2年前にマイホームを購入した45歳男性、再婚した妻が「台所のコンセントが少ない」とグチるように…上沼恵美子が見抜いた妻の発言の真意
上沼恵美子さんが読者から寄せられた「難問」「奇問」にズバッと答える「週刊文春」の人気連載が待望の書籍化。ここでは『上沼恵美子の人生笑談 白黒つけましょ』(文藝春秋)を一部抜粋してお届けします。
2年前に中古の一戸建てを購入したものの、妻が「やっぱり新築がよかった」とグチるようになったという45歳・男性。男性はバツイチで、現在の妻とは5年前に再婚したといいます。上沼さんがズバリ見抜いた、妻の発言の“真意”とは――。(全4回の3回目)

上沼恵美子さん ©文藝春秋
45歳・男性からの相談
2年前に郊外に中古の一戸建てを買いました。築浅で新築同様だったので妻がいたく気に入り、彼女の望み通りにリフォームして、最初のころはみな大満足でした。ところが最近、その妻が「台所のコンセントが少ない」「リビングの天井があと30センチ高かったら……」とグチるようになり、「やっぱり新築がよかった……」と言い出したのです。
実は私はバツイチで前妻とは10年以上前に離婚し、今の妻とは5年前に再婚しました。もしかすると不満の原因は「前の奥さんは新築だったのに、なんで私は中古なの?」というところにあるのかもしれません。とはいえ、私は養育費を払っているであり、また新築の家を買い直すことは相当キツい状況ではあります。何とか妻に納得してもらう妙案はないでしょうか?(45歳・男性 東京都)
上沼さんの回答は?

※写真はイメージです ©graphica/イメージマート
この間数えてみたら、これまでの人生で私、家を9軒買ってるんです。中古の一戸建てに住んだこともあります。嫁いだとき姑と同居していた家が狭くて、もうすぐ子どもが生まれるというタイミングで、ちょっと広い中古に引っ越したんです。
その家を買うにあたって、こだわってリフォームしたのが台所です。
というのも、前の家は台所も狭く、姑とお尻をぶつけ合いながら、料理を作るような状態で、姑との仲も上手くいってなかったからです。
そこで主人が「今度の家は台所を1階と2階に2つ作る。お袋は基本は2階で生活し、朝と昼の食事は自分で作って1人で食べること。夕食のときだけ1階に降りてきて、みんなで食べることにしよう」と宣言したのです。さらにそれを紙に書いて、壁に貼りました。私は「そこまでやらんでも……」とちょっと気が引けましたが、「共同生活を円滑に営むには、きちんとしたルールがいるんだ」と主人。ちょっと男らしくて、正直、嬉しかったですね。
ですが、実際の生活というのは、そう簡単ではありません。
上沼さんと義母の「攻防」
1週間ぐらい経ったころでしょうか。お昼にうどんを作ろうと出汁をとっていると、2階からお義母さんが降りてきました。「恵美子さん、お出汁のいい匂いがするけども、ひょっとしておうどん?」「はい、うどんです」「いいわねえ、お昼はうどんが一番」……お義母さんの気持ちはわかりましたが、ここが我慢のしどころ、私は黙って手を動かします。しかしテキもさる者――。

※写真はイメージです
「私、朝、食パンだったの。うどん食べたいけど、買ってなくてねえ。ああ~、いい香り」
私は無視してネギを刻みました。
「恵美子さん、私、お昼、何も材料がないから、食パンを1枚分けていただける?」
心を鬼にして、1枚、渡しました。
「あ~、朝もパンだったけどお昼もこれを焼いて食べるわ。それにしても、いい香りね~」。お義母さんは食パンをぶらぶらさせながら、階段を一段、一段、上がっていきます。
もう、我慢の限界でした。
「お義母さん! おうどん、一緒に食べましょう!」
結局、その家は1年ほど住んだだけで引っ越しました。台所を2つ作って、壁にルールを貼ってみても、中で暮らす生身の人間同士が生活を営んでいくわけです。
言っておきますが、あなたの奥さまは「中古はイヤ。新築がイイ」と言ってるんとちゃいますよ。だって最初は気に入ってたわけでしょ?
それが最近はグチばかりになったのだとしたら、家ではなく、生身の人間、つまりあなたと奥さんの関係性の問題なのではないでしょうか。
妻の発言の真意とは
奥さまはあなたがバツイチであることも、毎月養育費を払っていることも受け入れて、結婚されたわけです。そのことを忘れずに、大事にしてあげてください。男の人は結婚するまでは、相手のことを思いやったりもできるのですが、結婚した途端、妻が妻でいることを当たり前に思っちゃう人が多いように思います。あなたも心のどこかで「オレは一生懸命仕事をして、この家も買った。家でくらいゆっくりさせてくれよ」と思っていませんか。

※写真はイメージです ©baking/イメージマート
「コンセントの数が少ない」というのは、“あなたがかけてくれる言葉が少ない”と言っているんです。「天井が低い」というのは、“あなたから私への感謝の想いが低い”と言ってるんです。
家というのは、人生の大切な劇場(ステージ)です。泣いたり、笑ったり、怒ったり、悲しんだり……この世界で唯一、ありのままの自分を出せる場所です。そのステージを輝かせるか、曇らせるかは、その家で暮らす家族次第。家族の力で輝かせることができれば、中古の家だってピカピカに輝く「金閣寺」になるはずです。