「本当に飲みながら作ったんです」納言・薄幸が出したレシピ本から見えた意外な料理の腕前

「レシピ本は出してみたかったんです」という

料理は飲みながら作った

「料理のレシピ本って出してみたかったんです。自分達のYouTubeで料理をするのも、『うまいこと行けば、レシピ本を……』っていう魂胆もあったので。まんまと……です(笑)」

レシピ本を出すなんて、料理研究家でもなければ、容易なことではないだろう。そんな中、お笑いコンビ『納言』の薄幸(32)が、『納言・幸の今夜もやけに旨いレシピ』(辰巳出版)を上梓した。

幸と言えば、ネタは毒舌、プライベートでは酒好きを公言し、タバコの煙を燻らせる“やさぐれ”芸人としてのイメージが強い。だが、実は酒の肴的なものをチャチャっと作ってしまう一面もあるのだ。このレシピ本には、そんな幸の家族や仲間の芸人とのエピソードと共に、「手軽だが外さないレシピ」が詰め込まれている。

本書に収録されている料理の撮影は、なんと幸の自宅で敢行したそう。フードコーディネーターの手を借りず、自らの慣れ親しんだキッチンで全ての品を作ったという。

「写真の料理は2日間かけて撮ったんです。さすがに盛り付けなんかは、スタッフさんにお願いしましたけど。朝から夕方まで、初日はお酒も十何杯飲みながら(正確な杯数は覚えていないようだ!)作りましたからね。最後の方はけっこうベロンベロンでした。

本の中で使われている写真の私が少しエロいのは、酔っ払っていて目がトロンとしちゃってるから。人妻感が出てる(笑)。この本のコンセプト通り、後半のレシピは“飲みながらでも作れる”というのを実践した形になってます。シラフで作ると慎重になっちゃうけど、飲んでいると、バーッて、手早くできる気がしますね」(幸、以下のコメントはすべて)

『納言Official YouTube Channel』でも料理の腕前を披露している

“やさぐれ”ではないエピソード

幸と料理の出会いは、一人暮らしを始めたことからだった。当時はやむを得ずやっていた面もあったという。

「18歳ぐらいから一人暮らしを始めました。カネがなかったのでコンビニは高いし、でも食欲だけはあったんで、自炊しないとお腹一杯にならなくて。料理は節約のために始めたんです」

しかし、徐々に自分で料理をすることが好きになっていった。

「料理に苦手意識はなかったですね。料理上手なお母さんの姿を見ていたからというのもあると思う。でも大きいのは、学生時代からバイトをした飲食店での経験だと思います。そこで賄いを作ったりもして、ノウハウは学んでいきましたね」

とはいえ、調理はあくまで自己流だ。華麗な包丁捌きとはほど遠い。「キャベツの千切りを、トントントンと細く早く切るなんてできないですし、魚を捌くのも、不器用なので苦手で」という。

「大手居酒屋チェーンでバイトをしてた時、料理ができると見込まれてキッチンに入れられて。ある時、生簀から出されたアジを捌くように言われたんですけど、生きた魚をおろすなんてできないって、そっと生簀に戻したんです。

はい、元気に泳いでました(笑)。でも、怒られましたね。技量もなかったのですが、実は私、そのアジのことが何だか前から可哀そうで、閉店後にこっそりエサをあげたりしていたので情が移ってしまっていて……」

そう語る幸は、“やさぐれ”キャラとは少し違う。

一人暮らしを始めた当初は節約のために自炊していた

「未来の旦那はバカ舌の男がいい」

一人暮らしを始め、自ら料理をするようになると、「お母さんに『こんなのを作ったよ!』と写メを送って、『スゴイね!』って返事をもらったり」することも。帰省して「今日は私が料理を作るから!」と、家族に自ら手料理を振る舞うのも、家を離れて母親が料理にかけていた手間を実感し、自分も料理ができるようになった姿を見せたいという思いもあったのだろう。幸と家族との温かく優しい関係がうかがえる。

「料理酒を切らしていても、残った日本酒があればそれを使うのも、お母さんがしていたこと。イカの塩辛とか、お父さんが食べていた酒の肴が私も好きで食べていて。そんな家族の中で、当たり前にしっかり料理好きの酒好きになった(笑)」

幸が家族に振る舞った料理の1つが、この本でも取り上げられている「包まないズボラ焼売」だ。

それは、焼売のタネをフライパンで円形に焼き、その上にちぎった焼売の皮を散らして、水を加え蒸し焼きにするというもの。なるほど、確かに包まずズボラにも思えるが、理に適った料理だろう。

「お兄ちゃんは口数が多い方ではないのに、この『包まないズボラ焼売』は『旨い! 旨い!』って食ってくれて、すごく嬉しかった。私が芸人になって、料理番組に一緒に出たお兄ちゃんが、私の作る料理で旨いものを聞かれたときに名前がわからなかったらしくて。しばらく考えたあげく……出た答えが『キッシュです』って(笑)。確かになんて言っていいのかわからない名前もない料理だけど、キッシュって……」

照れながらも笑いを付け足すあたりは、さすが売れっ子芸人だ。

この“包まないズボラ焼売”同様、本書のレシピでこだわったのは、気軽で、工程も少なく、食材や調味料も家にあるもので、新たに買い足さなくても作れるということ。

「映えるパーティー料理なんて一個もない。肩肘張らずに、余ったもので作ってもらいたい。それこそ一人暮らしを始めたばかりの人だとかに参考にしてもらいたい」

幸にとって料理をすることとは何なのだろうか?

「私にとっての料理って、たぶん、そのときどきで変わるんだと思う。今は好き勝手に調味料を入れてチャチャっと作っていて楽しいし、美味しいと思ってもらえれば嬉しい。でも、これから……例えば結婚とかをしたら、旦那さんに見せるために、『もっとよそ行きで着飾った料理を作ろう!』と思うかも。子供ができてもまた変わるかも。おばあちゃんになったら、そこでも変わると思います」

このご時世、言葉を選んでしまうが、乙女な幸が顔を覗かせる。もう“やさぐれ”キャラ崩壊のようにも思えるのだが……。

「結婚? まだそんな予定はないですけどね(笑)。でも、自分でも料理をする旦那とかはイヤですね。わかっている分、舌も肥えていて口うるさそうだし。だったらバカ舌な男の方がよさそう(笑)」

“やさぐれ”はまだまだ健在のようだ。

本に掲載されている料理はすべて自身で「飲みながら」作ったという

芸人同士の集まりで料理をすることもあるそうだ

「不器用なので包丁さばきなどはけっして上手くない」とのこと

レシピでこだわったのは「工程が少なく、食材や調味料も家にあるもので、新たに買い足さなくても作れること」だという

一品一品の料理にまつわるコラムも収録

『納言・幸の今夜もやけに旨いレシピ』(薄幸・著/辰巳出版)