高脂肪チーズを食べると認知症発症リスクが下がることが25年の追跡研究で判明

「チーズが良好な健康状態と関連している」という研究報告は複数存在しており、実際の影響や具体的な原因について議論されています。スウェーデンのルンド大学の研究チームは、約25年間にわたる追跡調査を実施して、チーズの摂取が認知症リスクに影響を与える可能性を示しました。

High- and Low-Fat Dairy Consumption and Long-Term Risk of Dementia | Neurology

https://www.neurology.org/doi/10.1212/WNL.0000000000214343

Cheese Linked to Lower Dementia Risk in 25-Year Study : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/cheese-linked-to-lower-dementia-risk-in-25-year-study

上海交通大学医学院の研究チームが2024年に発表した論文では、最大230万人分のヨーロッパ人の情報が含まれる8種類のデータセットから、「喫煙」「睡眠」「運動習慣」「食事」「身体的特徴」「病気の有無」といった多様な因子が幸福度や老後の健康にどのように影響するか分析されました。その結果、チーズを食べる習慣は「健康的な老化」に3.67%もの正の影響を及ぼすことが明らかになりました。また、食品メーカーの明治や桜美林大学、東京都健康長寿医療センターが2023年に発表した論文でも、「チーズ摂取と認知機能の低さの逆相関」が示されています。

チーズをよく食べる人は認知機能が低下しにくく健康的に老化するという研究結果 - GIGAZINE

このように「チーズが良好な健康状態と関連している」という研究は複数存在していますが、スウェーデンのルンド大学の栄養疫学者であるエミリー・ソネステット氏らの研究チームは、チーズの日常摂取と認知症リスクとの関連性を調べるためにより広範な追跡調査を実施しました。ソネステット氏らによると、特に高脂肪のチーズが健康に良いのか悪いのかという見解は数十年にわたって議論されており、時にはチーズを「制限すべき不健康な食品」に分類することもあったそうです。

研究では、スウェーデンの成人2万7670人を対象に、食生活と健康状態に関する長期観察研究を分析しました。約25年間の調査で、参加者のうち3208人が認知症を発症したことが分かっています。参加者は、7日間の食事日記、食事頻度アンケート、食事の準備と食習慣に関する詳細なインタビューに参加しました。

分析の結果、高脂肪チーズを1日50グラム以上摂取した人では約10%が認知症を発症しましたが、1日の摂取量が15グラム未満の人では認知症の発症率が約13%であることが判明しました。年齢、性別、教育、全体的な食生活といった影響を考慮した上でも、高脂肪チーズを多く摂取していた人は、摂取量が少ない人に比べて、認知症の発症リスクが13%低いことが示されました。

また、低脂肪チーズやクリーム、さまざまな種類の牛乳、ヨーグルトなどの発酵乳製品では同様の関連性は見られず、認知症リスクに関連しているのはチェダーやゴーダ、カマンベールなどの高脂肪チーズのみでした。さらに、バターに関しては多く摂取する人はまったく摂取しない人に比べてアルツハイマー病のリスクが高まる可能性があるなど、さまざまな分析結果が示されました。

なお、過去の研究でチーズが良好な健康状態と関連している直接の理由は示されていなかったのと同様に、今回の研究でもあくまで追跡研究の結果として相関関係が統計的に示されたのみで、高脂肪チーズが認知症リスクに影響を与えているメカニズムについては解明されていません。イギリス認知症研究所の部門リーダーであるタラ・スパイアーズ=ジョーンズ氏は、「これは興味深いデータではありますが、チーズを摂取してから25年後の認知症発症リスクが低くなるということから、チーズの摂取量が原因となっていると判断することはできません。25年間で食生活が変化した可能性が非常に高く、特定の食品が認知症を予防するという強力なエビデンスはありません」と述べています。