エスカレートするNATOとロシアの対立:NATO高官が先制攻撃の可能性をちらつかせる

エスカレートするNATOとロシアの対立:NATO高官が先制攻撃の可能性をちらつかせる
ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年2月以降、NATOとロシアの緊張は高まり続けている。さらに、最近のロシアは一連の挑発行為を通じて、NATOの我慢の限界を試そうとしているという見方もある。これに対し、NATO側はクレムリンが仕掛ける非正規戦に対応するため、より積極的な対応に踏み出す可能性が出てきた。
NATO軍事委員会の議長を務めるジュゼッペ・カーヴォ・ドラゴーネ海軍大将が最近、ロシアによるサイバー攻撃や破壊工作、領空侵犯の増加に対抗するため、より強硬な姿勢に転換することを検討しているコメント。英紙『フィナンシャル・タイムズ』に対し、「われわれはあらゆる選択肢を検討している」としたのだ。

ドラゴーネ海軍大将の発言
ドラゴーネ氏いわく:「サイバー分野において、NATOはどちらかといえば受動的な立場にある。そこで、受動的であることをやめ、より積極的、または先制的になることを検討している」さらに、一部の状況においては「防御行動」として「先制攻撃」を行う余地があるとしたが、こうした姿勢は「従来の考え方や行動様式とはかけ離れている」ことも認めた。『キーウ・インディペンデント』紙が報じている。
一方、ロシアは一連の発言に反発。『ニューズウィーク』誌によれば、12月1日にはロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官がドラゴーネ氏のコメントについて、「極めて無責任で、NATOがさらなるエスカレーションに進む用意があることを示すものだ」と非難したという。
ザハロワ報道官はさらに、「これはウクライナ危機の解決努力を意図的に損なう試みであり、このような発言をする者はそのリスクと結果がNATOにも降りかかることを自覚すべきだ」と述べた。『インデペンデント』紙が伝えている。

行動で対立エスカレートさせているのはむしろロシア側
NATO高官の発言を問題視するロシアだが、実際にはロシア側がその行動を通じて地政学的ライバルとの対立をエスカレートさせているという指摘もある。何しろ、NATO当局者の話によれば、加盟国は「日常的に」ロシア発とみられるサイバー攻撃を受けているのだ。
『ニューズウィーク』誌いわく:「サイバー攻撃は“ハイブリッド戦”の一要素であり、全面的な戦闘に至らない手法だ。情報作戦や移民の武器化、重要インフラに対する攻撃などもサイバー攻撃に含まれるケースがある」しかし、ロシアはNATO加盟国に対し、デジタル面で挑発的な行動をとっているだけではない。バルト海でたびたび示威行動を行い、ここ数ヶ月はNATO領空の侵犯を繰り返しているのだ。

9月に注目を集めた事件
2025年9月には、およそ20機のロシア軍ドローンがポーランド領空に侵入する事件が発生し、ポーランド政府はNATO条約第4条の発動を要請した。同条項は加盟国のいずれかが領土保全、政治的独立、または安全保障が脅かされていると判断した場合に協議を求める仕組みだ。この事件をきっかけに、欧州が東方防衛の再評価を迫られることとなったのは言うまでもない。
NATOは1949年、当時は勢いがあったソ連の脅威に対抗するために設立された。その後も加盟国を増やし、現在は32ヵ国を擁する大規模な同盟となっている。最近の加盟国はフィンランドとスウェーデンで、ウクライナ侵攻勃発後の2023年4月と2024年3月にそれぞれNATOに加わった。
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