある時などは控えてください。

■すだちティー

寒さが増すと外に出て発散する機会が減るせいもあって、落ち込みやすくなったり、イライラしやすくなったり。こんなときは旬のすだちを使った「すだちティー」でひと息つきましょう。

すだちのよい香りで気が巡ってスッキリ。紅茶の安神効果で気持ちが落ち着きます。乾燥が気になるときは、少しはちみつを入れてもおいしいですよ。

すだちティー(写真:『おいしい漢方365 いたわりスープとごほうびドリンク』)

<作り方>

① ティーカップに紅茶を淹れる。

② スライスしたすだちを2〜3枚浮かべる。紅茶の種類はお好みで。

寒い季節は「りんごとしょうが」

急な寒さの胃腸トラブルに しょうがとりんごのドリンク

イギリスには「一日一個のりんごは医者を遠ざける」という言葉があります。りんごには、それくらい体によい効能がたくさんあります。

薬膳的効能は、胃腸を健康にする、食欲を増す、渇きを止める、潤いを生み出す、肺を潤す、痰を除くなどで、乾燥しやすいこの季節にぴったりです。

また、下痢や便秘、寝汗などにもよいとされます。体を冷やしも温めもしない平性なので、一年中安心してとれます。紅茶や甘酒などに入れるとおいしいですよ。

一方、しょうがは体を温める効果が知られています。薬膳的には、発汗によって「寒邪(かんじゃ)」という寒さからくる不調を取り除く効果のほか、お腹を温める、吐き気を止める、解毒、利尿など多くの効能があります。

風邪の初期で悪寒がするときや、嘔吐、冷えによる下痢、食欲不振などにもよいですよ。夜にたくさんとらないよう、気をつけて。※熱や皮膚の炎症があるときは控えめに。

■ホットジンジャーすりりんごのドリンク

急激に寒くなる時期は、体がついていけずにいつの間にか疲れがたまります。特にお腹が冷えやすい人は胃腸の調子が悪くなり、そのせいでエネルギー不足になってメンタルにも影響し、クヨクヨ思い悩みやすくなってしまうことも。

こんなときはお腹をほっこり温める「ホットジンジャーすりりんご」で元気を出しましょう。胃腸を温めて元気にするしょうがと、胃腸を健康にするりんごの組み合わせ。お好みで、はちみつを加えると潤い効果もアップします。

スプーンですくってふぅふぅしながら食べるとお腹がポカポカに。食欲がないけれど何か食べなきゃ、というときにも、これなら胃腸への負担を心配せずに食べられます。

ホットジンジャーすりりんご(写真:『おいしい漢方365 いたわりスープとごほうびドリンク』)

<作り方>

① りんごをよく洗って皮ごとすりおろす。

② 小鍋に①を入れ、レモン汁(小さじ1)としょうがのおろし汁(少々)を火にかけ、温まったらカップに移す。お好みではちみつを少し加える。