【バス運転士日誌】交番表の教育中一覧に名札がない!

取材して聞いただけではわからないという理由で、フジエクスプレスで臨時運転士として採用され、どうにか独り立ちできるめどが立った記者のバス運転士奮闘記。本稿では路線バスの営業教習を懇願して1日経過後の交番表を見て唖然としたところからスタートする。
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文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■翌日の担当ダイヤを電話で確認する

バスは出庫時刻の早い順に並んでいる
2点間や複数点間のシャトルバスは実際に旅客を乗せて訓練はしたので、1人で営業運転しても大丈夫だろう。しかし、路線バスとなると停留所が多く、ダイヤもシビアで運賃収受もある。その営業教習はしていないので独り立ちできる社内資格は得たものの、運行管理者に懇願して路線バスの営業教習をしてもらった。
記者は毎日出勤するわけではないので、出勤日の前日に運転部門に電話をして翌日の担当仕業を確認する。電話をすると電話の向こうで運行管理者が「古川さんは明日は701ダイヤですね。7時9分の出勤で7時29分の出庫です」と教えてくれた。
701ダイヤはちぃばすの芝浦港南ルートを意味する。車両で出庫する場合は、営業所の出庫時刻の20分前に出勤することになっているので7時9分という意味だ。実際には慣れていないのでもっと前に到着するつもりだ。
日曜日なので港区への通勤経路は空いている。渋滞に巻き込まれることなく、いつもの通りレインボーブリッジを渡り営業所に到着した。出勤簿を確認して押印すれば交番表の確認だ。当日の担当ダイヤと運転士の名札が掲載されているので、当該ダイヤを見ればすぐにわかる。
■教育者の枠に名札がない!

車両点検では山ほどあるミラーの調整もしなければならない
通常は701ダイヤの欄を見れば、運転士の名札と「教官」という札が貼られ、記者の名札は教育中の枠内にまとめられているので、自分の名札を赤からひっくり返して白にすることにより出勤済みであることが一目瞭然なのだ。
よって、本日も路線バスの営業教習だと信じて疑わなかった記者は教育生の欄を見た。しかし記者の名札がそこにない。何かの間違いか?出勤日を間違えたのかと思い公休者の欄を見るがそこにもない。運行管理者に説明を求めよう。
■え? 独車なの?

誤乗防止の路線名ボードと金庫を持ってバスに向かう
運行管理者曰く「701のところにあるじゃないですか」記者はすかさず「あ、いや、教官は?」「お1人ですよ!」「え~!」「見極めと営業教習の結果、お1人でも大丈夫なようですので独車で頑張ってくださいね」という感じになってしまった。
実は日曜日なので、一般車や物流のトラックは少なく走りやすい。おまけに朝夕の通勤通学ラッシュもないのでダイヤに追われることもない。おまけに当日の仕業は比較的拘束時間が短い。
つまりバスを運転する時間が短いということになっていた。ちゃんと考えて担当を決めていることがわかりひと安心する。こうして突然訪れたデビュー戦に挑むことになった。
■出発点呼までにやること

車両点検の合間に金庫をセットする
出発点呼の前にアルコールチェックなどをして、車庫から出庫する車両と駐車位置を確認し、行路表とバスのキーを受け取る。金庫と誤乗防止用の系統が書かれたマグネットボードを持ってバスに向かう。
メインスイッチを入れてエンジンが問題なくかかることを確認して、電装系や外周り等の車両点検をする。その合間に金庫を運賃箱にセットしてラムコーダーと呼ばれる装置に系統番号や社員番号を入力する。
これをセットするとデジタルスタフや自動放送、方向幕までがすべて連動して、あとは放送の起動ボタンを押すだけで済む。車両の点検簿に従い点検項目に異常がないければチェックを入れる。運行前にしなければならないことを終えると再び運行管理者のものとに戻り出発点呼を受ける。
■回送でスタート!

ラムコーダーに情報を入力するとデジタルスタフになるので便利
出発点呼で運行管理者から諸注意を受けて再びバスに戻る。ハンドスコッチ(車止め)を外して所定の場所に収納して出発準備は完了。ラムコーダーの最上段には回送の文字とともに車庫出発時刻と分単位のカウントダウン表示がされている。1分間になると「発車1分前です」と音声で教えてくれるので、ギアを入れてサイドブレーキを解除し、安全確認をして出庫する。

方向幕や車内LEDはラムコーダーに連動しているので間違いがないか確認するだけでよい
文章で書くととてつもないことをやっている感があるのだが、実際には慣れで体が覚えているものなので、空車教習時と比較してそれほどの苦労は感じない。
所定の停留所まで回送すると、いったん停車をして営業運転の出発時刻を確認して放送の起動ボタンを押す。すると方向幕が自動的に変わり、内容が放送され車内のLCDに表示される。行先を確認してドア扱いをして乗車開始だ。
■慣れるより慣れよ!

回送地に到着して時間があれば方向幕等を確認して乗車に備える
日曜日の朝なので、のんびりしたもので、運賃収受が必要でも1乗車100円で多くの旅客がスマホやICカードやスマートウォッチをかざしているので、運転士は正しく収受したかを見るだけだ。賃箱を操作する必要があるのは、複数人数を1枚のICカードで支払うときくらいだ。
運賃は大人も子供も1乗車100円なので、人数を押すか金額入力をするかどちらでもできる。まだチャージの申し出はない。こうして路線バスでのデビュー戦を終えて車両を他の運転士に引き渡し、駅から徒歩で帰庫した。

徒歩回送では港区の夜景を見るこちおができるがこの日は明るいうちにお仕事終了!
なるほど慣れるより慣れよで、バスの運転操作やルートや停留所の位置は訓練を積んで問題はないので、旅客対応は慣れるだけだというのがよく分かった。これで名実ともに一人前の運転士になったような気がして、むしろ気を引き締めて運転士業に従事する気持ちになった。